ツチアケビ

ツチアケビとは、光合成をしない腐生植物の中で巨大な種で、高さ1mに達します。日本固有種です。

全体的に褐色であり、黄色い花の部分が花弁の1つである唇弁です。唇弁はラン科特有の花弁であるが、種によって下側か上側か位置に違いはあるものの、どの花も位置は揃っています。しかしツチアケビに関しては、唇弁は花によって上下左右ばらばらに位置しています。

果実は血赤色で、長さは10cm前後、幅は約2cmと大きく目立ちます。ソーセージに似た果実を無数に付けるため、とても目立ちます。
ヒヨドリなどの鳥によって実は食され、種子が散布されます。ラン科植物では世界初の動物による種子散布が確認されています。

基本情報

和名:漢字
土木通
学名
Cyrtosia septentrionalis (Rchb.f.) Garay
分類:目
キジカクシ目 Asparagales
分類:科
ラン科 Orchidaceae
分類:属
ツチアケビ属 Cyrtosia
分類:種
ツチアケビ C. septentrionalis
花期
6月下旬~7月
分布
全国
その他
共生菌はナラタケ(キノコ)

詳細情報

中国語では「血红肉果兰(血紅肉果蘭)」と呼ばれています。兰はラン(蘭)の事で、血のように真っ赤な果肉を持つ蘭と言う意味です。
日本固有種とありますが、台湾で2017年に発見され、2018年に発表されたようです。
出芽 5月29日(丹沢)
開花前 6月9日(箱根湿生花園)
6月2日(丹沢)
アスパラガスに似ている。
開花 8月1日(丹沢)
黄色い唇弁が左側にあります。
黄色い唇弁が下側にあります。
開花 7月18日(箱根湿生花園)
腐生植物であるツチアケビは、根系に菌根を形成しています。その菌糸は周囲にある特定の樹木の根から養分をもらって共生して生きています。腐生植物(菌従属栄養植物)は単体で生きる事は出来ず、このようにどこでも育つわけではないので、移植が極めて困難です。
果実 7月18日
ソーセージのような姿
8月29日(丹沢)
実は次第に太くなっていきます。
成熟した実
9月6日(箱根湿生花園)
去年開花したツチアケビ(金時山)
7月24日(丹沢)
同じツチアケビ科ツチアケビ属の植物として、タカツルランがあります。屋久島以南に分布し、日本最大のラン科植物です。
他に、全体が褐色のツチアケビに対して、全体が黄色いキミノツチアケビも世の中には存在します。