ギンリョウソウ

ギンリョウソウとは、光合成をしない腐生植物の中で代表的な種で、日本全土の森林や公園などの林床に生息しています。梅雨時期に、地面から白い顔を出し、最大15cmほどまで伸び、花を咲かせます。

全身真っ白な姿は美しく、その見た目から中華圏では「水晶蘭」と呼ばれます。日本では、銀色のような白い竜の鱗のような葉から「銀竜草」と呼ばれています。他に、幽霊のように全身白い事から「ユウレイタケ(幽霊茸)」や「ギンレイソウ(銀霊草)」と呼ばれます。古くは「ギンリョクソウ」として紹介されることが稀にありましたが、現在は使われません。

ギンリョウソウとギンリョウソウモドキの違いは、前者の果実は液果(汁気の多い果肉がある果実)ですが、後者のモドキの方は蒴果(乾いた果実)です。

マルハナバチなどの生物によって受粉し、作られた果実は、モリチャバネゴキブリが食べて種子を散布する役割をしています。

基本情報

和名:漢字
銀竜草
学名
Monotropastrum humile (D.Don) H.Hara
分類:目
ツツジ目 Ericales
分類:科
ツツジ科 Ericaceae
分類:属
ギンリョウソウ属 Monotropastrum
分類:種
ギンリョウソウ M. humile
花期
5~8月
分布
日本全土
分布地
丹沢, 金時山, 尾瀬, 高尾山(3号路と4号路)
その他
共生菌はベニタケ科

詳細情報

顔を出し始めた個体 7月1日(南八ヶ岳)
5月26日(丹沢の大倉尾根)
花の内側(大倉尾根)
7月15日(焼岳)
6月7日(丹沢の湯船山)
腐生植物であるギンリョウソウは、根系に菌根を形成して、ベニタケ科のキノコの菌糸と特異的に共生関係にあります。その菌糸は周囲にある特定の樹木の根から養分をもらって共生して生きています。腐生植物(菌従属栄養植物)は単体で生きる事は出来ず、このようにどこでも育つわけではないので、移植が極めて困難です。
ピンク色の個体(丹沢の湯船山)
湯船山はギンリョウソウの宝庫です。
地域によってはギンリョウソウの中にはピンク色の強い個体がおり、2022年に新種のキリシマギンリョウソウとして和名が発表されています。
6月9日(金時山)
萼・花弁・雄蕊のめくれ
5月8日(丹沢の塔ノ岳)
真上を向いた果実
尾瀬はギンリョウソウの宝庫です。
花の時期は横を向いていますが、受粉して膨らみ始めると果実が真上を向きます。