ヒメノヤガラ
ヒメノヤガラとは、光合成をせず菌根菌から栄養をもらう腐生植物(菌従属栄養植物)です。開花時の高さは5~20cmくらいの小柄です。花も含め地上部全体が褐色ですが、個体差があります。
直立した茎には互生の鱗片葉が貼り付いており、5~15個ほどの筒状の花をつけます。全体的に毛はありません。
ランの仲間は小花柄と子房の境が明瞭でないため、小花柄と子房の両方で花柄子房と呼びます。ヒメノヤガラの花柄子房がねじれておらず、ランの仲間に見られる唇弁は下側にある事が多い花弁なのですが、上側にあります。
オニノヤガラという似た名前の腐生植物がいますが、同じラン科でも属が異なり、オニノヤガラの背丈は1mを超える程長いです。

基本情報

和名:漢字
姫の矢柄
学名
Hetaeria shikokiana (Makino et F.Maek.) Tuyama
以前はChamaegastrodia shikokiana Makino & F.Maek.でした。
分類:目
キジカクシ目 Asparagales
分類:科
ラン科 Orchidaceae
分類:属
ヒメノヤガラ属 Hetaeria
分類:種
ヒメノヤガラ H. shikokiana
花期
7~8月
赤リスト
環境省カテゴリ:絶滅危惧Ⅱ類(VU)
神奈川県:絶滅危惧IB類(EN)
分布
岩手県以南から九州, 琉球列島, 伊豆諸島
分布地
丹沢, 清澄山, 横倉山
その他
共生菌はリゾクトニア属

詳細情報

開花期の個体
出現場所によっては小柄でも目立ちます。
日本では岩手県以南から屋久島、伊豆諸島、海外ではヒマラヤ、中国、朝鮮半島南部に分布し、林床に生えます。
花の形態は、外側の上部に側萼片、外側の下部に背萼片、内側の上部にT字型の唇弁、その左右に側花弁があります。花の内部には球状に突出している部分があります。
7月24日(丹沢)
菌従属栄養植物は光合成をしないので、光合成生産物である炭素化合物を菌根菌に渡す事はなく、菌根菌から一方的に養分を奪って生きています。
菌従属栄養植物は単体で生きる事は出来ず、どこでも育つわけではないので、移植が極めて困難です。
顔を出し始めた蕾の状態
開花が終わった状態
8月11日
8月22日
8月11日には結実して米粒のように膨らんだ花柄子房の中に種子が沢山入っています。8月22日になると、ほとんどの個体が地上から姿を消しています。