トサノクロムヨウラン
トサノクロムヨウランとは、標本の産地が土佐(高知県)である事が名前の由来である光合成をしない腐生植物です。
クロムヨウランの変種であり、大きな違いはトサノクロムヨウランは開花するが、クロムヨウランは開花しないで自家受粉をします。唇弁の先端が紫色の白い花を咲かせます。
開花時間は、明るい日の午前10時前後や、早朝6時過ぎと言われています。午後には花は閉じてしまいます。同時に開花するのは1つの花序あたり1~2個程です。

基本情報

和名:漢字
土佐の黒無葉蘭
学名
Lecanorchis nigricans Honda var. patipetala Y.Sawa
分類:目
キジカクシ目 Asparagales
分類:科
ラン科 Orchidaceae
分類:属
ムヨウラン属 Lecanorchis
分類:種
トサノクロムヨウラン L. nigricans Honda var. patipetala Y.Sawa
花期
7月下旬~8月初旬
分布
関東~九州
分布地
高尾山, 生田緑地, 屋久島
その他

詳細情報

トサノクロムヨウランとクロムヨウランの分布の違いは、全国的にはトサノクロムヨウランの分布が多く、高知県(土佐)ではクロムヨウランの分布が多いです。名前と分布は逆になっています。
一昔前までは、花を咲かせるトサノクロムヨウランをクロムヨウランと呼んでおり、花を咲かせないのか、咲くのを見逃したのか混乱がありました。
7月31日の10時24分
唇弁の内側に白い毛状の突起が見られます。
トサノクロムヨウラン
前日が雨や、当日曇りでも開花しないわけではありません。毎日1つずつ開花するとは限らず、いつ開花するかは断言できません。
1つも開花していないと、黒く細い枝(花茎)が地面に刺さっているように見え、焦点が合わないとそこに存在しているのが認識しにくい植物です。花茎の細さや色は独特なため、見慣れてくると花や蕾がなくても、花茎だけで存在に気がつけます。
花はどちらかというと斜め上向きに咲きますが、先端が紫色をした唇弁は下側になっています。花弁に見える5つの花びらは、中央の1枚が背萼片、その両脇が側花弁、一番外側は側萼片です。
8月16日には9割以上が咲き終えています。
ランミモグリバエ?
腐生植物であるトサノクロムヨウランは、根系に菌根を形成しています。その菌糸は周囲にある特定の樹木の根から養分をもらって共生して生きています。腐生植物(菌従属栄養植物)は単体で生きる事は出来ず、このようにどこでも育つわけではないので、移植が極めて困難です。
葉はなく、茎は黒くて細い。
左から果実、蕾、花
8月16日

同じムヨウラン属

似たような植物として、ムヨウラン、エンシュウムヨウラン、ホクリクムヨウラン、シラヒゲムヨウラン、アワムヨウランがあります。