キリシマシャクジョウ

キリシマシャクジョウとは、地面から白いキノコの菌糸が頭上へ伸びてきたかのような不思議な姿の植物です。錫杖に似ているのが名前の由来であり、光合成をしないため葉緑素も葉もありません。日本での分布は限定的で、その中に鹿児島県霧島市も含まれている絶滅危惧種です。標高が低く、腐葉土が堆積した林下に生えています。

長さ約10cmで糸のように細い茎を地面から伸ばし、枝分かれした先端にそれぞれ1つの花をつけます。長さ5mm程ある花には三稜があり、側面から見ると袋をすぼめたような風船形(卵形)をしています。くびれた先端は淡黄色を帯びています。それ以外は全身が白く、葉が退化した鱗片葉も白色です。

腐生植物から構成されるヒナノシャクジョウ科の中で、同科同属のシロシャクジョウと色と姿が似てますが、花期がずれています。

基本情報

和名:漢字
霧島錫杖
学名
Burmannia liukiuensis
分類:目
ヤマノイモ目 Dioscoreales
分類:科
ヒナノシャクジョウ科 Burmanniaceae
分類:属
ヒナノシャクジョウ属 Burmannia
分類:種
ヒナノシャクジョウ B. liukiuensis
花期
9~10月
赤リスト
環境省カテゴリ:絶滅危惧Ⅱ類(VU)
愛媛県:絶滅危惧IA類(CR)
分布
東京都, 四国, 九州, 沖縄
分布地
白皇山, 愛南町, 大野川丘陵地, 福江島, 伊豆諸島
その他

詳細情報

姿をだしたばかりで、花は未形成です。
9月12日
キリシマシャクジョウ
中国語では「寬翅水玉簪(Burmania nepalensis)」または「琉球水玉簪(Burmannia liukiuensis)」と呼ばれています。キリシマシャクジョウ(B. liukiuensis)は日本固有種で、アジアに分布している種(B. nepalensis)とは別だと考えられてきました。しかし現在は同種であると見なされています。
先端の黄色い口は開いており、先端に向かって尖っているシロシャクジョウと比べると、平坦であるのが特徴です。
腐生植物(菌従属栄養植物)は、その珍しい姿から興味本位で盗掘されることがあります。土壌中にいる菌に寄生して生存しているため、自生地から持ち去って、鉢植えや庭で育つことはありません。
キリシマシャクジョウ
11月の頭に鹿児島県で咲き残っていたキリシマシャクジョウです。
ヒナノシャクジョウ
色は同じ腐生植物です。
開花する前の姿。
同属には、シロシャクジョウとヒナノシャクジョウの他に、ルリシャクジョウとミドリシャクジョウがいます。