今日はプノンペン観光の後にシェムリアップへ向かいます。途中でサンボープレイクック遺跡を観光します。ここは2017年にカンボジアで3つ目の世界遺産になった場所です。観光地化はまだまだされておらず、英語の日帰りツアーをネットで予約すると1人1万円かかるため、個人ではなかなか行きにくい場所です。
朝食はグリーンパレスホテルでとります。このホテルは経営者はカンボジア人ですが、中国人に貸し出されてます。2つしかないエレベーターの1つや、フロアーの至る所が工事中で凄いホコリっぽいホテルでした。
工事においては重労働は現地人を雇用して、そうでない仕事は中国人のようでした。カンボジア人のガイドさんが言うには、中国人は中国人を雇い、中国人の客を宿泊させ、お金は中国本土へ回収するそうです。
食事は日本人でも食べやすい味で美味しいバイキングでした。
昨日乗った大型バスで王宮とシルバーパゴダへ向かいます。バスは韓国からのおさがりでした。
今回の旅行会社はA to C Travelという日本人が経営する会社で、所有するバスはこれ1台で、それ以外はレンタルバスだとの事です。カンボジアでのガイドは国家資格で公務員になるそうです。つまり公務員が旅行会社へ出向してる形になるのでしょうか。
王宮とシルバーパゴダは同じ敷地にあります。まずは王宮です。現ノロドム・シハモニ国王の住居でもあります。目の前に見えるのは即位殿です。
即位殿は2004年、シハモニ国王の即位式が行われた場所です。国王誕生祭など王室行事が行われます。
即位殿の建物に装飾されたガルーダの像です。カンボジアでは遺跡の至る所で見かける事になります。ガルーダはインド神話に登場する炎の様に光り輝き熱を発する神鳥です。
「ガルーダ」
インド神話に登場する怪鳥で金色の羽を持ちます。ヒンドゥー教の神であるヴィシュヌ神の乗り物で太陽にその起源があります。この聖なる鳥はナーガの天敵です。体は人間、頭と嘴、翼と爪は鷲です。
ガルーダと同様に多く見かけるのがナーガと呼ばれるインド神話に起源を持つ蛇神です。葉っぱのような形をして頭が7つあります。ものによっては頭が5つや9つだったり。人々は今でも水の神であるナーガを祀り、豊かな実りを願います。
「ナーガ」
インドの先住民に広く崇拝された蛇神で、東南アジアに広まった。猛毒があり、動きが俊敏であることから神秘的な存在で恐れられる存在です。また毎年脱皮する事から不死のシンボルとして崇拝されています。神話の中では人間の顔を持ち、蛇の尻尾とコブラの首を持っています。
水や雨との結びつきが強く、海や湖、泉、井戸などの守護神とされています。カンボジアの民族舞踊であるアプサラダンスの動きはナーガの動きを表現したものとされています。
王宮からシルバーパゴダへ移動すると長い壁画回廊があります。
シルバーパゴダの側にはミニチュアのアンコール・ワットが展示されていました。今回のツアーはアンコール・ワットの第三回廊に入らない工程だったのですが、観光客が空いていたため第三回廊も観光する事になります。第三回廊は当時、王や身分の高い人しか入れませんでした。
シルバーパゴダの中は撮影禁止でした。中は豪華で、5329枚もの銀のタイルが敷き詰められた床、中央には黄金の宝冠仏が置かれており、ダイヤモンドやエメラルド、金銀を散りばめた仏像など1500以上の宝物が納められています。
1892~1902年の間に建設され、現在も王室の仏教行事が行われる場所です。
左の建物はカンタ・ボーファ王女のストゥーパで、右の建物はスラマリット王のストゥーパです。ストゥーパとは仏や聖者の遺骨や遺品を埋めた供養塔です。
カンボジアの伝統楽器による演奏がありました。真ん中の木琴のようなものがロニアット・アエック、一番奥の環状ゴングはコーン・トムです。
ショールーム・オブ・ロイヤル・パランキーンでは王が乗る椅子が幾つも展示されています。
クメール伝統ハウスはカンボジアでは一般的な高床式住居の展示とシルク製品の販売があります。セントラルマーケットなどの市場で売られているシルク製品はほとんど偽物ですが、王宮の敷地内で売られているものは本物です。
高床式住居の中は靴を脱いで入っている観光客がいましたが、土足で入れます。王宮とシルバーパゴダの出口では無料で水をもらえ、バスに乗り込んで次の観光地へ向かいます。
プノンペン最後の観光地であるセントラルマーケットです。今回のプノンペン観光は王宮、シルバーパゴダ、ナイトマーケット、セントラルマーケットの4つのみです。代わりにシェムリアップでは世界遺産の遺跡を時間をかけて観光します。
セントラルマーケットはシアヌーク政権時代に創建されましたが、2009年からの改装工事によって建物は新しくなっています。
中央部の建物には宝石や貴金属をはじめとした店が多く、買うよりは見る観光がメインとなる市場です。
食材も売られており、見るならそっちの方が新鮮で楽しいかもしれません。
綺麗な絵画からはカンボジアの観光地がどんな感じなのか、文化や価値観が垣間見える気がします。
昼食は今回宿泊したホテルのすぐそばにあるレッドハウスレストランです。中華料理店で、現地の人ではなく、現地に住んでいる中国人向けの店だと思います。
味は美味しかったです。クメール料理の味付けではなく、普通の中華料理です。結構な量が出てました。
食後はシェムリアップへ向けてバスで長距離移動です。途中でトイレ休憩をはさみます。
昼食が早い時間だったのは、シェムリアップまで6時間程のバス移動と途中でサンボープレイクック遺跡を観光すると、今夜宿泊するホテルには遅い時間になってしまうからです。
プノンペンからシェムリアップへは国内線の飛行機があります。短時間で都市間を移動できますが、あえてバス移動するメリットは色々あると思います。
サンボープレイクック遺跡を観光するには飛行機では行けません。そしてカンボジアののどかな風景はバスの車窓ならではだと思います。地平線まで広がる田園風景はAlan Merrillの曲「Restless Soul」を聞きながら余韻に浸ってしまいます。
サンボープレイクック遺跡に到着しました。2017年に世界遺産になって、まだまだ観光地化が進んでおらずツアーでないと行きにくいためか観光客はいませんでした。周囲にホテルやレストランはありません。
ここの遺跡は7世紀前半のプレアンコール期に創建したと考えられており、アンコール・ワットよりも古い建物です。
これはNグループ(プラサット・サンボ―)の北側にある建物で、プラサット・チュレイ(N18)です。樹齢200年を超えた樹木が絡みついています。
Nグループ(プラサット・サンボ―)の中心にある建物N1。
N1の中には女性器の象徴であるヨニがありました。当時は、その上に男性器の象徴であるリンガもあったと思われます。これらはヒンドゥー教の寺院遺跡ではよく見られます。ヨニの出っ張りである溝は北の方角をさしています。
やましいものではなく、儀式の時にリンガに聖水が注がれヨニの溝へ流していきます。シヴァ神の象徴です。
「シヴァ神」
ヒンドゥー教の神で、破壊の神であると同時に温和な一面もあります。額の中央に第三の目があります。他に、首に巻かれた蛇、三日月の装飾具、絡まる髪の毛から流れるガンジス川、武器であるトリシューラ(三叉の槍)、太鼓が特徴です。乳白色の牡牛であるナンディンを乗り物としています。
シヴァは通常リンガという形に象徴化され信仰され、リンガの台座のようになっている女性器の象徴であるヨニは女神シャクティを象徴化しています。
N1のレリーフです。一番下の7体は上半身が鷲で下半身がライオンのグリフォンです。
N10の建物
N10の中にはシヴァ神とヴィシュヌ神の合体神であるハリハラのレプリカが置かれています。創造と破壊を象徴しています。
N10の向かい側にあるN9の中にはシヴァ神の妻であるドゥルガーのレプリカが置かれています。ハリハラもドゥルガーも本物はプノンペンの国立博物館にあります。
まだまだ未修復で自然な感じが雰囲気出てます。
Cグループ(プラサット・タオ)の中心にあるC1の建物。木々に囲まれており、密林の中に隠されていた事が分かる景色です。
Sグループ(プラサット・イェイ・ポアン)にある八角形の平面の建物です。アンコール遺跡にはない形の遺跡です。
遺跡観光後はシェムリアップへ再び向かいます。途中でトイレ休憩をはさみました。
今夜宿泊するパシフィックホテルに到着し、夕食はホテル内で頂きます。ホテルには日本人スタッフが1名おり、千葉さんという女性でした。
千葉さんの話ではホテル専用のトゥクトゥクが借りられ、オールドマーケットまで往復8ドルで借りられるそうです。オールドマーケットで観光してても待機してくれて、帰りも送ってもらえます。トゥクトゥクの値段の相場が分からなかったり、流しの利用に不安がある場合におすすめだと思います。ちなみにGrab利用だと片道2ドルでした。
夕食はちょっと少なめでお腹が満たされる感じではありませんでした。かぼちゃのプリンが美味しかったです。
ホテルはプノンペンのホテルよりもランクが上です。残念な事にホテル周辺にはスーパーはなく、ホテル隣にあるガソリンスタンドにコンビニがあるくらいです。
近くにあるBox Villeはお店が3件しかまだなく、観覧車は建設中です。将来的にはナイトマーケットになりそうですが、まだまだ発展中です。
冷蔵庫にはウェルカムフルーツがありました。用意されてから時間が経過している感じです。ウォーターボトルは何本でも無料との事です。
コンビニで夜食の買い出しです。売られているものは外国からの輸入品ばかりでした。シンガポール産であろうドリアン味のアイスを買ってみました。日本では売られないであろう味の代物です。
ひと口目は慣れない味で、とっても不味かったのですが、ふた口目からはドリアンの味に慣れ美味しかったです。ドリアンが好きじゃないとオススメできません。ドリアンの臭いと味がちゃんとして、これを選んで良かったです。
明日は旅行のハイライトであるアンコールトムとアンコールワットを観光します。そしてガイドさんは明日から別の人に変わります。天気予報では旅の間は晴れが続き、旅が終わった後に雨になるようです。スコールの心配もありません。