イワタイゲキ

イワタイゲキとは、黄色い花を咲かせる杯状花序の多年草です。海岸の岩場に生え、トウダイグサ科の生薬であるタイゲキが名前の由来です。草丈は30~80cm程になります。太い肉質の茎に含まれる白い乳液は触れると皮膚炎になります。春に開花し、種子を散布すると草紅葉し、夏には枯れて休眠状態になります。秋になると芽を出し、葉の状態で冬を越します。

花の中心部にある杯状花序は雄花と腺体しかないため、結実しません。それ以外の杯状花序は雌花と雄花、腺体があり結実します。雌花は乳頭状突起が密生する子房と、その先端にある触覚のような柱頭から成り立っています。いずれの杯状花序にも花弁や萼片は存在しません。黄色い花弁のように見えるのが苞葉です。

長楕円形の茎葉は互生し、茎頂に数葉を輪生します。葉の主脈は白く、全縁で無毛です。茎は赤味を帯びることがあります。

基本情報

和名:漢字
岩大戟
学名
Euphorbia jolkinii Boiss.
分類:目
キントラノオ目 Malpighiales
分類:科
トウダイグサ科 Euphorbiaceae
分類:属
トウダイグサ属 Euphorbia
分類:種
イワタイゲキ E. jolkinii
花期
4~6月
赤リスト
環境省カテゴリ:指定なし
神奈川県:絶滅危惧IA類(CR)
千葉県:重要保護生物(B)
分布
関東地方~沖縄
分布地
八丈島, 屋久島, 磯崎町, 鴨川市, 日向市
その他

詳細情報

イワタイゲキの群生

日本での分布範囲は関東から沖縄までと広いですが、自生地は限られており絶滅危惧種に指定している県があります。海流によって分布を広げる海流散布植物と考えられていますが、高さのある断崖に自生することもあり、海風で分布を広げる風散布植物でもあるように思います。

イワタイゲキの花
頭上から見た花
イワタイゲキの杯状花序
1つの杯状花序

細長い皿の形をした4つの腺体には蜜が分泌され、ポリネーターをおびき寄せます。腺体の内側には雄花(雄蕊)があり、基部には小苞があります。

イワタイゲキの葉
イワタイゲキ
イワタイゲキの茎

地下茎がよく発達し、岩場では岩の隙間に根が深く伸びるため、競合相手のいない厳しい環境で群生することがあります。

イワタイゲキの花
杯状花序が無数にある個体
イワタイゲキの花
杯状花序が1つしかない個体