ヒトツバキソチドリ

ヒトツバキソチドリとは、以前はキソチドリとされていた多年草で、茎の下部に楕円形の葉を1枚付けます。それより上部には小さい鱗片葉を付けます。キソチドリはヒトツバキソチドリを意味します。草丈は10~30cmあり、茎頂に淡黄緑色の花を3~15個咲かせます。

亜高山から高山帯のブナ帯や針葉樹林帯の林床に生えます。茎には稜があり、1枚の葉の基部が茎を抱きます。葉の長さは2~6cmあり、幅は2~4cmです。似ている植物との比較として、西日本の太平洋側に分布するナガバノキソチドリより葉は短くて幅が広いです。中部地方の日本海側と東北地方に分布するオオキソチドリより草丈が低いです。

根は一部肥厚します。分布域は広いものの、生育地によっては鹿の食害によって数を減らしています。

基本情報

和名:漢字
一葉木曽千鳥
学名
Platanthera ophrydioides F.Schmidt var. monophylla Honda
分類:目
キジカクシ目 Asparagales
分類:科
ラン科 Orchidaceae
分類:属
ツレサギソウ属 Platanthera
分類:種
ヒトツバキソチドリ P. ophrydioides var. monophylla
花期
7~8月
赤リスト
環境省カテゴリ:なし
東京都:準絶滅危惧(NT)
神奈川県:絶滅種(EX)
分布
中部~西部, 四国, 九州
分布地
尾瀬, 八ヶ岳, 富士山, 南アルプス
その他

詳細情報

ヒトツバキソチドリの花
7月16日(尾瀬)
ヒトツバキソチドリの花
全体の色が薄い淡緑色個体

花の構造として、背萼片は狭卵形をしており、その両脇には空を飛ぶスーパーマンが手を広げたような側花弁があります。その脇にある側萼片は披針形で後方に反ります。広線形をした唇弁の長さは6~8mm程で、距は長さ6~10mmあり、前方に湾曲します。

ヒトツバキソチドリの花と葉

葉は基本的に1枚しか存在しませんが、2~3枚になることもあります。葉が楕円形なのに対し、鱗片葉はサイズが小さいだけでなく披針形をしており、形も異なります。

ヒトツバキソチドリ
ヒトツバキソチドリ

直射日光の当たらない土や苔が湿った林床を好み自生しており、日の当たる湿原では見かけません。花は上向きや、水平など様々な角度です。一方向に花を咲かせる個体や、360度バラバラに花を咲かせる個体もいます。

ヒトツバキソチドリの蕾
ヒトツバキソチドリの結実
結実した姿(9月25日)