アオフタバラン

アオフタバランとは、花も含めた全体が青々しい緑色をしており、2枚葉の蘭であることが名前の由来になっている多年草です。日本固有種であり、冷温帯樹林に育成し、直射日光の少ない山地樹林下や、低山の明るい稜線上などでも群生をしていることが多いです。緑色の花は、倒卵形の唇弁を持ち、その先端が2裂し円頭になっています。

草丈は10~20cmあり、地面近くで対生状に、三角状卵形をした2枚の葉を付けます。葉の表面に白い筋が入るのが特徴で、個体によっては白くて不明瞭な斑紋もあります。花は5~20個程咲かせる総状花序です。鱗片葉はまばらに互生し、茎には毛が生えています。

似ている植物のタカネフタバランは花色や側萼片と背萼片の幅が広いなど、アオフタバランとの違いがあります。

基本情報

和名:漢字
青二葉蘭
学名
Neottia makinoana (Ohwi) Szlach.
分類:目
キジカクシ目 Asparagales
分類:科
ラン科 Orchidaceae
分類:属
サカネラン属 Neottia
分類:種
アオフタバラン N. makinoana
花期
7~8月
赤リスト
環境省カテゴリ:なし
東京都:絶滅危惧IA類(CR)
神奈川県:絶滅危惧II類(VU)
分布
本州, 四国, 九州
分布地
丹沢, 高尾山, 愛鷹山, 三ツ瀬明神山
その他

詳細情報

アオフタバラン

同じフタバランであるヒメフタバランとミヤマフタバラン、コフタバランは唇弁基部に耳状裂片が存在しますが、アオフタバランとタカネフタバランにはありません。

アオフタバランの花
側萼片と側花弁は細い線状です。
頭上から見たアオフタバラン
頭上から見た花

長さ5~6mmある唇弁の基部からは、前面向かって蕊柱が伸びています。2裂した唇弁の先は重なり合う個体と、重ならない個体がいます。背萼片と側萼片、側花弁はそれぞれの長さが2~2.5mmです。

アオフタバランの蕾と花
下から上に順番に開花し、上部に蕾が残る。
アオフタバラン
杉林の落葉の中でよく見かけます。
アオフタバランの葉
8月20日の葉
丹沢のアオフタバラン
4月の丹沢にて
高尾山のアオフタバラン
5月の高尾山にて

葉の長さと幅は、それぞれ1~3cmあります。伸び始めたばかりの花茎は放物線状に曲がり、先端が下を向いています。

アオフタバランの群生