エビネ

エビネとは、春に開花する山野草として人気があるラン科の多年草です。過去のエビネブームによって多くの野生株が盗掘され、また数多くの園芸品種が存在します。人為的に交配されず、自然の中に自生しているものをジエビネと呼び、原種のエビネになります。花色は多様で、色によってヤブエビネやアカエビネ、ダイダイエビネなど別称が存在します。また地域によって姿が異なり、キリシマエビネやサルメンエビネなどが存在します。

地下茎ではバルブが1年に1つ増えていき、それが連なっていきます。バルブがエビの姿に見えることが名前の由来になっており、海老の根と漢字で書きます。花の構造は、背萼片と側花弁、側萼片が同じ色をしており平開します。前方を向く唇弁は別の色であることが多く、基本的に白っぽい色をしており、3つに深く裂けます。葉を地面に広げたまま越冬し、翌年の開花に合わせて新しく葉を展開した時も、前年の葉が残ったままの時があります。

丘陵地や里山などの低山に自生し、強い日差しがない明るい照葉樹林や針葉樹林、広葉樹林を好みます。

基本情報

和名:漢字
海老根
学名
Calanthe discolor
分類:目
キジカクシ目 Asparagales
分類:科
ラン科 Orchidaceae
分類:属
エビネ属 Calanthe
分類:種
エビネ C. discolor
花期
4~5月
赤リスト
環境省カテゴリ:準絶滅危惧種(NT)
東京都:絶滅危惧II類(VU)
神奈川県:絶滅危惧II類(VU)
分布
日本全土
分布地
丹沢, 高尾山
その他

詳細情報

エビネの花
エビネの葉
野生のエビネは鹿による食害被害が懸念されていますが、鹿は好んでエビネの葉を食べてはいないようです。エビネの大群生の側に鹿の糞が存在していることもあります。
蕾で花色が分かります。
ヤブエビネの蕾
ヤブエビネ
ヤブエビネ
アカエビネ
アカエビネ
萼片と側花弁が緑色で唇弁が白色のエビネをヤブエビネと昔から呼ばれています。萼片と花弁が暗い赤褐色で舌弁が赤色だと、アカエビネと呼ばれます。
ミドリエビネ
ミドリエビネ
ミドリエビネ
5月7日(高尾山)
ミドリエビネは高尾山で呼ばれている愛称です。
キエビネ
高尾山でキエビネと呼ばれている個体です。本物のキエビネは、花が真っ黄色で、関西以西が分布域となっています。
エビネ
エビネ
前年の葉が残った状態のエビネです。今年出た葉が花茎を包むように上に伸びていますが、前年の葉は成長して大きく、地面に倒れたままです。
花茎が伸びない個体
4月24日(丹沢)

育て方

ラン科植物は菌根菌に依存しますが、エビネは菌根菌がなくても育ちます。その代わりに病気に弱くなります。材木腐朽菌が存在する土壌でエビネの根を菌根化させることで、病気に強くなります。
エビネ
エビネ
水切れに注意しながらも高温多湿と直射日光を避けます。ナメクジの食害やアブラムシからの病気感染に気を付ける必要があります。