ウルップソウ

ウルップソウとは、千島列島のウルップ島(得撫島)で初めて採集されたことが名前の由来になっている多年草で、高山帯や寒冷地の礫地やガレ場に自生しています。氷河期に日本列島に南下してきた高山植物で、現在は北海道と北アルプスの一部地域に隔離分布しています。

草丈は15~25cm程あり、青紫色の花を無数に咲かせる穂状花序です。白花を咲かせる個体はシロバナウルップソウと呼ばれています。葉は互生し無毛で、表面に光沢があります。葉の縁には波状の鋸歯があります。

採集地のウルップ島では、海岸付近にも自生しているためハマレンゲとも呼ばれます。近縁種として大雪山系に分布するホソバウルップソウと夕張岳に分布するユウバリソウが存在します。

基本情報

和名:漢字
得撫草
学名
Lagotis glauca
分類:目
シソ目 Lamiales
分類:科
オオバコ科 Plantaginaceae
分類:属
ウルップソウ属 Lagotis
分類:種
ウルップソウ L. glauca
花期
6~8月
赤リスト
環境省カテゴリ:準絶滅危惧種(NT)
北海道:絶滅危惧IA類(CR)
長野県:絶滅危惧IB類(EN)
分布
北海道, 白馬岳, 雪倉岳, 八ヶ岳
その他

詳細情報

ウルップソウの花
花(7月21日, 白馬岳)
砂礫地に自生するウルップソウ
砂礫地に自生するウルップソウ
葉は過酷な砂礫地の環境に耐えられるように肉厚になっています。葉の長さと幅は5~10cm程で、卵円形をしています。ウルップソウ属(Lagotis)の学名はウサギの耳を意味し、葉の形状がそれに似ていることから属名が決まりました。
白馬岳に自生するウルップソウ
ウルップソウは分布域が限られており、それぞれの分布地が隔離されたような状態です。白馬岳に自生する個体群と八ヶ岳に自生する個体群では形態的な違いはありません。氷河期時代に日本にやってきて、高山帯に取り残されたまま年限が過ぎましたが、それぞれの地域で独自の進化はしていないことを意味しています。
ウルップソウの白花
シロバナウルップソウ(白馬岳)
シロバナウルップソウ
八ヶ岳
高山植物のコマクサや同じ氷河期の生き残りと言われるツクモグサも同じような場所に自生しており、一緒に見ることができます。
ウルップソウの蕾
ウルップソウの花
一般的な青紫色の花
花の見頃は残雪期となり、雪が全て溶けた夏山では咲き残りが残る程度です。
ウルップソウの開花後
開花後
白馬岳で咲くウルップソウ
白馬岳
八ヶ岳で咲くウルップソウ
八ヶ岳