ツクモグサ

ツクモグサとは、氷河期に日本列島に南下してきた高山植物です。雪解けの時期、掌状の小さな葉とクリーム色の花を1つ咲かせ、全身が毛に覆われているため「ヒヨコ」に見た目が似ています。北海道と南八ヶ岳、白馬岳にしか分布していない日本固有種です。多年草で、礫地や風衝地の崖に自生しています。

草丈は5cm、花の大きさは3.5cmあります。6枚の萼片が花弁状になっており、太陽光が当たらないと花は開きません。萼片の外側には長くて白い柔毛が無数にありますが、内側にはありません。内側には縦筋があります。3枚の葉が輪生します。花後は茶色い花穂の姿になり、花茎が15cmくらいまで伸びます。

ツクモグサの発見者である城数馬の父の名前が「九十九(ツクモ)」であり、それが名前の由来になっています。

基本情報

和名:漢字
九十九草
学名
Pulsatilla nipponica
分類:目
キンポウゲ目 Ranunculales
分類:科
キンポウゲ科 Ranunculaceae
分類:属
オキナグサ属 Pulsatilla
分類:種
ツクモグサ P.nipponica
花期
6月
赤リスト
環境省カテゴリ:絶滅危惧IB類(EN)
北海道:絶滅危惧IA類(CR)
長野県:絶滅危惧IA類(CR)
分布
北海道, 八ヶ岳, 白馬岳
分布地
利尻山, 芦別岳, ニセイカウシュッペ山,
ニペソツ山, ピパイロ岳, 日ノ岳(八ヶ岳), 白馬岳
その他

詳細情報

ツクモグサ
6月4日(八ヶ岳)
ツクモグサ
八ヶ岳では、横岳と赤岳を結ぶ稜線上の日ノ岳と呼ばれる場所周辺に多くツクモグサが自生しています。白馬岳では、白馬岳山頂から三国境の方へ進んだ稜線上に多く自生しています。
ツクモグサ
八ヶ岳ではツクモグサの咲く時期、稜線上の雪はほとんど溶けてしまうため、軽アイゼンがなくても問題ありません。しかし白馬岳では雪が多く残る中でツクモグサが咲くため、軽アイゼンが必要です。
ツクモグサ
ツクモグサ
午前中は太陽が頭上に来ないため、太陽光を十分に浴びることができず開花していない個体が多く存在します。ツクモグサを観察するのは午後がお勧めです。
ツクモグサ
緑色を帯びた花
ツクモグサ
陽がなく閉じたままの花
ツクモグサ
崖っぷちにツクモグサが咲くことが多く、この時期は毎年滑落事故が発生しています。
ツクモグサ
咲き終わり(6月30日, 八ヶ岳)
ツクモグサ
ヒヨコとは程遠い姿(7月21日, 白馬岳)
ツクモグサ
ツクモグサの花穂
ツクモグサ