シュンランとは、春に咲く蘭であることが名前の由来になっている多年草です。自身が光合成をしながらも、菌から栄養を奪う必要がある部分的菌従属栄養植物であり、特に菌との共生ができないと種子は発芽しません。山野草として人気があり、数多くの園芸品種が存在します。
草丈は10~25cmあり、膜質の鱗片に覆われています。花は花茎に1つ付けます。花を構成する背萼片と側花弁、側萼片は肉質で黄緑色をしており、基部に行くほど色が薄くなります。雄しべと雌しべが合着したずい柱の下には、白地に濃紅紫色の斑点を持った唇弁があります。唇弁の先端は後方へ強く反り返っています。
葉は長さ20~35cm、幅1cm未満と細長く、束で生えています。葉の幅が0.5mm以下と極端に狭い個体はホソバシュンランと呼ばれています。
和名:漢字
春蘭
学名
Cymbidium goeringii (Rchb.f.) Rchb.f.
分類:目
キジカクシ目 Asparagales
分類:科
ラン科 Orchidaceae
分類:属
シュンラン属 Cymbidium
分類:種
シュンラン C. goeringii
花期
3~4月
赤リスト
環境省カテゴリ:なし
東京都:絶滅危惧IB類(EN)
群馬県:絶滅危惧II類(VU)
東京都:絶滅危惧IB類(EN)
群馬県:絶滅危惧II類(VU)
分布
沖縄を除く日本全土
分布地
丹沢, 高尾山, 貴船神社
その他
里山や標高の低い山地の雑木林などに自生しており、山の中では日当たりを好みます。春になり、その年で一番最初に開花するラン科植物がシュンランと言われています。
春先の食材として利用されることもあり、花と花茎を天ぷらにしたり、茹でてお吸い物の具や酢の物として食べられています。その際、鞘状苞の部分は食べません。
側花弁が閉じた状態
花の背後(4月2日)
葉(3月21日, 丹沢)
野生に自生している、花が黄色いシュンランです。品種改良された個体が逸出するような場所でないため、自然の変異だと思います。
咲き終わり(5月26日)
紡錘形の蒴果(11月26日)
約5cm程の長さがある蒴果は、次第に黄褐色に熟し、縦に裂けて極小の種子が大量散布されます。環境が揃わないと種子から発芽しないため、株分けによる増やし方が一般的です。