釜無ホテイアツモリソウ

釜無ホテイアツモリソウとは、長野県釜無川流域特産で、釜無山や入笠山に自生するアツモリソウです。普通のアツモリソウよりも大型で、花の色が濃く、紅紫色です。入笠山にある入笠すずらん山野草公園の実験園で保護されており、そこで見学することが可能です。

アツモリソウの変種で、分類学的には、ホテイアツモリソウ(ホテイアツモリ)です。釜無ホテイアツモリソウとしての学名はなく、園芸種としての呼び方になります。遺伝子的には富士見町固有の変種であり、他の地域のホテイアツモリソウとは異なります。

草丈は30cm前後あり、広楕円形の葉は3~5枚ほどあり、互生します。

基本情報

和名:漢字
釜無布袋敦盛草
学名
Cypripedium macranthos var.macranthos
分類:目
キジカクシ目 Asparagales
分類:科
ラン科 Orchidaceae
分類:属
アツモリソウ属 Cypripedium
分類:種
釜無ホテイアツモリソウ C. macranthos var.macranthos
花期
6月中旬~7月中旬
赤リスト
環境省カテゴリ:絶滅危惧IA類(CR)
長野県:絶滅危惧IA類(CR)
分布
長野県
分布地
入笠山, 釜無山
その他

詳細情報

釜無ホテイアツモリソウの花
釜無ホテイアツモリソウの群生地

釜無ホテイアツモリソウは、1993年4月に施行された「絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律」の規制対象種に指定されています。許可のない販売や転売、譲渡は禁じられています。

昭和20~30年頃、富士見町の山中には数多くの釜無ホテイアツモリソウが自生していました。戦後の木材需要の高まりから山林伐採が進み、代わりにカラマツが植林されました。しかしカラマツの人工林では自生する環境として最適ではなく、釜無ホテイアツモリソウは数を減らしていきました。そして山野草ブームによる乱獲により絶滅寸前までいきました。平成18年に自生個体の発見から保護活動が開始されて、現在に至ります。

見頃の時期と歴史を伝えるパネル
袋状の唇弁はアツモリソウ属の特徴です。

富士見町(入笠山)にある入笠すずらん山野草公園の実験園です。柵越しから、釜無ホテイアツモリソウを観察することができ、開花する6月は多くの登山者で賑わいます。