コフタバラン

コフタバランとは、唇弁の先端が深く2裂し人の両足に見え、基部にある小さい裂片は人の両手に見える多年草です。花は多くて10個ほど咲かせる総状花序で、薄緑色です。そこに赤色が混ざることがあります。子房は5本の筋があり、開花と共に膨らんで楕円形になり、花後に更に丸く膨らみます。

草丈は10〜20㎝あり、葉より上部の茎には腺毛があります。無毛の葉は名前の通り2枚あり、三角状腎形で対生します。単に「フタバラン」と呼ばれることもあります。根はひげ状で、短くて細い根茎は横に這うように伸びます。

亜高山帯の針葉樹林下に自生しており、強い直射日光が当たらない湿った場所を好みます。ブナなどの落葉広葉樹林にも産地があります。

基本情報

和名:漢字
小二葉蘭
学名
Neottia cordata (L.) Rich.
分類:目
キジカクシ目 Asparagales
分類:科
ラン科 Orchidaceae
分類:属
サカネラン属 Neottia
分類:種
コフタバラン N. cordata
花期
5~8月
赤リスト
環境省カテゴリ:なし
神奈川県:絶滅危惧IA類(CR)
愛知県:絶滅危惧II類(VU)
分布
北海道, 本州, 四国, 九州
分布地
富士山, 御嶽山, 岩手山, 早池峰山, 金峰山
その他
神奈川県では既に絶滅したと推測される。

詳細情報

7月24日(南アルプス)
花の唇弁の長さは3~4mmです。

花の構造は、人の身体に見える唇弁、その両隣にある2枚の側萼片、その上部にある2枚の側花弁、1番上にある1枚の背萼片、中央から手前に突き出ている蕊柱から成り立っています。全ての器官が揃っている期間はとても短く、蕊柱が既に取れている個体を多く見かけます。

赤色を含んだ花
子房にある5本の筋が赤くなります。
コフタバランの群生地

ラン科植物は花柄と子房の境目が明瞭でないため、その部分は花柄子房と呼ばれています。コフタバランは開花時には子房が膨らむため、子房と花茎の間にある花柄との境目が明瞭です。

開花後は萼片や花弁が内側に閉じます。
7月18日(富士山)
蕊柱が取れている花
種子を飛ばした後のコフタバラン

胚珠が沢山入っている子房が熟して実になり、胚珠が熟して種子になり、実が割れて、そこから種子を飛ばした後のコフタバランの姿です。10月2日(金峰山)