コイチヨウラン

コイチヨウランとは、長さ2cm程の葉を1枚持ち、同様のイチヨウランと比べて小さいラン科植物であることが名前の由来になっている多年草です。草丈15cm前後で淡黄緑色や淡黄白色の花を2～7個咲かせます。唇弁に赤い斑紋があり、ハコネランに似ていますが、唇弁の左右の縁に鋸歯がなく全縁であることや、唇弁の先端が細くなるなどの違いがあります。

強い日差しが直接当たらない涼しくて湿った亜高山から高山の針葉樹林下に自生しています。

広卵形の葉は緑色ですが、濃紫色の個体が存在し、ムラサキコイチヨウランと呼ばれています。

花の唇弁は黄色く、赤い模様は個体によって様々です。それ以外の萼片や花弁、蕊柱は淡黄緑色や淡黄白色です。個体によっては萼片に赤い色が混ざることがあります。長楕円形の側萼片は長さ5mm程あり、その内側に更に小さい側花弁があり、側萼片や背萼片と同じ質感です。中央には棒状の蕊柱が飛び出ており、長さ3～4mmです。

コイチヨウラン属は東アジアのみに自生するコイチヨウランと日本固有種のハコネランの2種しかいません。コイチヨウランは生育環境にシビアな種ですが、日本の自生地は数多くあります。時に大群落を形成します。

葉は個体によって表面に網状の模様があったり、縁が波打つことがあります。総状花序で、多くの個体が1つの花茎に花を2個か3個つけています。

森林伐採による林床の乾燥化や産地極限、園芸採取、踏み付けなどが原因で数を減らすことがあります。