ナヨテンマ

ナヨテンマとは、樹林帯の林床に自生する腐生植物で、1本の花茎には肌色のような淡褐色をした、鐘形の花を複数咲かせます。光合成をしないため、葉が退化した鱗片葉を花茎に持っており、葉は互生です。草丈は50cm程にも伸び、根茎は肥厚します。赤橙色の唇弁には突起があり、三角形です。唇弁以外は、根茎を含め全身が同色です。

花は上部の背萼片1つと左右の側萼片2つが合着しています。鐘状の花の内側に小さな2つの側花弁が耳のように存在しています。花の中央部から下に唇弁、上に蕊柱があります。

常緑広葉樹林だけでなく、スギやヒノキといった常緑針葉樹の植林でも見つかっています。

基本情報

和名:漢字
弱天麻
学名
Gastrodia gracilis Blume
分類:目
キジカクシ目 Asparagales
分類:科
ラン科 Orchidaceae
分類:属
オニノヤガラ属 Gastrodia
分類:種
ナヨテンマ G. gracilis Blume
花期
6月中旬
赤リスト
環境省カテゴリ:絶滅危惧IB類(EN)
神奈川県:絶滅危惧IA類(CR)
東京都:絶滅危惧IB類(EN)
静岡県:絶滅危惧IB類(EN)
分布
千葉県以西, 四国, 九州
分布地
小国神社
その他

詳細情報

名前の由来は、同じオニノヤガラ属であるオニノヤガラ(天麻)に似ているが、それと比べて草丈が低く、茎が細く弱々しく見えるからです。

ナヨテンマ

2花の鮮度は短く、側花弁や萼片の先端から黒ずんでいきます。

ナヨテンマの全体
花は様々な方向を向きます。
ナヨテンマの群生地
群生地

2011年に神奈川県で新しい自生地が発見されました。それまでの神奈川県では、丹沢の長者舎で発見された記録があります。それ以外は単発での発見報告になっています。

ナヨテンマの蕾
ナヨテンマの開花前
開花直前の蕾
ナヨテンマの結実後
結実後

オランダの植物学者であるブルーム(Blume)が1856年にナヨテンマを発見してから、1965年に静岡県掛川市で再発見されるまで、ずっと見つからなかった歴史があります。全国的に自生地が少ない植物です。