ユウシュンラン

ユウシュンランとは、背丈15cmほどのギンランに似た多年草です。ギンランと比べて、光合成機能の退化によって葉が小型化しており、腐生植物化(菌従属栄養植物化)が進んでいます。花は白く、唇弁の中裂片には褐色の隆起線があります。ギンランより大きい花は、より大きく半開します。距が明確に長く、下に突き出ています。

名前の由来は発見者である工藤祐舜からであり、宮部金吾によって名前がつけられました。ギンランの変種と説明されることもありますが、別種とする見方が濃厚です。

山地の落葉樹林下に自生しており、日光が強くない、やや湿った腐葉土で見かけます。たまに都会の街中で見つかることもあります。

基本情報

和名:漢字
祐舜蘭
学名
Cephalanthera subaphylla
分類:目
キジカクシ目 Asparagales
分類:科
ラン科 Orchidaceae
分類:属
キンラン属 Cephalanthera
分類:種
ユウシュンラン C. subaphylla
花期
4~6月
赤リスト
環境省カテゴリ:絶滅危惧Ⅱ類(VU)
東京都:環境省には絶滅(EX)と記載があるが、絶滅していない
神奈川県:絶滅危惧IB類(EN)
山梨県:絶滅危惧IA類(CR)
分布
北海道, 本州, 四国, 九州
分布地
塩原渓谷, 山野峡, 野幌森林公園
その他

詳細情報

葉は下部ほど強く退化します。
ユウシュンランの花と葉
1本の花茎に花を2~6個付けます。
葉から光合成をしていますが、土中に生息する菌から栄養を奪ってもいる半腐生植物(部分的菌従属栄養植物)です。ラン科植物の多くは、程度の差がありますが菌から栄養をもらっています。ユウシュンランの場合は、菌への依存度が非常に高く、菌との関係が壊れると枯れてしまうため、移植ができないと言われています。
ユウシュンランの全体像
産地局限のため、自生しそうな場所を探しても見つけることは難しいです。自生地域を知ることが、出会うきっかけになります。葉は、花茎の中央部にある1枚が一番大きい場合が多く、長さ2cmほどになります。
花の大きさは約1cm
ユウシュンランの花
距の長さは約4mm
山梨県(5月15日)
葉から光合成をして生活している植物が、光合成をやめて菌に依存する腐生植物へ変わる過程の途中である植物です。腐生植物は太陽光が届かない場所でも育つことができるため、太陽光を奪い合う競合相手がいません。普通の植物が育たない場所でも育つメリットがあると共に、場所が変わると菌との関係性が失われ育たないデメリットがあります。

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