オトメアオイとは、箱根の乙女峠で発見されたことが名前の由来になっている多年草です。亜種であるズソウカンアオイとは全草が似ていますが、開花時期が異なることと、自生地が異なること、オトメアオイの方は萼筒内壁がより複雑な構造になっていることで見分けができます。日本固有種です。
萼裂片が花弁状になった筒状の花には花弁がありません。花の色は淡褐色や緑紫色など様々です。葉は卵形や楕円形をしており、長さは6~12cm程、幅は5~9cm程で、光沢はありません。花と新葉の間には鱗片葉があります。
箱根周辺だけでなく天城山や愛鷹連峰の林床で自生しています。
和名:漢字
乙女葵
学名
Asarum savatieri
分類:目
コショウ目 Piperales
分類:科
ウマノスズクサ科 Aristolochiaceae
分類:属
カンアオイ属 Asarum
分類:種
オトメアオイ A. savatieri
花期
6~8月
赤リスト
環境省カテゴリ:準絶滅危惧(NT)
静岡県:準絶滅危惧(NT)
静岡県:準絶滅危惧(NT)
分布
箱根~伊豆半島
分布地
箱根湿生花園, 天城山
その他
7月下旬
萼裂片の内側が緑色の花
花はそのままの姿で冬を越し、翌年の5月頃に種子が成熟します。分布域が近かったり同じだったりするカントウカンアオイやズソウカンアオイの花は秋に開花します。それ故にオトメアオイが開花する夏に、綺麗な花が残っていることはないため、形状等で花の見分けがつかなくても、迷うことはありません。
萼裂片は正三角形をしており、萼裂片の先が尖った三角形をしているカントウカンアオイとは異なります。ただしどちらも個体差があります。
蕾
萼筒内壁
萼筒内壁の内面にある縦の隆起線は19~27本あり、12~21本しかないズソウカンアオイとは大きく異なります。横の隆起線もオトメアオイの方が数が多いです。花の中には6個の花柱と、その根元に12個の雄蕊があります。柱頭の先は2裂します。
結実し種子が成熟する5月頃に普通葉が出てきます。