ズソウカンアオイ

ズソウカンアオイとは、伊豆地方と相模地方に分布する日本固有種であることが豆相寒葵という名前の由来になっている多年草です。箱根に分布するオトメアオイを基本種とする亜種です。初夏に咲くオトメアオイと見た目は酷似していますが、開花時期が異なり、分布域は近いですがあまり重なりません。花と新葉の間に鱗片葉がない場合はズソウカンアオイですが、鱗片葉がある場合は、それだけで基本種なのか亜種なのか断言できません。

花色は褐色や緑褐色など個体差があります。筒状の花には花弁は存在せず、代わりに三角形の萼裂片が花の先端に付いています。壺のような萼筒はオトメアオイよりも細長いと言われることもありますが、個体差があります。萼筒より萼裂片の方が、長さが短くなるのが特徴です。

草丈は約10cmあります。葉は卵円形で光沢はなく、表面は有毛、裏面は無毛です。葉の長さは6~11cm、幅5~9cmあります。

基本情報

和名:漢字
豆相寒葵
学名
Asarum savatieri subsp. pseudosavatieri
分類:目
ウマノスズクサ目 Aristolochiales
分類:科
ウマノスズクサ科 Aristolochiaceae
分類:属
カンアオイ属 Asarum
分類:種
ズソウカンアオイ A. savatieri subsp. pseudosavatieri
花期
10~11月
赤リスト
環境省カテゴリ:準絶滅危惧(NT)
静岡県:絶滅危惧Ⅱ類(VU)
分布
伊豆半島, 丹沢
分布地
丹沢
その他

詳細情報

ズソウカンアオイの花
萼筒の外側に格子状の模様があります。
萼筒の長さは5~11mmあります。
ズソウカンアオイの萼裂片と花柱
口環は萼裂片と同色の緑色の個体
ズソウカンアオイの萼筒内壁
口環は萼裂片と違う色の個体
萼筒内壁には縦横に隆起した襞が無数にあり、格子状になっています。オトメアオイと比べて規則的かつ簡素的な格子になっている傾向があります。縦の隆起線は12~21本あり、19~27本あるオトメアオイとは異なります。
内側の中央部には雄しべが12個、先端が2裂した花柱が6個あります。
丹沢に自生しているズソウカンアオイはタンザワカンアオイと呼ばれていたことがありますが、ズソウカンアオイに統一されています。
緑色のズソウカンアオイ
丹沢(12月10日)
ズソウカンアオイの葉
基本種であるオトメアオイの変種としてアシタカカンアオイ(愛鷹寒葵)、亜種としてイセノカンアオイ(伊勢の寒葵)が存在するなど、カンアオイ属は地域差による変種や亜種など多く存在します。