ランヨウアオイ

ランヨウアオイとは、春に淡い赤褐色の花を葉柄の基部に1つ咲かせる多年草です。葉の表面に白い乱れ雲紋がある個体が多かったことが、名前の由来になっています。山地や丘陵の林床に生育している日本固有種です。

花の萼筒においては外側は白く、格子状に窪んだ線があります。内側には格子状になった暗紫色の隆起線が存在し、縦の隆起線は約17~20本あります。花弁に見える部分は萼裂片で、開口部にある口環は色が濃くなっています。萼筒の中には雄しべが12個、花柱が6個あります。

広卵形の葉は両端が耳のように張り出しているのが特徴で、また光沢があり、葉脈は窪んでいます。葉の長さは約10cmあります。表面に毛があっても、裏面は無毛です。

基本情報

和名:漢字
乱葉葵
学名
Asarum blumei
分類:目
ウマノスズクサ目 Aristolochiales
分類:科
ウマノスズクサ科 Aristolochiaceae
分類:属
カンアオイ属 Asarum
分類:種
ランヨウアオイ A. blumei
花期
3~5月
赤リスト
環境省カテゴリ:記載なし
東京都:絶滅危惧IA類(CR)
分布
関東地方南部, 東海地方南部
分布地
丹沢
その他

詳細情報

ランヨウアオイの蕾
蕾の時は萼裂片がくっ付いている。
丹沢に自生しているランヨウアオイ
丹沢(4月30日)
三角状卵円形である萼裂片の先端は内側に巻き込んでいます。葉柄の付け根に存在する花には、毛がありません。
ランヨウアオイ
葉に白い雲紋がない個体です。ランヨウアオイをはじめとするカンアオイ属の植物は、ギフチョウの幼虫が食草としています。カンアオイ属の植物は種子を自身の真下に落とすため、分布の拡大や移動の速度がとても遅いです。山地では鹿の食害による数の減少があります。
ランヨウアオイの花
花の正面
花の背面
八王子市(4月25日)
萼筒の外側にある格子状に凹んだ線は、縦線の方が強く凹んでいます。萼筒の上部は僅かに内側に窪んでいます。萼筒の長さは1~1.5cm、花径は2~4cmほどです。
ランヨウアオイの花と葉
ランヨウアオイの全体像
葉に雲紋が強く出ている個体
ごくまれに、花全体が白くなったランヨウアオイが存在します。