ミヤマツチトリモチ

ミヤマツチトリモチとは、カエデ類やシデ類といった落葉広葉樹の根に寄生し、山地に自生する寄生植物です。全ての個体が雌株で、雄株は発見されておらず、単為生殖します。キノコに間違われる見た目ですが、肉穂花序である双子葉植物です。

肉穂花序や花序、鱗片葉の色は橙赤色や橙黄色です。草丈は8~14cmですが、落ち葉の中に埋もれるように姿を出すことも多く、目立ちません。葉緑素はないため寄生している植物から栄養を奪っており、根茎と寄主の根の接合部が肥大して木化します。

低地に自生するツチトリモチと比べて深い山に生え、塊状の地下茎はすり潰して、鳥類や昆虫を捕獲するために用いるトリモチの材料になったことが名前の由来になっています。日本固有種です。

基本情報

和名:漢字
深山土鳥黐
学名
Balanophora nipponica Makino
分類:目
ビャクダン目 Santalales
分類:科
ツチトリモチ科 Balanophoraceae
分類:属
ツチトリモチ属 Balanophora
分類:種
ミヤマツチトリモチ B. nipponica
花期
7~8月
赤リスト
環境省カテゴリ:絶滅危惧II類(VU)
東京都:絶滅危惧II類(VU)
神奈川県:絶滅危惧IB類(EN)
分布
本州(秋田県, 岩手県以南), 四国, 九州
分布地
富士山, 丹沢, 箱根
その他

詳細情報

ミヤマツチトリモチの花
小棍体が密生しています。
寄生植物であるミヤマツチトリモチ
8月上旬

全国的にきわめて稀少な種であり、丹沢がある神奈川県では3地域メッシュでしか存在が確認されていません。森林伐採や林道開設など自然遷移によって個体を減らしやすい植物です。多年草ですが、毎年姿を見せるとは限りません。

日本では緯度が高いほど広く分布しています。イタヤカエデやウリハダカエデ、イヌシデなどの根に寄生しています。

ミヤマツチトリモチ

無数の小棍体の隙間から柱頭が伸びると、毛が生えたように見えます。

花粉媒介者と思われるクロスズメバチ

日本に自生するツチトリモチ属は7種あり、その内の5種は日本固有種です。ツチトリモチ、ミヤマツチトリモチ、オオスミツチトリモチ、ヤクシマツチトリモチ、ユワンツチトリモチ、キイレツチトリモチ、リュウキュウツチトリモチです。