アツモリソウ

アツモリソウとは、袋状の唇弁を平敦盛が背負った母衣に見立てたことが名前の由来になっている多年草です。約4cm程の大きさのある花は淡紅色で、茎の頂上に1つ付けます。寒冷地を好む植物であり、山に自生していますが、乱獲によって絶滅危惧種になっています。

草丈は25~50cmです。長楕円形の葉が3~5枚互生し、全体に白い毛が生えています。根茎は短く横に這います。花柄子房はねじれず、その背後に卵形の包葉が立ち上がっています。葯の下側にある花粉は粘液中にまじり、花粉塊を作りません。

野生個体の採集や売買は法律で禁止されていますが、人工的に増殖された個体はその限りではありません。

基本情報

和名:漢字
敦盛草
学名
Cypripedium macranthos Sw. var. speciosum (Rolfe) Koidz.
分類:目
キジカクシ目 Asparagales
分類:科
ラン科 Orchidaceae
分類:属
アツモリソウ属 Cypripedium
分類:種
アツモリソウ C. macranthos var. speciosum
花期
5~7月
赤リスト
環境省カテゴリ:絶滅危惧II類(VU)
東京都:絶滅種(EX)
神奈川県:絶滅種(EX)
分布
北海道~中部地方
分布地
三ッ峠山
その他

詳細情報

アツモリソウの花

外側にある雄しべは2個で、内側にある雄しべは仮雄しべになっています。仮雄しべは花のど真ん中にあり、袋状になっている唇弁の入り口に向かって垂れている部分です。

アツモリソウの自生地
自生地で保護と植栽されています。
保護されたアツモリソウ
6月(三ッ峠山)

絶滅種になっている県が複数あり、神奈川県では丹沢や箱根に幾つもの自生地が存在していましたが、採種や鹿の食害等で絶滅しています。袋状の唇弁の背後にあり、下に垂れているのは合萼片と呼ばれ、2枚の側萼片が合着したものです。

アツモリソウ

日本に分布する近縁種としてホテイアツモリソウやキバナアツモリソウ、レブンアツモリソウが存在します。