クマガイソウ
クマガイソウとは、2枚の葉を持ち、扇円形で葉先は手で千切ったような形をして、放射状の葉脈はシワのようになっているラン科の多年草です。その特徴的な葉によって、花がなくても見つけることは簡単ですが、盗掘によって自然の自生地では数を減らし、ほとんどの都道府県で絶滅危惧種に指定されています。
アツモリソウ属共通の大きな袋状の唇弁を持っており、茎先に1つの花を下向きに咲かせます。開花した個体(花芽)は翌年は花を持たない個体(葉芽)となり、隔年の開花となります。
袋状の唇弁が、戦いの際に武士が背中に背負っている母衣に似ているため、源平合戦で戦う熊谷直実の姿から熊谷草と名付けられました。

基本情報

和名:漢字
熊谷草
学名
Cypripedium japonicum Thunb.
分類:目
キジカクシ目 Asparagales
分類:科
ラン科 Orchidaceae
分類:属
アツモリソウ属 Cypripedium
分類:種
クマガイソウ C. japonicum
花期
4~5月
赤リスト
環境省カテゴリ:絶滅危惧Ⅱ類(VU)
神奈川県:絶滅危惧IB類(EN)
分布
沖縄を除く全国
分布地
倉見山, 丹沢
その他

詳細情報

4月25日(山北町)
唇弁の中身
草丈は20~40cmほどあり、葉は直径10~20cmです。地下茎は1年ごとに数十cm伸び、地下茎が分岐することで株が増えていきます。
かつて盗掘によって数が激減し、人が歩かない場所にしか残っていないだろうと地元の人が話していた場所(低山の森林)に咲く、自然の状態で育つ植物です。
花芽, 5月2日(倉見山)
葉芽, 4月11日(丹沢)
正面から見て、上部に外花被片の背萼片が1枚、両脇に内花被片である側花弁が2枚あります。内花被片である唇弁で隠れた裏に、2枚の側萼片が合着して1枚になった外花被片があります。茎の上部に付いている小さな葉は、苞葉です。
倉見山にはクマガイソウが約5,000株生息しています(5月2日)。野生ではなく、管理人によって世話をされているため、毎年花を咲かせます。

奇形(普通の形とは異なるレアな姿)

1株に花が2個
葉っぱが段違い
葉っぱが段違いでお椀型

タイワンクマガイソウ

台湾産です。日本のクマガイソウとの違いは、全体的に小振りで、地下茎もあまり伸びません。
タイワンクマガイソウ
3月27日(箱根湿生花園)