ミヤマモジズリ

ミヤマモジズリとは、ネジバナ(モジズリ)のように螺旋状に花を付け、また深い山に自生する植物であることが名前の由来となっている多年草です。草地に生えるネジバナとは属が異なり、亜高山帯の針葉樹林の林床や苔むした岩上に生えています。

淡紫色をした花には、細長く3裂した唇弁があり、中心部には小さな濃紫色の斑点があります。花色や斑点の数は個体差があり、斑点も色もないシロバナミヤマモジズリも存在します。距は前方に湾曲します。ネジバナと同様に花の配列は個体差があり、必ずしも螺旋状に花が並ぶとは限らず、一方を向いて咲くことが多いです。葉は長楕円形や楕円形をしており、2枚の葉が根生します。

草丈は10~20cm程あり、地下には球状に肥厚する塊根があります。

基本情報

和名:漢字
深山文字摺
学名
Ponerorchis cucullata (L.) Schltr.
分類:目
キジカクシ目 Asparagales
分類:科
ラン科 Orchidaceae
分類:属
ウチョウラン属 Ponerorchis
分類:種
ミヤマモジズリ P. cucullata
花期
7~9月
赤リスト
環境省カテゴリ:なし
神奈川県:絶滅危惧IA類(CR)
山梨県:準絶滅危惧種(NT)
分布
北海道, 中部地方以北, 四国
分布地
美ヶ原, 茅ケ岳, 富士山
その他

詳細情報

ミヤマモジズリ
林床に生えている個体
ミヤマモジズリ
1つの花茎に花は数個~20個以上

背萼片と側萼片、側花弁は狭披針形をしており、長さはそれぞれ6~8mmあります。上向きに反り返り、兜状になります。唇弁の長さは7~8mm程、距の長さは5mmです。苞は披針形をしています。

ミヤマモジズリの群生地

苔むした岩の上に群生するミヤマモジズリです。

ミヤマモジズリ
8月20日
ミヤマモジズリの花
色が薄い花
ミヤマモジズリの葉
葉は長さ3~6cm

ミヤマモジズリ属(Neottianthe)やテガタチドリ属(Gymnadenia)、ミズトンボ属(Habenaria)だったことがあり、学名をNeottianthe cucullataやGymnadenia cucullataなどと紹介されることもありますが、遺伝子解析によってウチョウラン属(Ponerorchis)となりました。

シロバナミヤマモジズリ

白花のミヤマモジズリ
白花の個体
シロバナミヤマモジズリ

シロバナミヤマモジズリとはアントシアニン合成系の遺伝子に変異が起き、アントシアニンが合成できなくなって花が白くなった個体です。劣性遺伝であることがほとんであるため、白花は基本的に見かけません。