ミヤマウズラとは、白い斑紋が葉にあり、それが鶉の模様に似ていることが名前の由来になっている常緑の多年草です。1つの花茎に複数の白い花を下から上へ咲かせ、その白い見た目から幽霊と表現されることもあります。冬も葉が地上部に残っています。
草丈は10~25cm程です。亜寒帯や亜熱帯の山地の林内に育成し、乾燥や日光に強いため比較的様々な環境に適応できます。茎や花には毛があります。花の構造は1枚の背萼片が2枚の側花弁と密着して、兜の形になっています。側花弁の内側には斑点があり、目のように見えます。唇弁の先端にも斑点があり、口のように見えます。狭卵形または広披針形の側萼片は横に広がっており細長いのに対し、類似植物のヒメミヤマウズラの側萼片はミヤマウズラのように大きく開かず、細長くもありません。
古くから葉の模様に観賞価値を見出し、価値の高い個体を錦蘭と呼んで古典園芸植物になっています。
東京都:絶滅危惧IB類(EN)
群馬県:絶滅危惧IB類(EN)
1つの花茎に花が3~15個程付き、一方に偏って咲かせます。白い花に僅かにピンク色を帯びています。花の外側だけでなく、唇弁の内側に毛が生えていますが、花を分解しないと分かりません。
ミヤマウズラは花茎を毎年伸ばすとか限らず、蕾を付けても何らかの原因で茎が折れてしまうこともあります。また鹿の生息域では食害もあります。
緑色の葉が地上部に残ったまま越冬します。晩秋や冬の落葉樹が多い里山では、枯れ葉が多く緑がないため、ミヤマウズラの葉はとても目立ちます。宝石を連想させる葉の模様が特徴的なため、見つけやすいです。
ミヤマウズラは江戸時代には栽培されている植物であり、現在では園芸の通販で購入することが可能です。育て方は鉢植えが可能で、用土はミズゴケまたは市販のラン科植物用の土などで育ちます。土が乾かないように、かつ水浸しにし過ぎないよう水やりをします。耐寒性や耐暑性があり、直射日光も大丈夫ですが、真冬はなるべく温かい環境にし、真夏は直射日光を避けて通気性のある環境にします。