ムカゴサイシン

ムカゴサイシンとは白い唇弁に紫色の斑紋がある花を1つ咲かせる多年草です。葉がウスバサイシンに似ており、地下にムカゴ(球茎)があることが名前の由来になっています。明るい林床に自生しており、葉で光合成をしながらも土壌中の共生菌に強く依存する部分的菌従属栄養植物(半腐生植物)です。

草丈は10cm程あり、花は平開しません。五角形状の心円形をした葉は開花期には存在せず、種子を散布する時期に出てきますが、冬になると地上部は全て姿を消し、地下にある球茎の状態で越冬します。地下茎を伸ばし、その先端に新しい球茎ができます。やや厚い葉には、全体がしわになっており、5~9本の掌状脈があります。

近縁種のムカゴサイシンモドキと異なる部分は、唇弁の内面に毛の束が生じ、側花弁の先端部に乳頭状突起が存在します。

基本情報

和名:漢字
零余子細辛
学名
Nervilia nipponica Makino
分類:目
キジカクシ目 Asparagales
分類:科
ラン科 Orchidaceae
分類:属
ムカゴサイシン属 Nervilia
分類:種
ムカゴサイシン N. nipponica
花期
4~7月
赤リスト
環境省カテゴリ:絶滅危惧IB類(EN)
東京都:絶滅(EX)
神奈川県:絶滅(EX)
分布
関東地方以西~沖縄
分布地
清澄山, 丹沢, 湘南平
その他
東京都と神奈川県で絶滅とあるが、絶滅していない。

詳細情報

ムカゴサイシンの花
花がここまで開くことはあまりない。
ムカゴサイシン
花は唇弁の除き、萼片や花弁などは淡褐色です。唇弁だけでなく側花弁にも紫色の斑紋があります。短い花柄子房は濃い赤褐色をしており、結実すると丸く膨らみ、種子を放出します。
ムカゴサイシンの群生
花茎が地上部に出土してから姿を消すまでの期間は長くて2ヶ月程で、消える頃に葉を展開します。共生菌との関係が必要であることから、落ち葉が積もった土壌が乾燥していない林床を好みます。
ムカゴサイシン
花はほとんど開かない個体が多い。
ムカゴサイシン
5月28日
全草が緑色をしたミドリムカゴサイシンが存在します。ムカゴサイシンモドキは宮崎、鹿児島、沖縄に分布しています。