コケイラン

コケイランとは黄褐色の花を総状に咲かせる多年草です。花が山野草のエビネに似て、葉が笹のように細長いことからササエビネと呼ばれることがあります。名前の由来は、葉がシラン(蕙)に似ており、小さい花を付ける蘭だから小蕙蘭という名前になりました。

山地や林内のやや湿った場所に自生し、草丈は30~40cmになります。バルブから2枚の披針形をした葉が伸び、幅は約2cm、長さは20~30cmあります。側花弁と背萼片、側萼片はそれぞれ披針形でかつ黄褐色をしており、外側は赤褐色が混ざります。唇弁は基部で3裂し、中央部の中裂片と両端に小さな側裂片に分かれます。色は白色です。個体によっては唇弁に紅紫色の斑点や存在したり、唇弁の先端が紅紫色や黄色に染まっています。中央から蕊柱が伸び、先端に黄色い花粉塊を付けます。

名前と姿が似ているコケイランモドキが存在しますが、コケイランの方が花が大きく、唇弁の基部に2本の隆起線が存在するため見分けは簡単です。

基本情報

和名:漢字
小蕙蘭
学名
Oreorchis patens (Lindl.) Lindl.
分類:目
キジカクシ目 Asparagales
分類:科
ラン科 Orchidaceae
分類:属
コケイラン属 Oreorchis
分類:種
コケイラン O. patens
花期
5~7月
分布
北海道~九州
分布地
尾瀬, 志賀高原, 白馬山麓, 野幌森林公園
その他

詳細情報

コケイラン
黄緑色の花茎から伸びる花柄子房は黄色がかった薄い黄緑色をしており、180°ねじれて先端に花を付けます。花は距がありません。
コケイラン
唇弁の縁はフリル(鋸歯)になっています。
コケイラン
総状花序で花は多いと40個程付けます。
コケイランのバルブと葉
花を咲かせた個体の手前に、バルブ(偽球茎)から葉を2枚伸ばした別の個体があります。葉は平行脈が目立ちますが、開花時から夏にかけては葉が枯れて存在せず、秋に新しい葉が出ます。花茎の基部には鞘状葉があります。
コケイランの花
唇弁の先端が黄色い個体
花は下から順に咲く。
5月下旬