トップ>登山>記録

紅葉の槍ヶ岳から南岳縦走と涸沢カールを登山 2日目

星空 槍ヶ岳
槍ヶ岳山荘から見える星空は不思議と暗闇の恐怖を退かせます。昨日は上高地から天狗池へ立ち寄って槍ヶ岳の山頂まで登りました。
今日は、槍ヶ岳の山頂でご来光とモルゲンロートを見た後、南岳まで縦走して日本で1番標高の高い給食(定食)を食べます。そして天狗池では時が止まったかのような、水鏡に映し出された槍ヶ岳と紅葉を見ることができるでしょうか。
大喰岳と星空です。昨夜はガスってしまい、星は見えませんでした。夜明け前の今は穏やかで静かな時が流れています。たゆたう心あらば、幾重の思いを意思と呼ぼう。そんな言葉が浮かび上がる幾重の空でした。(不思議ちゃんが表面に顔をだしてますね。)
以前は魚、卵焼き、豆、オクラなど、山小屋でよくある朝食が提供されていたのですが、おでんに変わっていました。
味は美味しく、槍ヶ岳山荘の朝食は1,500円なので、涸沢カールで販売している1,000円おでんよりも量があり、お代わり自由なお米もありで若干リーズナブルかもしれません。山小屋によっては夕飯のメインメニューにおでんが出てくることもあるので、食事が格段に良くなっていると思います。
食事を食べ終えたら穂先へ登ります。山頂でご来光を見ようとする人は少なく、道も山頂もガラガラでした。穂先が渋滞しないように、山頂に長居しない空気が普段はあるのではと勝手に思っていたのですが、今日はその心配はなさそうです。
初めてのモルゲンロート(朝焼け)あるあるかもしれませんが、こんなに明るいとモルゲンロートが終わってしまったか、見れないのかと思ってしまうことってありませんでしたか。実際はこれから始まります。こんなに明るいのに、朝日はまだ見えていません。
富士山まで見える澄んだ空気です。富士山の麓にある御殿庭周辺には、珍しくて貴重な山野草があるので、いつか歩く植物図鑑にでもなれたらと思います。好きな高山植物はチングルマで、好きな山野草はトサノクロムヨウランです。
朝日が雲海から顔を出しました。神がかったような日の出に周囲からは声があがってます。
山頂の小さな祠が赤く染まって、神々しく感じます。
Apa, naa-ga ma-po-. (アパー ナアーガ マポ) ... 無意識領域に封印されていた縄文語が口から溢れ出ました。
山肌が一面真っ赤に染まるのはほんの僅かな時間です。笠ヶ岳の頂上も朝日を浴びていました。山小屋の周辺でご来光を見るよりも、ずっと感動的でした。山頂だから見れた刹那の景色です。
これから歩いていく縦走路です。今回は単独登山ですが、槍ヶ岳は2泊3日のツアーが催行しているのをネットでよく見かけます。個人で行くより、お値段は2倍以上かかるようです。それでも登山者憧れの山は行く価値があるのだと思います。
自然が生み出した朝のきらめきはあっという間に終わり、現実世界の色へ戻っていきます。
北鎌尾根は人生で一度も通らないで終わるだろうと思いますが、ナイフでえぐられた様な山肌の陰影が、荒々しさの中に美しさを感じさせます。なぜかババヘラアイスを連想させる姿でした。頭は常に食べ物ばかりなのか。香料たっぷり乳脂肪少なくて、美味ではなかった秋田県のソウルフードです。
ピラミッドみたいな影槍
八ヶ岳
今までに登ったことのある山、いつか登ってみたい山、色々見えています。紅葉の時期は、赤くなくても残雪の夏と違った色彩のコントラストが、印象を大きく変えています。まずは、ティラミスみたいで美味しそうですね。
初めは、どれがどの山だかさっぱり分からないのに、いつしか少しずつ分かるようになってきて、思うのは、、、「老いたなぁ~」でした。
笠ヶ岳はいつ見ても飽きないものです。こんなに肩幅が広い山の主は他にいるのでしょうか。そして初めて本格的に登った山でもあります。その時は、単独の山小屋泊でした。装備も他の登山者と大きく異なって、完全に浮いてました。観光客に毛が生えたのが、1人紛れ込んだかのようだったです。
山小屋のチェックアウト時間に間に合うように槍ヶ岳山荘に戻って出発の準備をします。インナーシーツを毎回持参するのがお決まりになっています。
小屋を出発し、まずは目の前にある大喰岳を目指します。
日本で10番目に高い山ですが、ここら辺は槍ヶ岳に付随する山として認識されているので、日本百名山等の選定対象には入りません。大喰岳の山頂に立たないで通過してしまう登山者もいます。
目を細めてみてもなんて書いてあるか分からない山頂が、日本で12番目に高い中岳です。日本には幾つもの中岳がありますが、その中で一番高い山と言えば、混同することはなさそうです。
色合いが抹茶、プリン、チョコレートにしか見えないので、ケーキが食べたくなってきます。南岳小屋でケーキの販売が開始されているのを事前に知っていたので、ケーキを食べると決心しました。
いつか叶えたい小さな夢は、ホールケーキを山頂まで背負い運び上げて、そこで食べる事です。
昨日はこれでもかという位、標高を上げながら登って来たので、今日は筋肉痛や不調でもあるのかと思ったのですが、多少の筋肉痛も歩き始めれば全く感じず、元気でした。昨日多かった登りは少なく、下りメインのコースなので足取りは天使のようで、リュックの重さも慣れてしまいました。身体が山家として覚醒してる気持ちです。
燕岳が綺麗に紅葉しています。あの山から、いつか槍ヶ岳に登ってみたいと思った登山者は多かったのではないでしょうか。私もそんな1人だったと思います。
初めて燕山荘(燕岳の山小屋)に宿泊した登山駆け出しの頃、2人で1枚の布団を使用するだけでなく、隣の布団の夫婦がいびきのオーケストラを奏でて、同じ空間で寝ることは叶いませんでした。今日の夜、1人オーケストラが演奏されるとはまだ知る由もなく。今でも登山駆け出しです。
ここで一気に駆け下りました。ここら辺は大きい岩が敷き詰められ、浮石も少ないので飛び跳ねながら高速ダッシュで進みます。これが快感なんです。ストックは持たずにバランス重視の走りなので、自然とペンギンのように両手を広げて猪突猛進です。客観的に見ると、変な人間です。主観的に見ると思う存分に楽しんでいるんです。ふんが、ふんがふんが!(鼻息)
槍ヶ岳から南岳までの稜線の地形は結構穏やかでおしとやかな印象なのですが、ここだけ屈強です。蜂蜜をかけたゴマ豆腐のようです。ゴマ豆腐には、練乳か蜂蜜が美味でござります。
そろそろ南岳の山頂に到着します。ここら辺はライチョウを見かけやすいらしいのですが、こんなに良い天気では姿を見せてはくれなさそう。南岳小屋はスタッフがコロナ感染症にかかっており、先日まで休業してました。
日本で17番目に高い標高3,033mの南岳の山頂に到着しました。ここでは、同じルートを歩いてきた単独の登山者に出会いました。どうやら初めてキレットに挑戦するとのことで、無事に通過できることを願いました。
普段単独で山を登っていると、自分に槍ヶ岳の穂先に登れる技術はあるのか、ザイテングラートは登れそうか、不帰ノ嶮は行っても良いのか等、全て自己判断する必要があります。実際に行ってみないと分からない部分も多いため、初めては勇気が必要だったりします。単独登山という同じ境遇だと、いつもより何倍も応援したくなりました。
実は、翌日に再開する機会があり無事にキレットを制覇できたとのことでした。おめでたい気持ちと同時に、私もキレットに挑戦したくなってきました。
久しぶりに南岳小屋が稼業しています。天気が穏やかで、キレット日和なのでキレットに行きたい気持ちがありますが、今日の宿泊場所は槍沢ロッヂです。
ならばせめて、じっくりキレットを目に焼き付けておこうと獅子鼻展望台で眼力を解放します。カアアアァッ!目力で、今日から君も美眼の仲間入り。
眼力パワー全開と思ったのですが、狭い場所で足元がガクガク震えだしてお漏らし案件でしたので、恐る恐る退却します。冗談か本気かは、想像にお任せします。
南岳小屋へお昼ご飯を食べに行きました。ここで食べないと、食べる機会は終着の槍沢ロッヂまでお預けになってしまいます。
南岳小屋では、ケーキと数量限定の豚汁定食の販売を始めており、昼食として両方注文しました。普通なら小屋近くの外のテーブルで食べるのだと思うのですが、わざわざ獅子鼻展望台まで食事を運びました。そんな一癖あるねじれた性格が好きなナルシストなのです、
単独の先客が2名いたのですが、十分なスペースがあったので相席させていただきました。そのうちの1人から、「日本で標高が1番高い給食だね。」と良いネーミングを頂いたので、そのまま頂戴いたします。カレーやラーメンは更に標高が高い場所で注文できそうですが、給食(定食)はどうでしょうか。
給食の豚汁は豚肉の存在感があり、柔らかくて美味しかったです。お米は残念ながら米粒の大半が干乾び始めており(アルファ米化)美味しいとは言えませんでした。お米は保温が大切だと学びました。お新香は美味です。
ロールケーキは外側がかすかに砂糖コーティングしてある感じが、食感を面白くさせており、味も普通に美味しいです。お菓子にハズレなしです。
豚肉は疲労回復に良いので、明日は長距離歩けそうです。ちなみに豚汁定食の写真をSNSに載せると、小さなお菓子を2つもらえます。ただ、せっかく街中から標高3,000mの山まで運び上げられたお菓子は、私のリュックによって標高50mもない街中まで運ばれてしまう結果となるのでした。やったね♪山ではお菓子はそんなに食べないかもしれません。
飛行機が飛び回っていたのですが、毎日新聞の取材のようです。上空から撮影された涸沢カールの動画がニュースに載っていました。
南岳小屋から南岳まで戻り、更に天狗原稜線分岐まで戻ります。
ここ天狗原稜線分岐から天狗池へは、急激に標高を下げていきます。下りで使う分には爽快なコースですが、登りでは使いたくないです。また下り方向だと、目の前の視界には常に絶景が広がるのがたまらないです。
左を向けばいつだって槍ヶ岳がいます。
目の前には常に氷河の浸食によってできた素晴らしい地形と常念岳です。
右には蝶ヶ岳があることも忘れていません。そして紅葉の絨毯も美しいです。登りコースだと目の前には常にそそり立つ壁と岩です。気分はきっとウォールマリアをよじ登る調査兵団でしょうか。進撃のライチョウはいずこにおられますか。
やっぱり山肌は色付いたほうが綺麗ですね。そして紅葉時期の涸沢カールと違って、登山者がとっても少ないです。写真に人が映り込みません。今ならいびきのオーケストラを奏でても、大声で歌っても誰の耳にも届きません。誰もいないなら、私は、、、ミステイクワルツでも踊りましょう。おいっちに♪おいっちに♪
昨日も訪れた天狗池ですが、今日の方が断然はっきりと水面に槍ヶ岳と紅葉が映し出されていました。
チングルマです。上のピンク色の綿毛が次第に下の個体のようになり、指で触れただけで簡単に綿毛が飛んでいってしまうようになります。繁栄の不思議です。
今日見たかったものは全て見終えました。天狗原分岐まで来たら、初日と同じコースを歩きます。槍沢ロッヂへ超特急で下っていきました。目指すは17時まで入れるロッヂのお風呂です。小屋の外に設置されている望遠鏡からは槍ヶ岳の穂先に登る人間の姿が見えますが、望遠鏡を使わずに穂先が見えたりもします。
到着が遅かったので、屋根裏部屋に単独登山者3人で寝ることになりました。そのうちの1人が今夜宿泊した登山者の中で唯一かつ壮大ないびきの持ち主だったようで、私を含めた残された2人は、苦笑いしながら廊下の一番端っこに布団を移動することになります。
私と一緒に苦笑いした人は、槍ヶ岳から下山してきてここに宿泊しましたが、明日は朝食を食べた後、涸沢カールへ1泊するようです。そういう話を聞いてしまうと、私もやっぱり涸沢カールへ行きたいです。
足は疲労が若干残りますが、翌日もまだまだ歩けそうというか、走れてしまうくらいです。そこで、明日は午前3時に起きて、横尾から涸沢カールへピストンして、上高地へ下山しようと思います。なので、翌日の朝食は頼まずに、お弁当にしてあります。
実際は横尾から涸沢カールへ行った後、パノラマコースで下山しています。
槍ヶ岳山荘は食事が以前と大幅に変更していましたが、槍沢ロッヂは変わらず唐揚げです。ですが、デザートや煮物、魚が今までと違っていました。どちらかというと、ランクアップしています。
夕食後、真っ暗な小屋の外で歯磨きをしていると、ふと気がついてしまいました。翌日の山小屋を出発する時間帯は真っ暗で、私は真っ暗が大の苦手で、暗闇登山は今までしたことないし、したくもなかったことを思い出しました。なのに、こんなこともあろうかと、ヘッドライトを1つ余分に持ってきています。熊は昼行性なので怖くありませんが、お化けがダメダメダメです。
登山の旅
海外の旅
国内の旅