トップ>登山>記録

紅葉の槍ヶ岳から南岳縦走と涸沢カールを登山 3日目

時刻は早朝3時を過ぎていますが、まだ槍沢ロッヂを出発できずにいます。爆音のいびきで一睡もできず、眠たい中、このままここにいても眠れないで終わるのだから起床します。
今日は涸沢カールへ紅葉を観に行きます。最初の予定(仮)では、そのまま横尾まで戻って上高地へ下山するつもりが、パノラマコースで屏風ノ耳まで足を伸ばしてしまいます。
3時半にようやく山小屋を出発することができました。周囲は真っ暗で沢の音だけが不気味に聞こえます。今日が暗闇登山のデビュー日になりました。お化けがでませんように。
槍沢ロッヂから横尾に到着しても真っ暗でしたが、数人がヘッドライトを着けて涸沢カールの方へ歩いていくのが見えました。本谷橋へ到着する頃には、ヘッドライトは必要なくなりました。
北穂高岳の山頂がモルゲンロートで光り輝いていました。
真っ暗だった時は、足元を照らすライトと、少し先を照らすライトの合計2つを使っていました。横尾までは行きに通った道なのに、少し広い空間があるだけでどっちに道があるのか分からなくなります。
この時期は、台風がやって来て紅葉した葉っぱが落ちて残念になってしまうことがあります。今年は大丈夫なようです。温暖化の影響で夏が終わると、秋が来ずに冬になったり、綺麗な紅葉が見れなくなるなんて話を聞いたことがあります。将来、今見れている景色は存続していけるのでしょうか。
「紅葉した葉っぱ」って、なんだか「家に帰宅する」のようなダブった二重表現に見えてきました。日本語、私、難しい、とっても。ダブった二重?
涸沢カールに到着しました。紅葉が最盛期です。今年は多くのナナカマドの葉が既に落ちて、赤が少ないみたいです。それでも赤、黄、緑、岩、空の5色が発色豊かに世界を支配していて、圧倒されます。
槍ヶ岳では今回も、以前も、海外の人が多いように思います。いつ頃から富士山のように有名になったのでしょうか。涸沢カールも既に国際化してそうですね。
予想より早く到着したことや、体力がまだ余裕があります。パノラマコースへこのまま行っても、帰りのバスは間に合います。渋谷のスクランブル交差点のような、涸沢カールの人混みから抜け出しました。
初めてパノラマコースを歩いたのは、初めて涸沢カールへ行った時でした。その時はテント装備でリュックがパンパンだったのを覚えています。それ故か、トラバース道が難所のように感じました。苦手に感じた通過点も、今日は普通に通過できました。リュックがスリムだったからか、少しは登山技術が身に付いたのか、どっちでしょう。
槍のように尖っている部分が、屏風ノ耳です。そこを目指します。その奥には屏風ノ頭がありますが、時間に余裕がなくなると心の余裕もなくなるため、今回はパスすることになります。
昨日山頂に立った槍ヶ岳があんなに遠くに見えます。登山して時々思うのが、「よくこんな距離を短期間で歩いたな」です。たかが1kmでも標高差があるだけで、歩くのにすごく時間がかかります。
今日のコースは、標準コースタイムが11時間10分、累積の標高差は登りが1,702m、下りが2,002mあります。距離は24.4㎞です。初日も同じような標準コースタイムだったのですが、歩きやすい涼しい気候だと、どこまでも行けます。
屏風のコルでリュックをデポして、朝食の弁当と水だけ持って屏風ノ耳を目指します。途中のハイマツでホシガラスが飛び去っていきました。
前穂高岳から槍ヶ岳までの展望が目の前にド迫力で広がる標高2,565mの屏風ノ耳に到着しました。低くも、高くもない程よい標高でした。
美しさの極み乙女です。北アルプス以外、北アルプスじゃないの。当たり前だけどね。紅葉していなかったら、ここまでの感動はなかったと思います。そして、本当はパノラマコースを歩く予定ではなかったのですが、計画を柔軟に変更して良かったと思いました。
迫りくるような雄姿は前穂高岳です。
ペーパークリップみたいに山肌を挟んだかのような奥穂高岳です。涸沢カールから見上げると、どこが山頂か分かりにくいのですが、ここだと天辺が一目瞭然です。
涸沢岳です。涸沢槍が全く目立たず、埋もれてしまう角度です。
北穂高岳は形が整ってて、擬人化したら美男か美女だと思います。
それでは、朝ごはんにしたいと思います。槍沢ロッヂのお弁当は、ちらし寿司です。槍沢ロッヂのお弁当をここで食べた、初めての人になるのではないでしょうか。朝食を山小屋で食べずに、お弁当を注文する人の多くは、槍ヶ岳に向かって歩いている途中で食べると思います。ここまで持ち運ぶ人はさすがにいなさそう。
槍沢ロッヂを槍沢ロッジだとずっと思っていた人間を見つけました。
常念岳
蝶ヶ岳
食後、山の景色を目で味わい、空気を鼻で味わい、満腹になったら下山を開始します。屏風のコルでデポしたリュックを回収したら、怒涛の如く下山しました。気が付いたら新村橋に到着です。怒涛のみすず学苑!
徳沢の方へ歩いていると、昨日南岳で出会いキレットに向かわれた方に声をかけていただきました。ここで、初キレット成功の話を聞けて、嬉しかったです。
横尾では気がつかなかったのですが、徳沢では電波の入りが悪い某電話会社と契約していても、電波が通じました。槍ヶ岳山荘の中や槍沢ロッヂの外なども、電波が届いていたので、時代は変わっていました。おっと、危ない。目の前にWifiが飛んでたので、危うく電波に衝突するところでした。
南岳では、南岳小屋に電波がなく、獅子鼻展望台でかすかに電波の存在を感じ取れました。霊感ならぬ、電感。感電しますよ。
明神橋を渡り、自然探索路コース経由で上高地バスターミナルへ向かいます。明神池は有料なのでパスします。側にある嘉門次小屋の鮎の塩焼きは、美味しいと有名です。しかし上高地で釣れる天然鮎ではなく、上高地で養殖されたわけでもないため、食べようと思ったことはないのが実際のところです。明神池から湧いた清流で育った鮎だから美味しかったとコメントを見かけたことはあります。
自然探索路は見所が多いです。
天然の鮎は数は多くないように思いますが、川を覗けば見かけます。
河童橋に到着しました。山の紅葉は今がベストでしたが、上高地の紅葉シーズンは、もう少し後のようです。
上高地に来た時は、徳沢園みちくさ食堂や小梨平食堂、上高地食堂で昼食を食べてました。今回最後の初めては、カフェ小梨で昼食にします。一見さんになります。トマトカレーは辛口でトマトの酸味とよく合いました。リコピンの美肌効果で日焼けした肌を労ります。
さわやか信州号に乗って無事に帰宅しました。座席は前の方を予約してあります。後ろの座席は、たまに無法地帯と化すことがあるので避けました。談合坂SAの鶏惣菜匠で夕食を購入しました。
3日間の登山はあっという間に終わってしまいましたが、密度の濃い内容でした。
2日目
登山の旅
海外の旅
国内の旅