カイコバイモ

カイコバイモとは、かつての甲斐国が産地であるコバイモであることが名前の由来になっている多年草で日本固有種です。山梨県とその周辺にしか分布していません。広鐘形の花を下向きに咲かせ、淡紫褐色の花被には網目状の斑紋があります。角ばっておらず丸みを帯びた花被の内側には黄色い線状の斑があります。柱頭は3中裂し、雄しべは6個あり、葯は白色です。

草丈は10~20cmあり、合計5枚ある葉は披針形や広線形をしています。花柄の基部に葉が輪生し、それより下部で葉が対生します。葉は緑色や茶色があります。

平成31年に、特定第一種国内希少野生動植物種に指定されています。同じ広鐘形の花を付けるイズモコバイモに似ています。花柱に突起があり、柱頭はほぼ3裂しないイズモコバイモと比べ、カイコバイモの花糸花柱は平滑で、柱頭は3裂します。

基本情報

和名:漢字
甲斐小貝母
学名
Fritillaria kaiensis Naruh.
分類:目
ユリ目 Liliales
分類:科
ユリ科 Liliaceae
分類:属
バイモ属 Fritillaria
分類:種
カイコバイモ F. kaiensis
花期
3~4月
赤リスト
環境省カテゴリ:絶滅危惧ⅠB類(EN)
東京都:絶滅危惧IA類(CR)
山梨県:絶滅危惧IA類(CR)
分布
東京都, 静岡県, 山梨県
分布地
南部町, 八王子市
その他

詳細情報

カイコバイモ
今年は咲かない個体
カイコバイモの蕾

カイコバイモは発芽してから開花するまでに4年は必要であり、かつ自家受粉はなかなか上手くいかない植物です。自生地が永続的に続いていくためには一定数の個体が必要であり、盗掘や人の圧搾など環境の変化で個体数が減ると、絶滅してしまいます。葉が1枚だけの姿は2年目以降の個体です。

カイコバイモの広鐘形の花
広鐘形の花
カイコバイモ

東京の八王子市には有名な自生地があり、カイコバイモの名前をネット検索するだけでタイプ標本が採取された南部町の自生地も含め、簡単に自生地場所が分かります。他にも東京には植栽して保護された公園があります。

カイコバイモ

カタクリが一緒に自生する地域では、カタクリよりも少し先に開花します。

カイコバイモ
4月上旬
カイコバイモ
真上から見た姿