コイワザクラ

コイワザクラとは、山地の岩場などで紅紫色の花を咲かせる多年草です。イワザクラと比べて小型であることが名前の由来で、花冠は径2.5~3cm、花筒は長さ約1cm、腎円形である葉の直径は1.5~4.0cm、草丈は5~10cmです。日本固有種で、白花はシロバナコイワザクラと呼ばれています。

花弁は深く5裂し、先端は浅く2裂します。花弁の基部は白色で、口辺部は黄土色をしています。葉の両面に白い軟毛が目立ち、葉柄や花茎にも存在します。葉の縁は浅く7~9裂し、裂片は尖った小裂片に浅く裂けます。同じコイワザクラでも個体差や地域差が大きく、花色や花の形、毛の量、葉の形などが多様です。

地域変異が大きいものとしてクモイコザクラやチチブイワザクラ、ミョウギコザクラがあります。

基本情報

和名:漢字
小岩桜
学名
Primula reinii
分類:目
ツツジ目 Ericales
分類:科
サクラソウ科 Primulaceae
分類:属
サクラソウ属 Primula
分類:種
コイワザクラ P. reinii
花期
4~5月
赤リスト
環境省カテゴリ:絶滅危惧II類(VU)
神奈川県:絶滅危惧II類(VU)
東京都:絶滅危惧IA類(CR)
分布
関東地方, 中部地方, 紀伊半島
分布地
丹沢, 箱根
その他

詳細情報

コイワザクラ

類似種との見分け方としては、主に葉を観察します。南アルプスや奥秩父に分布するクモイコザクラの葉はより深く裂け、鋸歯の先端がより鋭くなります。武甲山に分布するチチブイワザクラは、花茎や葉柄に赤い毛が密生します。妙義山に分布するミョウギコザクラの葉はより浅く裂け、歯牙が目立ちません。

コイワザクラ
花茎に毛があります。
コイワザクラ
白い毛が密集する葉

登山道脇や断崖などに自生しており、場所によっては群生していることもあります。1つの花茎に花を1~3個咲かせます。花は上向きです。

コイワザクラの花
丹沢に自生するコイワザクラ
丹沢(5月8日)

春に芽出して開花します。蒴果は長さ1cm程の長楕円形です。越冬は地上部が枯れます。