イヌセンブリ

イヌセンブリとは、低地や丘陵地の湿地に自生する一年草または越年草です。紫色の筋がある白い花を咲かせ、密腺溝の毛状突起は長く縮れて目立つのが特徴です。他のセンブリの仲間と比べて苦みが少ないため、薬用には用いられません。名前の由来は、役に立たないという意味でイヌという名前が付けられました。

草丈は大きいもので35cm以上になります。花冠裂片は卵状披針形をしており、長さは8~10mmあります。萼裂片は披針形や広披針形です。葉は広披針形をしており、長さ2~5㎝で対生します。

分布域は広いですが植生遷移や湿地の開発によって姿を消してしまいやすく、多くの都府県で絶滅危惧種または絶命に指定されています。また生育地はあっても個体数が少ないことが多いです。

基本情報

和名:漢字
犬千振
学名
Swertia diluta var. tosaensis, Swertia tosaensis Makino
分類:目
リンドウ目 Gentianales
分類:科
リンドウ科 Gentianaceae
分類:属
センブリ属 Swertia
分類:種
イヌセンブリ S. diluta var. tosaensis, S. tosaensis
花期
10~11月
赤リスト
環境省カテゴリ:絶滅危惧II類(VU)
静岡県:準絶滅危惧(NT)
神奈川県:絶滅危惧ⅠB類(EN)
分布
本州, 四国, 九州
分布地
六甲山
その他

詳細情報

イヌセンブリの花
成熟した葯はオレンジ色から黒色へ
イヌセンブリの花
葯が外れた黄色い花粉

花が咲く時期に根生葉はありません。越冬する時はロゼットの状態になります。

イヌセンブリ

日当たりが良く、水に浸っておらず乾き気味の湿地を好みます。用水池の周辺や水田の畔にも生育しています。晴れた日にしか開花しません。

イヌセンブリの蕾
イヌセンブリ
10月中旬