ヨメナ
今回登山する山は箱根の外輪山である丸岳です。乙女峠から湖尻峠まで歩きます。本当は丸岳と共に神奈川県の山(分県登山ガイド)に選ばれている三国山も踏破する予定でしたが、時間切れのため次回になります。富士山や芦ノ湖の展望を楽しみながらアケボノソウなど秋の山野草を観察する予定です。金時山は外国からの観光客も多く、山頂は芋洗いのような大混雑なので、行きませんでした。
まずは小田原駅からバスに乗り、ヨメナが咲いていた登山口から乙女峠を目指しました。乙女峠と言ったら、そこから名前が付けられた、箱根周辺のご当地植物であるオトメアオイが有名ではないでしょうか。
登山道ではセキヤノアキチョウジが咲いていました。今回は小田原駅からバスに乗りましたが、箱根湯本駅からも乗車することが可能です。ただし箱根湯本駅からバスに乗る場合は、箱根湯本駅始発のバスじゃないとバス車内で座ることが難しいです。観光地行きのバスは混雑しています。
登山道をゆっくり歩き、乙女峠に到着しました。富士山が雲で隠れながらも、冠雪した頂上部が姿を見せてくれました。乙女峠では日本人よりも外国人の方が多くいました。ですが、丸岳へ続く登山道で見かける外国人は皆無で、たまにトレラン姿の日本人を見かけるくらいの静かな縦走路でした。
サラシナショウマは網で保護された場所で見かけました。他で見かけなかったので、鹿の食害と関係があるのかもしれません。
乙女峠を後にします。
キッコウハグマはまだ咲いていないと思っていたのですが、1個体だけ開花していました。機会があればテイショウソウを見に行きたいです。箱根湿生花園では今頃、エンシュウハグマが見られると思います。
気が付かないうちに、紅葉の季節になっていました。アケボノソウの時期としては、ぎりぎりです。本当はもう1週間前に訪れたかったのですが、別のセンブリ属の植物が開花した情報が入り、そっちへ出かけてしまいました。アケボノソウもセンブリ属です。外輪山を縦走する登山道は厳しいアップダウンや危険個所もなく、老若男女歩きやすいです。
ヤマガラを見かけました。年間を通して同じ場所に留まる留鳥であり、渡り鳥とは対称的な鳥です。
標高1,156mある丸岳に到着しました。神奈川県の山(分県登山ガイド)の1座を踏破しました。
ベンチが2つあり、1つが空いたので昼食タイムにしました。
リュウノウギク
ノコンギク
丸岳の周辺からは抜群の展望がありました。右手には仙石原すすき草原、左手の外輪山は明神ヶ岳と明星ヶ岳で、どちらも神奈川県の山(分県登山ガイド)に選ばれています。ただし、山頂やその周辺からの展望があるのは明神ヶ岳のみです。
芦ノ湖や大涌谷、箱根山が見えました。こうやって見てみると、箱根がいかにゴルフ場化してしまっているかが分かりました。ゴルフ場ではなく森林だったら、箱根にはもっと豊かな植生だったと思います。最近、昭和36年に刊行された丹沢の植物に関する資料を読んだのですが、平成や令和の時代には想像できない程、丹沢が植生豊かな山塊だったのだと知りました。箱根も同様だったのだと思います。
ハコネトリカブトです。ヤマトリカブトの風衝地変化によって小型化し直立した見た目をしています。分類学的にはヤマトリカブトと全くの同種です。
笹薮が多い外輪縦走路です。この時期、竹を見かけると秋に竹藪で姿を見せる小さな植物を探してしまいますが、匂いませんでした。今年は開花時期が例年と大きく異なり、結構振り回されています。
箱根スカイライン料金所にやって来ました。現在いる場所は有料道路内になります。熱海にある玄岳へ登る登山道も有料道路の伊豆スカイライン内を歩けたりしますし、登山道と有料道路が隣接しているのは、登山あるあるです。
富士見ヶ丘公園から山頂が冠雪した富士山を眺めますが、雲が一部を隠しています。また今まで歩いてきた外輪山を振り返ると、山の展望がありました。
左側に見える山頂の建造物は無線中継所です。そこが丸岳の山頂になります。その右の山が金時山で、更に右が明神ヶ岳です。
芦ノ湖が目前に見えてきたら、登山は終盤になります。今回は標高1,000m前後の登山道をずっと歩いてきました。
箱根芦ノ湖展望公園からの景色です。桃源台港に停泊している箱根海賊船がいました。
黒岳を通過し、湖尻峠まで下ります。そこから登り返して目の前にそびえる三国山を歩きたかったのですが、山野草を探しながらゆっくり歩いたこともあり、湖尻峠から湖尻水門へ下山することになりました。
ヤマハッカ
桃源台バス停へ向かう途中、鹿に遭遇しました。箱根に自生する植物は猪に掘り起こされ、鹿に葉を食べられ、今年見れた植物が来年も無事に育つ保証はありません。鹿がいる低山はヤマビルがいることも多いですが、箱根ではまだヤマビルがいません。桃源台バス停からバスに乗って帰宅しました。
ここからは今日出会った山野草の紹介です。まずはトンボソウです。結実していましたが、何株か見つけました。群れずに、点在しているようです。
ダイモンジソウ
花が終わっていたヒゴダイです。箱根にはキントキヒゴダイとタンザワヒゴダイがいますが、どっちでしょうか。ヒメヒゴダイやタカオヒゴダイなど種類が豊富なヒゴダイ。
咲いている時の識別方法はネットに記載されていたりしますが、咲き終わった場合は情報ありません。タンザワヒゴダイのような気がしますが、確証はありません。
センブリ
ヤマラッキョウ
アシタカマツムシソウです。そういえば、神奈川県にあったソナレマツムシソウの自生地が、今年1ヶ所消えてしまったようです。以前そこに訪れた時は、1ヶ所でしかソナレマツムシソウを見かけなかったので、そうなるのではと危惧していました。
今日の本命の花であるアケボノソウです。高尾山でもアケボノソウが咲いており、ツメレンゲやタカオヒゴダイ等と一緒に見に行こうかと考えました。ただ高尾山のアケボノソウは、元々自生していた個体を保護して増やして植えたもので、ある意味植栽です。箱根湿生花園のアケボノソウも管理され植栽されたものなので、なるべく自然っぽい場所で見ることにしました。今回アケボノソウを見た場所は植栽なのか自生なのか、真相は不明です。