鹿児島港にある新港食堂

今日の登山は霧島連峰にある高千穂峰です。霧島神宮を観光したり、キリシマツツジやセッコクなどの山野草に出会います。ですが、霧島から遠く離れた鹿児島港にある新港食堂に朝食を食べに来ています。実は、これから船に乗って島に行く予定でした。悲しいことに欠航してしまい、霧島山へ急遽観光することになります。

朝食を食べてフェリー乗り場に到着して欠航の現実を知るまで、そんなことになるなんて全く想像できませんでした。なぜなら今日は暴風雨でもない、晴天だったからです。

新港食堂の貝汁定食

フェリーの出発まで余裕があったので、新港食堂でのんびり貝汁定食を食べていました。以前鹿児島に訪れた時は、隣にある市場食堂「城南店」で朝食を食べました。どちらも漁業関係者が朝食を食べに来る場所で、安くて美味しいです。どっちの店をお勧めするかとしたら、個人的には市場食堂です。

朝食を食べた後にフェリーの欠航を知り、島の宿に宿泊のキャンセルの連絡をいれます。そして、今日どこに行こうか限られた時間でネットで調べます。大隅半島にある高隈山岳はアケボノツツジが咲いているけれど、根占フェリー乗り場からバスでどう行けばよいのか、時刻表も不明、直ぐに計画立てられなさそうだったので却下です。開聞岳は見たいラン科植物が自生していますが、まだ咲いておらず、過去に登頂しているため却下です。韓国岳や高千穂峰がある霧島連峰なら、霧島神宮駅まで電車に乗り、そこから登山口までバスがありそうです。そんな紆余曲折で、霧島連峰へ行くことにしました。

鹿児島駅まで歩き、特急きりしまに乗車し、霧島神宮駅で下車します。バスに乗ろうとしたら、土日は平日の半分しかバスが存在しないため、ちょうど良い時間のバスが土曜の今日はありませんでした。そこで、電車から降りてきて、バスがなく困っている男性と一緒にタクシーを相乗りしました。男性は霧島神宮でタクシーを降りましたが、自分はそのまま乗り続け、高千穂峰の登山口である高千穂河原ビジターセンターにたどり着けました。

霧島連峰へ行くと決まってからは、すぐに宿の予約を入れています。今日、韓国岳または高千穂峰のどちらかにも登らず、霧島神宮を観光し、翌日どちらか登頂する可能性もあったため、霧島神宮の側で宿を確保しました。当日予約はなかなか見つからず、霧島神宮温泉あかまつ荘が空いていました。

今考えれば、えびの高原の方で宿を取ればよかったと思いました。(えびの高原の宿は部屋が空いておらず、宿が取れなかった可能性が高いです。調べが足りませんでした。)というのも高千穂河原ビジターセンターで情報収集した結果、頑張れば今日、高千穂峰に登って帰りのバスに間に合うこと、翌日は宿泊場所である霧島神宮からは大量のタクシー代を投入しないと韓国岳へは日帰りできないと分かりました。土日はバスが半分しか運行しないためです。

登山を開始します。島へ行く予定だったので山に行く恰好ではありません。街中を歩く靴を履き、ストックはありません。

霧島神宮の古宮址天孫降臨神籬斎場に到着しました。霧島神宮は元々、高千穂峰の背門丘(元宮)にありました。それが噴火によって古宮址天孫降臨神籬斎場に移動してきました。しかし更なる噴火によって、現在の場所、高千穂峰の麓に移動してきました。

ミヤマキリシマ

ミヤマキリシマが開花していました。高千穂峰は日本二百名山に選ばれている火山です。お隣の新燃岳は2011年や2017年に噴火にしており、木々が育つには難しい環境です。それ故にミヤマキリシマが群生できています。なので霧島連峰の木々が生い茂る山麓ではミヤマキリシマは見かけませんでした。代わりにアカマツが多かったです。

今日の登山ルートは高千穂河原ビジターセンターと霧島連峰の山頂をピストンするコースです。船が欠航するほどの強風が麓から山頂に向かって吹き上げており、真冬のようにかなり寒かったです。小さな子供連れの親子も結構な数、見かけました。

赤茶けた溶岩が風化し、小石になり、登山道はとにかくザレて滑ります。道に塗られた黄色い目印に沿って歩くと、登りやすいです。下山時は、この地面に寝そべっているかのように夫人が派手に転倒し、夫にキレていました。もともと登山が好きじゃなかったのが、登山大嫌いになった瞬間を目撃したかもしれないです。

御鉢にやって来ました。直径500m、深さ200mある火口です。大正時代まで頻繁に噴火を繰り返しています。

馬の背と呼ばれる御鉢の縁を歩きます。

新燃岳と韓国岳

手前に新燃岳、奥に韓国岳が見えます。

高千穂峰

高千穂峰の山頂が見えてきました。日本神話の神である瓊瓊杵尊(ににぎのみこと)が降臨した場所です。霊峰となっています。

登山口は鹿児島県になりますが、ここら辺は宮崎県になります。宮崎県にある有名な観光地、高千穂峡とは全く無関係です。

脊門丘には鳥居と社がありました。霧島神宮が最初に存在していた場所、元宮です。奈良時代の788年までここにありました。ここでは年に1回、脊門丘元宮祭が霧島神宮の神職によって実施されます。

元宮からは滑る急登になり、ここを登り切れば山頂になります。

桜島と開聞岳

高千穂峰は眺めも良く、右に桜島、左の奥に富士山のような姿をしている山が開聞岳です。

標高1,574mある高千穂峰の山頂に到着しました。

山頂には霧島東神社の宝、天逆鉾が刺さっています。取っ手の部分が顔に見えます。瓊瓊杵尊(ににぎのみこと)が降臨した時、突き立てた矛と言われています。天逆鉾を揺すると雨が降ると言われ、農民にあがめられたそうです。

山頂にある避難小屋で昼食にします。東側の稜線の先に、御池が若干見えています。その先に見えるのが木之川内ダムです。

高千穂河原ビジターセンターまで下山してきましたが、残念ながら最終のバスが3分前に出発してしまいました。こうなった場合、タクシーを呼ぼうと考えており、ビジターセンターで事前にタクシーの電話番号を入手しています。ですが、宿泊先までは歩いて1時間30分程です。歩いても暗くなる前に宿に到着できると考え、歩くことにしました。緩やかな下り坂なので、足が悲鳴をあげることもないのが決め手です。

様々な植物観察をしながらちんたら歩いていたら、1台の車が停まってくれました。地元の人で、乗せてもらえることになりました。ありがたいことに霧島神宮まで連れて行ってもらえました。バスに乗っていたら植物観察はできなかったので、一番良い結果になりました。本当に感謝です。

霧島神宮温泉あかまつ荘にチェックインします。温泉がありました。お客は数えるほどしかいません。昔は従業員も多く繁盛していましたが、今は夫婦2人で何とか営業している印象です。それ故に、建物の老化や最低限の掃除など、潔癖症の人にはお勧めしません。子供連れは来ないような宿なので、静かに過ごすには良かったです。

ヒッチハイクのおかげで今日、霧島神宮を観光することが出来ました。実は植物も登山も興味がなかった昔、団体ツアーで訪れたことがあるようですが、全く記憶にありませんでした。団体旅行だと思い出が記憶に残らないことが多いのは、自分で調べ、自分で好きなだけ滞在し、自分の好きなように行動し、時にハプニングに振り回されることが全くないからだと思います。

夕暮れ時だけあり、参拝者がほぼいませんでした。人混みが嫌いなため、静かな観光が出来ました。

推定樹齢800年のスギのご神木を見上げると、神様が手を合わせているような姿をしていました。

セッコク

境内ではセッコクが開花していました。派手な洋ランと違って、質素な姿が山野草好きの心に突き刺さります。

着生植物を普段目にする機会は少ないですが、ラン科植物のおよそ7割は樹上や岩上に根を張って生活する着生植物で、地面で土に根を張るのは少数派です。樹上でも地上でも見かける植物などもおり、知れば知るほど植物に興味がわいてくるかもしれません。

フモトスミレとタチツボスミレ

フモトスミレとタチツボスミレ

寿し処大鳥居

宿は素泊まりだったので、近場で夕食にしました。寿し処大鳥居で黒豚カツ定食を頂きました。翌日の夕食はファミレスのようなお店で同じような値段で黒豚カツ定食を食べたのですが、比べ物になりません。こちらが断然美味しかったです。

黒豚カツ定食

黒豚カツ定食

ここからは別日に出会った植物の紹介です。

サツマイナモリ

サツマイナモリ

ムヨウラン

霧島山にはムヨウランが存在するため、ムヨウランかもしれません。ただ、撮影場所は霧島連峰から離れた場所のため、ウスキムヨウランなど他の可能性もありそうです。咲いてみないと分からない姿でした。

ヒメウズ

ヒメウズ

ツボスミレ

ツボスミレ

アカネスミレ

アカネスミレ

ヒトヨシテンナンショウ

ヒトヨシテンナンショウ

ヒトヨシテンナンショウとカントウマムシグサの自然交雑種

ヒトヨシテンナンショウとカントウマムシグサの自然交雑種です。そのため、名前のない植物だと思います。名前を付けるなら、カントウヒトヨシテンナンショウまたは、ヒトヨシマムシグサとかでしょうか。

日程表