今回の登山先は丹沢です。ヤビツ峠からイタツミ尾根を通って大山を目指します。以前使ったことのある登山道ですが、その時は途中にある春嶽山の山頂を踏破しませんでした。ピークハントが目的です。また寒い日に見られる植物の生理現象、霜華を観察しようと思います。表参道で阿夫利神社下社へ下山する道中で転倒で頭部流血して動けなくなった登山者と出会うことになりました。

まずは、秦野駅からヤビツ峠までバスに乗って移動します。丹沢を登って数年、この路線で座れなかったことはないですが、今回も座れました。一番早いバスだと増便が1台、次は増便なしでぎゅうぎゅう、午前中最後のバスは全員が座れる位の混雑でした。

まずは岳ノ台へ向かいます。ススキが黄金色に輝いていました。

今日は狩猟中とのことで、猟犬や鹿の鳴き声が聞こえます。背丈よりも高いススキを藪漕ぎしようとしたら、狩猟関係者がレシーバーで登山者が通過する旨を他の関係者に共有していました。ススキで私の姿は隠れてしまいますし、情報共有がなかったら、鹿と間違えられて誤射されることもありそうです。今日は午前中だけで4頭の鹿を駆除したようです。

動物避けの扉を開けて、藪漕ぎをしたら、登山道との接点にまた扉があり、そこから脱出しました。

菩提峠がある方へ向かいます。今回の登山では、「みろく山の会」の団体と何度もすれ違いました。数グループに分かれていましたが、今日の参加者は70~80人程なんだとか。

大山の見晴台の付近では熊の出没で通行止めでしたが、今日解除されています。ただ熊は捕獲されていない模様です。

岳ノ台

岳ノ台で休憩します。実は、ここに来るのは初めてで、三ノ塔に行く時はここじゃない時短ルート(寺山富士見橋公衆便所がある林道)を選んでいました。いつか来ようと思っていました。

丹沢では鹿の数が激減した時代がありました。保護されていたこともあったのですが、次第に数を増やし、森林の被害が出てからようやく鹿の駆除が始まったようです。猪は鹿よりも個体数が少ないですが、個体あたりの被害面積が大きく、標高の低い田畑を荒らすことで問題になっています。

岳ノ台の展望台から見た大山です。山で見かける神奈川県猟友会の人は今まで男性ばかりでしたが、今日は女性の比率が高めでした。登山者が多い場所での狩猟のためか増員しているのかもしれません。

ヤビツ峠まで戻って来ました。ここからイタツミ尾根を歩きます。ヤビツ峠レストハウスが営業しているのを初めて見ました。いつも営業時間外にしかヤビツ峠に滞在していないため、幻のお店でした。

ベンチで休憩します。大山から阿夫利神社下社への表参道(本坂)は以前歩いたことがあったのですが、その時は転倒による行動不能で救助されている女性を見かけました。低い山ですが、年に40件程の事故がある山です。

鎖はありますが、難所はありません。小さい石ころの上を歩くと、滑りやすい登山道です。また落ち葉によって滑って転倒も注意が必要です。本当はカンスコロバシ沢右岸尾根を歩こうと計画をしていたのですが、冬は陽の時間が短く、あっという間に暗く寒くなるため、別の機会にしました。

一般登山道の途中で道を外れます。と言っても難所はありません。道も明瞭です。

春嶽山

数分の寄り道をしただけで、春嶽山(はるたけやま)の山頂に到着しました。標高は949mあり、春岳山と記載されることもあるようです。立派な山頂標識が存在しますが、いつかは朽ちてしまうでしょう。けれど忘れ去られたかのような場所なので、朽ちたままになる気がします。それ故に、山頂標識の文字が読めるうちに登頂しておきたかったです。

一般登山道に戻って来ました。この先に春嶽山の山頂があるなんて看板は存在しません。春嶽山の存在を知らないと登頂できないレアな山です。イタツミ尾根で大山を登った他の人の登山記録の9割以上は、春嶽山が完全無視されています。かつての私も同様で、春嶽山の存在を知ってから、スルーしたことを後悔していました。

稜線からは相模湾が見えました。山に登ったなら、海より山岳景観を望みたいのが心情です。

丹沢の山塊と共に富士山が見えました。大山北尾根でも似たような景色が見れますが、どっちがより良いかと言うと、イタツミ尾根からの景色でした。個人的に大山北尾根かと思い、この後少し歩いたのですが、予想が外れていました。表尾根が遠く遠くに感じました。

今日は高尾山でダイヤモンド富士が見れたようで、シモバシラの霜華と共に多くの人がその写真を投稿することになります。

表参道との合流地点に到着しました。

今日は宮ヶ瀬湖の側にある仏果山と高取山を登山する人が多いのではないでしょうか。小田急では宮ヶ瀬ダムハイキングパスを販売しており、通常より安い料金で電車とバスに乗れます。ちなみに今日はヤビツ峠から大山へ行く計画だったので、丹沢・大山フリーパスを購入しています。ヤビツ峠へ行くなら、表尾根と大倉尾根を縦走し、大倉へ下山しても通常料金よりフリーパスの方が安くなることがあります。

大山

日本三百名山に選ばれている大山に到着しました。

大山北尾根へ立ち寄り、富士山の景色を撮影してみました。やっぱりイタツミ尾根から見た景色の方が良いです。

おやつ休憩をしたら、表参道(本坂)を使って下山を開始します。

ここよりもっと下った本坂14丁目で、転倒して動けなくなっている男性に出会いました。同行の女性の話では救助隊に連絡済とのことでした。男性は仰向けになっており、背中が岩に当たって辛いとのことだったので、同行の女性と一緒にその人の体位を変えて、その2人のリュックを背中に差し込んだり、ホッカイロを手袋の中に入れたりするくらいしか役に立てませんでした。身体を少し起こす時、頭部から出血しており、ニット帽が真っ赤に染まっていました。

今日の私の荷物はほぼ空っぽでした。アルミシートがあればと頭の中で思いながら、ずっと入れっぱなしのレジャーシートの存在を完全に忘れていました。防寒として使えたのに。また未使用の水があったので、側を通りかかった人にガスバーナーを持っていないか尋ねて、湯たんぽを作れたかもしれません。その場を去り、下山してから、あれこれもっとできたことを考えてしまいました。

自分が今羽織っている唯一の防寒着を渡すことができなかったです。救助隊が到着したのは、けが人に出くわしてから約1時間かかったかどうかだと思います。森の中なので、その頃は暗くて寒くてとても辛くて不安だったと思います。救助隊を私が見かけたのは、阿夫利神社駅でケーブルカーを待っていた時で、16時30分に登りのケーブルカーから出てきました。

阿夫利神社下社に到着しました。お店が幾つもあるので、てっきりそこから誰か救助しに行くのかと思ってました。北アルプスとかだと山小屋の人が遭難者の救助に向かうのはよくある話ですが、そういう人がどの山でも常駐していると都合良く思い込んでいました。

救助隊を見かけた阿夫利神社駅からケーブルカーに乗り、大山ケーブル駅で降りたら、バスに乗って伊勢原駅まで行き、電車で帰宅しました。後で伊勢原警察署の山岳遭難事故発生状況を確認したところ、転倒で動けず遭難されていた方は軽傷となっていました。

霜華

最後に、もう1つの目的であった霜華です。霜の花を咲かせる植物は限られているのですが、開花条件に合致していても必ず霜華が見られるわけではないようで、全体の2割程が開花していました。

日程表