オゼソウ

オゼソウとは、尾瀬で発見されたことが名前の由来になっている多年草です。北海道の天塩山地と至仏山や谷川岳の蛇紋岩地帯にしか自生していない日本固有種です。クリーム色の花は上向きに20～40個程付ける総状花序で、草丈は10～20cmあります。葉は線形の根出葉で長さは3～20cm、幅は1～4mmです。花茎には鱗片葉もあります。

花は外花被片が3個、それより長い内花被片が3個あります。花柱も3個あり、子房は上位、果実は蒴果です。雄蕊は6個、花柱は3個です。

かつては蛇紋岩以外の場所にも生育していましたが、他の植物との競合によって、植物が生育しにくい蛇紋岩のみに生育するようになりました。天塩山地の個体はテシオソウとも呼ばれ、本州の個体より草丈が高く花数も多いですが、遺伝的な違いはありません。

蛇紋岩は、そこから溶け出したマグネシウムイオンが植物の根の水分吸収を妨げるため、生育できる植物が限られ、独特の生態系が生まれます。

オゼソウの葉と花が集まった群生地。1属1種のため、オゼソウ属の植物は世界中でオゼソウしか存在しません。