登山を始めたばかりの初心者の頃は、登山でどれくらいの水を持参すればよいか悩むのではないでしょうか。登山中に必要な水分量は体重と行動時間を基にした計算式で算出できます。しかし、その日の気温や湿度、水場の有無、標高差、飲料水の種類など多くの要素が関わっています。
そこで、計算の要らない持参すべき飲料水の量を紹介します。また、どんな種類の飲料水を持っていくのが良いかもお伝えします。
水が余る分には困りませんが、水が足りずに脱水症状になると、本当に動けなくなり遭難予備軍となります。夏場の低山は、顔面に汗を溺れているかのように大量に噴きだし、動けなくなっている登山者を見かけることがあります。飲料水の量だけでなく、登りはじめのペース配分や、塩分と糖分補給も忘れずにしていきたいです。
標高2,000mを優に超える高山帯では、標高を上げてしまえば真夏でも涼しいです。しかし低山では気温と湿度が高く、熱中症のリスクは終始高いです。
水場がない、もしくは山小屋で飲料水を購入しない時は、ペットボトルを4本持っていきます。1本は好きな清涼飲料水です。コカ・コーラやアクエリアス、ポカリスエットなどです。美味しいため、無駄に多くガブガブ飲んでしまいがちです。持参するのは1本までにしておき、ここぞという甘いドリンクが飲みたいときに適宜飲んでいます。塩分や糖分が補給できない清涼飲料水の場合は、タブレット菓子で補う必要があります。もう1本はお茶です。ついつい飲み過ぎることはないけれど、味があるものがお茶です。残りの2本は水です。飲むだけでなく、怪我や泥で汚れた部分を洗ったり用途が幅広いです。
基本的に4本あれば大丈夫です。ただし、水場がなく長丁場の急登が永遠と続くような場所では、もう1本何かしらの飲料水があると安心です。例えば、北アルプスの笠ヶ岳へ向かう笠新道です。そこは水切れで引き返した登山者もいるほどです。
春秋はペットボトルを3本、冬の低山は2本です。水は1本持参し、それ以外のペットボトルは何でも構いません。
基本的に1本余ってしまうことがありますが、時々余らないこともあります。僅かでも余らない時があるなら、その分を毎回持っていくようにしています。持参した水が完全に余ってしまう時や、水が重たくて歩けない場合は、山に水を捨ててしまう方法もあります。その可能性があるなら、清涼飲料水やお茶、コーヒーなどではなく、持参する飲料水の大部分を水にするのがおすすめです。水なら登山道に廃棄しても問題はありません。
水場がある登山をする場合、水を最低限しか持っていきません。登山開始時に水場がある場合はお茶が入ったペットボトル1本です。水場が途中でなくなる場合は、空のペットボトルを持参んします。最後の水場、もしくはその1つ手前の水場で空のペットボトルに水を詰めます。最後の1つ手前の水場で給水する理由は、最後の水場を何らかの理由で通り過ぎる可能性を考慮してです。初めての山に訪れた時は、水場が分からないこともあるかもしれません。
水場が枯れていないか、衛生的に問題なさそうか事前の下調べは大事です。大腸菌が検出された水場も存在しており、沸騰消毒が必要なこともあります。
例えば、上高地を起点として登山する場合、上高地に無料の水場があるため、上高地に到着するまでの間に必要な飲料水しか持参しません。そこから槍ヶ岳へ向かう時は、ババ平までは1時間ごとに水場があるため、各水場ではペットボトル1本分の給水のみです。ババ平からは槍ヶ岳山荘までは水場がないため、ババ平で空のペットボトルを含め、4本分の給水をします。そうすることで、余計な荷物を背負わず、かつ水不足の心配もいりません。
個人的には、ベンチのないババ平ではなく、ベンチがあり朝食休憩をする槍沢ロッヂで槍ヶ岳までに必要な水を全て給水してしまいます。
登山中に必要な飲料水の量 = (体重+荷物) × 5 × 行動時間
この計算式はよく知られています。計算して出した値は絶対的なものと思ってしまう登山者もいます。しかし天気や気温、湿度、累積標高差などが加味されていません。目安でしかなく、登山をする度に計算するのが気にならない人向けです。どうせ目安なら、夏ならペットボトル4本、それ以外なら3本くらいの認識でも良いかもしれません。