今回登山する山は、高知県にある横倉山です。コオロギランと呼ばれるラン科植物を探します。朝ドラ「らんまん」の撮影地でもあり、植物学者である牧野富太郎のゆかりの地です。高知駅から電車に乗り、佐川駅でバスに乗り換え、最寄りバス停である宮ノ前公園バス停から横倉山を登山します。数々の山野草を観察するだけでなく、神聖なる神社を見学したり、稜線で出会う景色も楽しみです。
まずは始発の電車に乗って佐川駅に到着しました。今回の登山装備は登山靴ではなく、スニーカーです。ストックは未使用です。車で来ない場合は長距離の車道歩きがあるため、舗装道路でも歩きやすい靴にしました。
佐川駅からバスに乗って、宮ノ前公園バス停で下車しました。バスの本数は平日よりも休日の方が少ないです。これは田舎あるあるだと思います。バス停の近くには自販機があるため、そこで登山に必要な水分を確保できます。そこと目の前にある「かわの駅おち」以外は給水ポイントが皆無です。蒸し暑い時期にコオロギランは咲くため、水不足に注意します。
横倉山自然の森博物館を通り過ぎます。横倉山の登山口がある横倉山第3駐車場まで約2時間30分、舗装道路をひたすら歩き続けます。車だと30分です。しかし徒歩だからこそ、山野草との出会いがあります。
今回の高知への旅行はホテル滞在しており、横倉山以外にも訪れています。これから紹介する山野草は発見したものの一部であり、全てが横倉山とは限りません。また高知へ来る度に必ず買ってしまうお土産のベスト1位も紹介いたします。
車道を歩いていると、横倉山の中心部が見えてきました。通り過ぎる車は数えられるくらいで、コオロギランが咲く時期でも、訪れる人は僅かのようです。
車道脇では高知の名産である生姜が育てられていました。横倉山は低山で鹿が生息しています。けれどヤマビルはいないようで、足元を気にせず歩けます。
横倉山第1駐車場を通り過ぎ、そのすぐ先にある織田公園で朝食を食べながら、公園にある横倉山展望台で仁淀川の景色を堪能しました。
横倉山三角点がある尾根への登山口に到着しました。今回は、横倉山第3駐車場から登り、ここへ下山します。
車道歩きはまだまだ続きます。道の分岐点はここの1ヶ所のみです。今まで歩いてきた車道は林道横倉長者線であり、越知町と仁淀川町を繋いでいます。仁淀川町へ行くなら国道33号を使った方が早いです。
八坂神社が車道脇にありました。祭神は天児屋根命で、安徳天皇の勧請で建てられました。
横倉山第2駐車場がある場所まで来ました。ここから三嶽古道の石段を登って行くことも可能です。その場合、途中で幹の太さが5mもある夫婦杉が存在し、観光スポットになっています。三嶽古道とは源平の戦いに敗れた安徳天皇を擁する平家一門が、旧仁淀村別枝都から行在所を横倉山に移す際に通ったと言われる道です。
横倉山第3駐車場に到着し、トイレ休憩をしてから進みます。ここから車道ではなく、土の道になります。車は10台程しか停まっていませんでした。
横倉山の案内地図です。
歩いてきた林道横倉長者線では、イワタバコが咲いていました。白花はありませんでした。
登山道は比較的歩きやすく、勾配も少ないため、登山靴がなくても問題ありませんでした。登山ではなく公園歩きのような感覚です。それだけ楽なハイキングコースです。
杉原神社に到着し、拝殿でお参りをします。杉の巨木に囲まれたような場所で、厳かな場所でした。
神社の裏に彫刻が素晴らしい本殿があり、平家の守護神である熊野権現が祀られています。事前の知識を持たずに訪れたのですが、同行者曰く、威厳のある男の神様がちゃんと中にいるとのことです。
横倉宮へ向かいます。アブやらスズメバチやら、まとわりついてくるので注意が必要です。
横倉山のカツラ
モミジタケが生えていました。食べることができないようです。他にもウスキキヌガサタケやマゴジャクシ等のキノコも自生しています。
横倉宮にあるベンチで昼食にします。神社の左側に道があり、馬鹿試しと呼ばれる絶景ポイントへ続いています。
馬鹿試しの岩場からは桐見ダムが見えました。
安徳天皇陵墓参考地です。本当は住吉神社まで訪れたかったのですが、少し早い時間のバスと電車で高知駅まで戻る予定だったので、ここで引き返します。
横倉宮まで戻ったら横倉山三角点を目指します。今まではハイキングコースでしたが、ここからが登山コースのような若干険しい道になります。
横倉山三角点に到着しました。標高773mですが、より標高が高い山頂は馬鹿試し辺りでしょうか。最高峰は800mあるようです。三角点の周りにはベンチがあったので、休憩します。横倉宮から下山までに出会った登山者は2人(1組)のみでした。
横倉山は土佐桜と呼ばれる石灰岩が採掘できる山で、アクセサリーとして加工されるようです。ここら辺から岩場が出現してきます。
稜線歩きになると、道が細くなり、切れ落ちる場所もありました。
岩場にはケイビランや岩場特融のシダ植物等を見かけました。
稜線から見た桐見ダム
かむと嶽石鎚神社に到着すると、度胸試しのような鎖場がありました。ただ、鎖を使わないルートもあるため、そちらで下山します。
下界の田園風景
足を踏み外したら大怪我間違いなしです。
こちらは避けて通れない鎖場ですが、足場がちゃんとしており、難易度も危険度もありませんでした。他に鎖を使う場所はありません。
横倉山第1駐車場まで下山したら、行きと同じ車道を歩き無事に下山完了しました。一見道の駅のような雰囲気の「かわの駅おち」に立ち寄りました。地元土産もありますが、スポーツ商品が多かったです。
宮ノ前公園バス停からバスに乗り、佐川駅で電車に乗り換え、高知駅へ戻りました。
夕食は駅から歩いて行ける高知イオンモール店で、蕎麦とカツ丼のセットを注文しました。信州そば処そじ坊だけ空いており、そこに入りました。ですが味が良く、カツ丼はフワサク、選んで正解でした。
本当は以前お世話になった和食処「津野郷」に行く予定だったのですが、駅から遠いため次回の高知旅で再度訪れることにしました。ひろめ市場は「どろめ」等の珍味が売っていますが、人混みだらけだと思うので選択肢には入れていません。
高知に来たら必ず買ってしまうお土産は「吟醸カステラ 蔵出し」です。高知駅のお土産売り場で購入できます。お酒入りの重たいカステラは一口食べただけで虜になりました。
ここからは山野草の紹介になります。まずはコオロギランです。朝ドラ「らんまん」が放送された年は、大勢の観光客が訪れ、自生地の踏み付けが酷かったようで、コオロギランの自生ポイントでは柵が設置されています。
ミヤマウズラはちょうど見頃でした。
セッコクが樹木に着生していました。
ヒナノシャクジョウは2ヶ所で見かけました。どちらも1個体しか生えていなかったので、なかなか珍しいと思います。
最初、ヒメノヤガラかと思ったのですが、シャクジョウソウでした。
ユキモチソウです。高知県には同じテンナンショウ属の植物であるマイヅルテンナンショウが自生しています。
ナンカイアオイです。四国にはサカワサイシンも自生しており、カンアオイ属の植物はどれもご当地色が強いです。
シコクママコナ
スズムシバナ
とってもセクシーなクチベニタケが幾つも生えていました。
トチバニンジン
ヤマジオウは咲き終えていました。
ホウライシダは四国の4県では絶滅危惧種になっています。
ヒナシャジン
テバコマンテマ
チャボツメレンゲ