今回登山するのは愛鷹山です。幾つもの山頂があるため愛鷹連峰とも呼ばれ、最高峰の越前岳と未踏だった呼子岳を踏破する予定です。また鋸岳への入り口である蓬莱山も訪れます。アシタカツツジやアシタカカンアオイ、オノエランやジンバイソウなどの山野草が自生する山ですが、この時期はどんな植物に出逢えるでしょうか。シロテンマもたまに生えているそうです。
まずは御殿場駅からバスに乗り、愛鷹登山口バス停で下車します。他に三島駅からバスに乗り須山バス停で下車する選択肢もあります。
愛鷹登山口バス停から歩いていきます。越前岳へ登るには終点の十里木バス停でバスを降りるのもありですが、運賃がその分高くなります。熊注意の表示がありました。
林道を歩いていると「不法投棄」に関する注意書きがありました。そういえば、とある山でアマギカンアオイの観察を終えて歩いていると、不法投棄している人に遭遇したことがあります。軽トラに積んでいた大量の木の枝を廃棄し終えたタイミングでした。すれ違う時、やけにフレンドリーに話しかけられたのが印象的でした。樹木の枝や木くずなどの廃棄物は自然に還るとしても不法投棄に該当します。
須山愛鷹登山口に到着します。ここから反時計回りに周回するコースを登山します。登山口の側には無料の駐車場があり、車は数台しか停まっていませんでした。
登山コースは危険な場所はなく、トータルの距離は13km、登りの累積標高と下りの累積標高は共に1,060mくらいでした。ヤマビルが生息していないため、足元を気にせず歩けます。最近は箱根の一部にもヤマビルが進出してきています。ヤシャビシャクなどの着生植物がどこかにないか見上げながら、地面の植物も忘れずに進んでいきます。
愛鷹山荘を通り過ぎて、富士見峠までやって来ました。今回は久しぶりのソロ登山になるのですが、平日の登山ということもあり、すれ違う人の数も少なく、少し慣れないです。
登山道脇ではツクバネソウが咲いていました。
鋸岳展望台では鋸岳の険しい山容が見えました。一番右には、今日訪れる予定の蓬莱山でしょうか。富士山が見える展望ポイント、富士見台がこの先にあるのですが、富士山は既に雲で隠れてしまいました。
アシタカツツジは、ここ愛鷹連峰から名前が付けられたご当地の樹木です。葉が3枚しかないトウゴクミツバツツジと比べて、葉が5枚あるのが特徴です。同様に葉が5枚あるヤマツツジとは花の色が異なるため、これらが見分けるポイントになりますが、既に咲き終わっていました。
花の端境期かもと思っていたのですが、ベニドウダンはまだ咲いていました。
天気は晴れだったのですが、ガスってしまいました。それでも暑いので、ハンディー扇風機で涼みながらゆっくり登っていきます。
日本二百名山に選ばれている愛鷹連峰。その最高峰である越前岳の山頂に到着しました。標高は1,504mあります。ベンチが幾つもあるため、ここでお昼休憩にします。
呼子岳へ向かうための稜線を歩いていきます。ここから先は、歩く人が少ないと思います。実際に、越前岳より先で出逢った登山者は0人でした。
愛鷹連峰を南北に延びる稜線が続いています。時間があれば位牌岳や袴腰岳、愛鷹山なども縦走し、三島駅の方へ下山できたら良いですが、そうは問屋が卸さないのが現実です。
画面中央のちょっと右側にある山頂が今から目指す呼子岳だと思います。
呼子岳に近くなってくると岩場がありました。岩場特有の山野草がないか探してしまいます。
クワガタを発見しました。そういえば珍しい山野草を採取してはフリマサイトで販売している人のブログを度々訪れているのですが、クワガタも漏れなく採取するのが好きな人でした。葉が斑入りの植物を高値で販売しており、斑は指紋のようなものなので、個人ブログとフリマサイトの個人ページが直ぐに結びつきました。斑入りのコアツモリソウが6,500円で即売れていたので、儲かりますね。
ナツトウダイが開花していました。名前はナツなのに、夏に咲かないのが特徴です。
標高1,310mある呼子岳に登頂できました。
山頂からは大岳が見えていると思います。
割石峠へ向かって下っていきます。途中で滑りやすい道がありますが、ロープが設置されており安全でした。
愛鷹連峰の稜線歩きは、エスケープルートが特にないので、疲労や怪我で行動不能になったら怖いですね。特にもう誰ともすれ違わない一人登山ですし。。
登山は普段から手やストックを使わず、足だけを使うスタイルなので、梯子を降りるのは苦手です。特に、梯子を背にして降りがちなので、本当は身体を180度回転すべきとは思ってはいますが、必須じゃない場所はしないで通過しがちです。
割石峠に到着しました。このまま下山しようか蓬莱山へ登ろうか迷います。蓬莱山へ行っても時間的にぎりぎり間に合いそうだったので、蓬莱山へ行くことにしました。
リュックをデポして行こうとしましたが、水が必要になるかもしれないし、直感を信じてリュックを背負うことにしました。
滑りやすい急な登りです。
蓬莱山に到着しました。ここから少しだけ鋸岳へ行ってみましたが、タイムアップとなり、引き返しました。鋸岳への縦走ルートは、位牌岳まで行かず、蓬莱山と鋸岳のピストンなら危険度も低いのかもと考えましたが、時間に追われて風化や崩落が進んだ道を歩くのは危険です。
割石峠に戻って来て、須山愛鷹登山口へ下山します。
枯れ沢をずっと歩くようなルートで、行きと帰りでは景観が大分違いました。どこかにアオホオズキがあって、ちょうど開花していそうと思いましたが、緑一色の切れ落ちた崖では見つけるのは難しそうです。
至る所にイワタバコの葉がありました。
苔の森を通過します。時期を変えてまた再訪してみたい場所でした。
イチヨウランとか自生していないか探してしまいます。今月、高山型のイチヨウランがタカネイチヨウランとして新種発表されています。
第二ケルンを通過し、第一ケルンまでやって来ました。
大沢橋を通過すると、東沢分岐に来ました。前岳を登頂して位牌岳を目指すこともできますが、いつかの課題にしておきます。
渡渉ポイントは問題なく通行でき、林道を歩いていくと須山愛鷹登山口に合流し、愛鷹登山口バス停からバスに乗って無事に帰宅しました。
ここから今回の登山で出逢った残りの山野草をまとめて紹介いたします。まずはオオバノトンボソウです。低い山や緑地に行くと見かけやすいラン科植物です。花が咲く前に虫に食べられてしまいやすいです。まだ開花前でした。
こちらはミヤマウズラです。色んな山に自生していますが、今回は1ヶ所でしか見なかったので、個体数は多くないと思われます。斑入りの葉は観賞価値が高いと言われ、人気だったりします。
ジンバイソウの葉がありました。
アカバナヒメイワカガミらしき葉がありました。他にも山野草は色々ありましたが、ここまでにしておきます。