今回登山する山は大菩薩嶺です。バイカオウレンやウスギオウレン、ヒメイチゲといった珍しい山野草が咲き、日本百名山に選ばれています。前回訪れた時は、上日川峠から大菩薩峠を目指し、山頂から唐松尾根を下山するコースタイムが短い初心者コースでした。今回は石丸峠から登り、丸川峠へ下山する距離が長いコースを歩きます。そのため登山者が少なく自然を満喫できます。それでも難易度は低く初心者向けです。
まずは甲斐大和駅からバスに乗車し、小屋平バス停で下車します。
帰りは、大菩薩峠登山口バス停からバスに乗って塩山駅へ向かいます。逆ルートにすると石丸峠の標高が高いため、下りよりも登りの累積標高が増えてしまい、標準タイムが増えてしまいます。また特急列車で帰る場合、塩山駅は特急列車が停車しますが、甲斐大和駅は通過してしまいます。
今回歩く大菩薩嶺の登山マップです。上日川峠と石丸峠のエリアだけなら、歩く範囲や距離は短いですが、丸川峠や大菩薩峠登山口バス停を含めると、果てしない距離になります。ただし大菩薩峠登山口バス停と塩山駅を繋ぐ山梨交通のバスは一律300円の乗車料金で、破格の安さです。甲斐大和駅から上日川峠・石丸峠へ向かう栄和交通バスの乗車料金は1000円程です。
小屋平バス停から石丸峠を目指して進んでいきます。今回の目的の花であるバイカオウレンは、朝ドラ「らんまん」のモデルになった牧野富太郎が愛した花として知られています。石丸峠から登らずとも、より簡単な上日川峠コースでも出会うことが出来ます。
大きなタチツボスミレが咲いていました。
栄和交通バスは全員座ることができます。体力があるなら、途中のバス停、すずらん昆虫館前バス停で下車し、日本一長い山名を持つ牛奥ノ雁ヶ腹摺山から大菩薩嶺を縦走するのも良いと思います。
上日川ダムがある大菩薩湖の展望地がありました。大菩薩嶺は秩父多摩甲斐国立公園に指定されており、植生豊かな苔の森が広がります。オコジョの目撃情報があるので、カモシカも含めて注意深く歩いていきます。
緩やかな登山道は、お散歩コースと断言できそうなくらい歩きやすく、初めて日本百名山に登頂するのにぴったりです。
目の前に見える山頂は小金沢山(雨沢ノ頭)です。牛奥ノ雁ヶ腹摺山は、その奥に隠れて見えませんでした。
本当は富士山が見えるのですが、今日はお留守でした。それでも展望良し、山野草ありの良い山だと思います。曇っていた方が植物は綺麗に撮影できます。
石丸峠に到着しました。
少し勾配のある坂道を登っていきます。前日の大菩薩嶺の天気予報は晴れでした。けれど丹沢は雨の予報。大菩薩嶺は本当に晴れるのか懐疑的だったので、翌日の今日に登山実施日をずらしました。実際、昨日はガスって今日よりも悪天候だったようです。
標高1,978mある熊沢山に到着しました。
バイカオウレンが咲き誇っていました。例年はゴールデンウィークが見頃になります。
大菩薩峠へ向かって歩いていきます。今まではすれ違う人は僅かで静かだったのに、峠に近づくと人で賑わう音が聞こえてきます。
大菩薩峠には登山バッジや登山Tシャツなどが売っている売店が並び、またトイレもあります。地味で展望のない大菩薩嶺の山頂で記念撮影するより、展望がある大菩薩峠で撮影する方が映えます。それ故に大菩薩峠での撮影において、人の顔が映らないように人混みが減るのを待ちました。
大菩薩峠から大菩薩嶺までは笹と岩の開けた登山道で、展望がばっちりです。南アルプスの山々が見えていました。
標高1,952mある親不知ノ頭に到着しました。読みは「おやしらずのあたま」です。6月になると、ここら辺の登山道にレンゲツツジが咲き誇り、緑と赤のコントラストが綺麗な場所になります。
大菩薩嶺の山体が見えてきました。立ち枯れした木々が何とも言えない情景です。
賽ノ河原を通過します。登山道は左へ続いていますが、そっちへ行かず真っすぐ進むと妙見ノ頭になります。
鹿の群れに遭遇しました。山野草が食害にあっているのだと理解しました。自然の摂理ですが、バランスの均衡が保たれていれば良いです。
人慣れしており、人に近づいてきます。ヤマビルがいない場所で良かったです。
標高2,057mある大菩薩嶺の山頂に到着しました。山頂が渋滞しそうだったので駆け足で追い抜かし、山頂で写真を撮って、そそくさと退散し、近場で昼食休憩にしました。
丸川峠の方へ下山していきます。ここからは下りがメインになります。
丸川荘がある丸川峠に到着しました。少し道が荒れていたり、崩落個所もありましたが問題ありません。本数が少ない帰りのバスの時間を気にしながら進むだけです。
丸川荘は宿泊可能な山小屋で、湧き水と自家焙煎珈琲を使ったコーヒーが売りです。周辺には夏に開花するヤナギランなど植物もあります。
エイザンスミレなど複数のスミレが咲いていました。山野草の同定で苦手なのがスミレ属の植物です。他の植物と比べて興味が薄い花でもあるため、尚更区別が出来ず、見分け方も覚えられません。
ツツジが咲く時期になってきました。今年はヒカゲツツジを見ずに見頃が終了してしまいました。丹沢でシロヤシオを見ないでしまうのか、どうでしょう。シロヤシオをメインで見に行くことがもうなくなってしまいました。他の植物のついでにシロヤシオの花を見ることが多いです。
ハシリドコロです。有毒である半面、鎮痙剤としての薬にもなります。毒と薬は表裏一体なのが分かります。
みそぎ沢まで下山したら、痩せ尾根や急登は出てこなくなります。ヒトリシズカが咲いていました。
ムラサキマムシグサを発見しました。マムシグサは沢山見かけましたが、どれも緑花でした。ここだけなぜかムラサキです。どちらかというと黒い花でした。
大菩薩峠登山口バス停に到着しました。トイレあります。甲斐大和駅からのバスと異なり、ここから塩山駅へ向かうバスは乗客が多くありませんでした。
塩山駅に到着しました。バスの中で特急あずさの指定席を購入したのですが、電車が大幅の遅延していました。本来なら既に出発していた一本前の特急かいじの自由席に乗って帰宅しました。電車の遅延を確認せずに特急券を買うのは良くないと勉強しました。
今回の登山で出逢った植物を紹介します。まずはウスギオウレンです。
バイカオウレンとウスギオウレンが一緒に咲いていました。
お次はヒメイチゲです。
ヒメイチゲの群生です。日が当たらないと開花しないため、天気が悪いと残念な結果になります。ヒメイチゲを含めたキンポウゲ科は、日光に左右されやすい種が多い気がします。
バイカオウレンとヒメイチゲの共演です。
最後にこちらはバイカオウレンなのかコシジオウレンなのか不明な植物です。バイカオウレンは種小名が「5枚の葉」という意味があるように、葉が5枚です。けれど、こちらは葉が3枚でした。コシジオウレンは別名ミツバノバイカオウレンと呼ばれており、葉が3枚です。バイカオウレンとの違いは葉の枚数以外に説明がある情報は乏しいです。コシジオウレンにおける葉の表面や形、質感などは産地によって違いがあるように感じ、今回見つけた個体の葉と似ている産地もあれば、似ていない産地もあるようでした。葉が3枚あるバイカオウレンに関する情報はなかったため、同定保留の個体でした。