下田富士は全国各地にある郷土富士の1つで、山容が富士山に似ています。伊豆半島や伊豆諸島にしか自生しないソナレセンブリを観察する傍らで、下田富士を登山します。ちょっとした観光の隙間時間や、バスや電車が来るまでの隙間時間を使って、ちょっとした山に登ることを「隙間登山」と定義し、隙間登山家のパイオニアとなるべく布教していきます。

まずは電車で伊豆急下田駅にやって来ました。車窓から見えた富士山のような山は、駅前からも見えています。ここからだと富士山には見えないです。フェリー乗り場が近くにある下田公園(城山公園)から見る下田富士は、港町と富士山のコラボレーション景色を見ることができます。

下田富士

伊豆急下田駅から徒歩3分で、登山口に到着です。時計で言う5時の方向にあります。登ろうと計画した時、登山口がどこにあるのか分からず、ストリートビューで下見をしました。隙間登山という僅かな時間の中で、電車の遅延で駅に到着する時間が遅れてしまいました。時間内に登り切れるでしょうか。

下田富士は富士山と同様に、昔は神聖な女人禁制の山でした。周囲は町に囲まれ、標高191mと低い山ですが、とても空気が澄んでいました。空気が美味しいと思えた不思議な場所です。

展望はあまり期待はできません。目の前には寝姿山、眼下には駅が見えるくらいです。この時期の植物はコウヤボウキくらいでしょうか。ご当地富士を全て登りたい強者(読み:ヘンタイ)がいるとしたら、この山は必須になります。

わっ、わっ、わたしが登ったことのあるご当地富士は、磐梯山(会津富士)、榛名山(榛名富士)、仏果山(半原富士)、経ヶ岳(荻野富士)と、とっても少ないためヘンタイとは程遠いのです。

下田富士は、大昔に活動していた海底火山が伊豆と本州の衝突により隆起したものです。長い年月によって浸食され、火山の中心にあったマグマの通り道(火山の根)が姿を現した結果が下田富士です。

一番の難所は片側が切れ落ちた細い山道(参道)です。

冷え固まった溶岩の上を歩くと、太平洋が見えてきました。

下田富士の山頂

山頂にあるイワナガヒメを祀る浅間神社の小さな社に到着しました。これで登頂です。登り標準タイムは30分ですが、半分程の時間で登れました。

社の背後です。少し休憩したら無事に下山し、下田富士を後にして海岸へ移動します。

海底火山だった下田富士に対して、今度は海岸の柱状節理です。溶岩がゆっくり冷え固まると、綺麗な5角形や6角形の割れ目になります。有名な日向岬や東尋坊の柱状節理とは異なる、知る人ぞ知る観光スポットのように思います。

江戸城の石垣を築くために石材を切り出した場所にやってきました。人工的な景観が長い年月の中で浸食され、角が丸くなり、マーブル模様になったのだと思います。ベンチと柵がなければ、自然の舞台になりそうです。

最近、海岸でソナレマツムシソウに出会う機会があり、その流れでソナレセンブリも見れたらと思っていました。

ソナレセンブリ

どこにいるのかと思っていたら、苦労せずにソナレセンブリとも出会えました。植物探しは空振りで終わることも多いですが、迷うことも悩むこともありませんでした。

他のセンブリの仲間と全く異なる姿は一見の価値ありでした。葉が幅広で光沢があり、センブリの仲間とは思えません。海水に強くなるための進化でしょうか。ハマセンブリ(Swertia japonica (Schult.) Makino var. littoralis Hid.Takah.)も存在するようですが、ちょっと分からなかったです。

ハマアザミ

ハマアザミ

ハマシャジン(ツリガネニンジン)です。多分、ツリガネだと思います。ちゃんと観察も撮影もしなかったので同定できずです。

イズアサツキ

イズアサツキはどこにでも生えていました。

イソギク

イソギクは開花前でした。他にもハマダイコンやアゼトウナ、ハマカンゾウなども開花していました。伊豆急下田駅に戻り、電車で帰宅して終了になります。

日程表