ルート
暑い夏でも比較的涼しく歩け、ヤマビルに出会うことがないのが西丹沢です。今回はマイナーな山頂である善六山と塩地窪沢ノ頭(ショチクボノ頭)を目指します。比較的歩きやすいバリエーションルートですが、一般登山道として整備されておらず、道標がないためGPSアプリを使用しています。通過するルート上に本棚・下棚と呼ばれる2つの滝があるため、そこも立ち寄ります。
まずはバスで西丹沢ビジターセンターを目指します。今日は平日であるため、ビジターセンターは休館でした。夏休み期間のため、親子連れのキャンプ客が沢沿いに多くいました。
登山道を歩き始め、途中で渡渉をしながら、まずは下棚に到着しました。この時期ならではの水量と水しぶきによる涼しさがあります。崩落個所があるため、立ち入りは注意が必要です。
本当は善六山と塩地窪沢ノ頭ではなく、別の山へナツエビネやレンゲショウマを観に行こうか迷っていたのですが、午後1番のバスで帰宅する予定だったので、それならまだ歩いたことのないマイナーコースを選びました。今回歩くコースは午後1番のバスが到着するよりも早く下山できてしまうため、比較的ゆっくりペースで歩いています。
本棚です。水遊びをしている高校生グループがいました。滝を観に来る人はいても、ここまで水遊びをしに来る人はなかなかいないように思います。ちなみに夏の土日や祝日は、複数の釣り人が登山道沿いの渓流で釣りをしています。
滝見学を終えたら、善六山へ向かいます。ベンチで朝食休憩です。畦ヶ丸へ続く道ですが、前回この道を歩いたのは4年前とずいぶん昔です。どんな登山道だったか全く記憶になかったので斬新でした。
ベニシュスランは時期的に終わっていると思っていたのですが、登山道で咲き残りを見つけました。今年は、東丹沢にある開花前のベニシュスランが大量に盗掘されてしまったので、非常に悲しかったです。去年も大きく掘られた跡があったので、動物の仕業にしては奇妙だと思っていました。
ミヤマウズラの葉がありました。複数個体見つけましたが、どれも花茎が伸びていなかったので、今年は咲きそうにありません。もうすぐ見頃の時期になります。
イチヤクソウの葉がありました。
一般登山道は、全て整備しきれていないのか、バランスを崩したら危険な場所もあります。西丹沢にある箒沢公園橋から石棚山への登山道は去年よりも崩落して難路になっています。丹沢はとても広い山塊ですが、他の山と比べて自慢できるほど整備が行き届いている山です。こんな所まで木道になっているとびっくりすることもあります。広すぎる故に、難しいところだと思います。
畦ヶ丸と善六山への分岐点に到着しました。このまま左の痩せ尾根を歩かずに、右の登り道へ進みます。
この急登を登れば善六山に到着できます。右手には鹿除けの保護柵があり、その中は緑でいっぱいでした。それに比べて、この道は土オンリーです。鹿の食害の威力がなんとなく感じてしまいました。
標高1,119mある善六山に到着しましたが、山頂の看板はありません。右手が開けて展望があるのですが、今日がガスっていたので、景色はお預けでした。
山頂に腐生植物であるツチアケビが赤い実を沢山つけていました。
塩地窪沢ノ頭を目指して、下って行きます。登り返しがそこまでないため、体力的に楽ですが、整備されていない急な道なので、木の枝を掴みながら慎重に進みます。ちなみに塩地窪沢ノ頭は、山頂付近の痩せ尾根で滑落による死亡事故が以前発生しています。途中でシャクジョウソウを見つけました。
ここで遭難しても、誰ともすれ違うことがないので、事故らないことがマストになります。
特徴的な姿の木を見つけました。ここを右へ行くと小山沢右岸尾根のようです。今日は左の方へ向かいます。
あっという間に塩地窪沢ノ頭(ショチクボノ頭)の山頂に到着しました。標高は1,033mあります。ここからは登りは皆無で、下りだけになります。1つの尾根が複数に枝分かれしており、分かりにくい場所があるので、適宜GPSで居場所の確認をしていきます。
美味しいと噂のタマゴタケは何度か見かけました。卵の殻のような白い部分が存在すれば、ベニテングタケなどの毒キノコではないと確認できますが、素人なので見るだけが無難です。
最初の尾根分岐に到着しました。上記登山地図の分岐と書かれている場所です。ピンク色の輪ゴムが左側の尾根の木の枝に付いており、そっちへ下って行きます。登山地図の赤いルートでも下山できますが、今回は行きません。
更に下っていると、尾根の分岐を間違えて、予定していた尾根の隣の尾根を下ってしまいました。少し登り返して修正しました。修正せずにそのまま下っても下山できたのかもしれませんが、知識も技量もないため、不要なリスクは選択しません。ちなみに分岐には目印もなく、見た目的にも明確な分岐ではありませんでした。
沢の音が聞こえてきました。一般登山道への合流点は目前です。途中で、地面近くの木の中にハチの巣があったので、避けて通過しました。
トラロープの下をくぐったら、一般登山道に合流できました。今降りてきた尾根は「焼山沢右岸尾根」と呼ばれています。善六山と塩地窪沢ノ頭の稜線歩きでは、誰とも出会うことがありませんでした。このまま西丹沢ビジターセンターまで戻り、バスに乗って無事に帰宅しました。
本当はこっちの尾根を下りてくるのかと思っていました。後で調べてみると、ここからは塩地窪沢ノ頭の隣にある標高849mある焼山への道でした。帰りのバスまでの時間に余裕があったので、塩地窪沢ノ頭から焼山まで足を伸ばせば良かったと心残りです。焼山とは北丹沢にある標高1,059mの焼山とは別です。
ここからは丹沢の外伝記録です。丹沢に登山をしに行ったけど、どこかの山頂を踏破していなかったり、記録に残すには取れ高が少ないなどの理由でお蔵入りした登山記録があります。それをこちらでまとめて紹介します。
まずはトンボソウを見つけました。他の山域で観に行こうと思いながら、結局観に行かず、そのあと丹沢で出会った植物です。オオバノトンボソウは丹沢山塊で何度か見かけますが、こちらは初めてでした。
こちらはヒメノヤガラです。
こちらは大量のエビネの葉です。これだけ大量の群生地は最近まで知りませんでした。
安心してください。4年以上ヤマビル生息域を歩いていますが、ヤマビルに血を吸われたことは、今日まで1度もありません。今回歩いた西丹沢のルートにヤマビルは存在しませんが、ヤマビルがいるルートを歩くこともあります。この時は、靴やカメラのショルダーベルトにくっついた3匹と、遭遇しただけの1匹をディート入りスプレーで御仏にいたしました。
血を吸ったヤマビルが肌にくっついているのを知りながら、殺さずにヒルをリリースする登山者がいるようで、丹沢ではヒルの生息域拡大や数が増えている場所があるなんて噂もあります。秦野市では「引き剥がしたヤマビルは、そのままにすると繁殖し増えてしまうため、塩や薬剤で必ず駆除する。」と市のホームページに明記してあります。
ヒルを駆除しない登山者による、ヒル増殖の影響はどれくらいなのか不明ではあります。ただ、東丹沢の最寄り駅である秦野駅までヤマビルを持ち帰り、駅でヤマビルを生きたまま50匹以上を放置したニュースが話題になったことがあります。街中に持ち込んだヒルは、気が付いたのなら、ちゃんと処理すべきだと思います。阿鼻叫喚です。生息域の拡大に貢献していると、あたなの地元の山にもヒルが大量にやって来ますよ。高尾山がヤマビルの生息地になるまでのカウントダウンは既に始まっているのか、否やかどっちでしょう。