今回の登山先は富士山にある双子山です。一番の目的は腐生植物のトラキチランを見ることです。どの登山口から歩こうか迷ったのですが、先月は富士宮口五合目から植物散策をしたので、今回は御殿場口新五合目にしました。それなら、登山口から近い双子山と御胎内も訪れてみようと思い、計画しました。寄生植物であるミヤマツチトリモチもこの時期出現しているのですが、今年は出現せずとのことです。

まずは御殿場駅からバスに乗って御殿場口新五合目に向かいます。値段がお得な往復チケットを御殿場駅で購入しており、下山先は水ヶ塚公園になるのか、富士宮口五合目になるのか、須山御胎内バス停になるのか決めていなかったため、水ヶ塚公園までの往復チケットを購入しました。

大石茶屋で朝食休憩です。自衛隊やマラソン選手があちらこちらに溢れかえっていて、不思議に思っていました。どうやら富士登山駅伝競走大会だったようです。毎回自衛隊が優勝しているレースで、昔ニュースで放映されてました。北海道が駐屯地である、るもい自衛隊の旗が山小屋に掲げられていたので、全国規模での参加なのだと思います。

富士山山頂へ向かう道は人が多いですが、双子山への道は、人がほとんどいません。

火山性スコリア荒原で自生するパイオニア植物が広がっています。何もない場所に鳥が種子を運んできて、特定の植物が広がり、雨や植物の根が岩石を細かく砕き、植物が土に還り、他の植物が繁栄できるようになる。そんなサイクルを人間の短い人生で体感することはありませんが、そんなことを妄想させる場所でした。そんな私は西之島がどうなっているか定期的に気になります。

茎の色が赤いため、ベニイタドリだと思います。

まずは標高1,804mある下双子山(下二ツ塚)に到着です。

ガスっており、富士山の山頂はずっと見えないままでした。これから向かう上双子山だけは何とか見えています。

富士登山駅伝競走大会に参加しておらず、業務もなさそうな自衛隊の人がちらほら観光しているのを見かけたので、強制的に駆り出されているように思いました。休日がつぶれていないことを願うばかりです。休日返上の業務命令に基づかない接待ゴルフとかしたら、魂が身体から抜けてしまいます。

高原庭園

ネバリノギランです。今まで見たことはあったのですが、花を触ったことがありませんでした。触ってみるとセロテープのように粘着しており、ネバネバしてました。

このネバネバは、受粉を助けてくれる訪花昆虫に対して花の蜜を与えたいけれど、蟻など受粉を助けてくれない昆虫に対して蜜を与えないための仕組みです。粘着式ネズミ捕りのようなネバネバで蟻を蜜から遠ざけているということです。

上双子山の山頂を目指し登っていきます。1歩登る度、半歩滑り落ちるような足場です。

標高1,929mある上双子山(上二ツ塚)にやって来ました。

宝永山の一部が見えます。上双子山は登るのは大変な反面、下山する時には、足が地面に沈みながらずり落ちていくため、なかなか楽しいアトラクションでした。秒で下れます。

今日の山頂登山はこれにて終了になります。ここからは今回出会った植物紹介がメインになります。

フジアザミです。山中湖周辺にある鉄砲木ノ頭には、白花であるシロバナフジアザミが自生しています。

ムラサキモメンヅルは山梨県では絶滅危惧種ⅠB類に指定されています。日本では他の山ではあまり自生しておらず、富士山に集中しているため、富士山らしい植物でしょうか。

巨大なハナビラタケです。主成分のβ-グルカンはガン抑制、免疫力アップ、コレステロール減少などの効果があります。β-グルカンを多く含む霊芝ドリンク(キノコ茶)を興味本位で以前飲んだことがありますが、激マズだった記憶です。けれどハナビラタケは美味しいと聞くので、気になる存在ではあります。

アリドオシランは見頃を終えていました。意外と富士山のあちこちで自生しているように思います。

葉が斑入り個体も存在していました。

ミヤマウズラなのかヒメミヤマウズラなのか、開花してみないと私には断定できませんが、ミヤマウズラだと思います。

コフウロです。

ヤマシャクヤクもやはり自生していますね。種子は赤と黒があり、結実しているのが黒です。これがなかなか覚えられず、赤が結実して、黒が結実していないと迷ってしまいます。覚えたところで、何の役にも立ちません。

ここは、幽玄、隠世、常世、黄泉への誘い。はっ!私は一体、どこを彷徨っていたのか。

タイムワープしたかのように、現実世界へ帰還しました。木の並びが幾何学的で、植林したみたいです。きっと植生林ですね。

最後に紹介する植物は、今日のメインゲスト、トラキチランです。

トラキチランは自生地が限られていて、会いに行くだけでもなかなか大変です。花柄子房がねじれないためイカのような見た目です。「萌えしか勝たん」とはこの見た目、この植物のことですね。推しが尊いので、ケミカルライト両手持ちして、オタダンで祭ります。腐生植物に敏感に反応して、厨二病数値が上がってしまいました。

立ち寄るところがまだ残っていました。ここ、須山御胎内と呼ばれる洞窟です。洞窟には入ることができません。ここを目的として訪れる人はほとんどいないと思いますが、こういう時じゃないと来る機会がないかも。

洞窟の代わりに、地下トンネルをくぐり抜けて須山御胎内バス停へ下山しました。水ヶ塚公園始発のバスに乗って無事に帰宅です。

日程表