樹木に着生するカヤラン

今回の登山する場所は丹沢です。4月末前後に、丹沢のあちらこちらに何度か足を運んでいます。そこで見つけたコイワザクラなどの植物を順不同で紹介していきます。面倒くさい性格のため、大ざっばに科属でまとめて紹介していますが、ばらけていることもあります。

1回の登山で20km近く歩いたり、ヤマビルが登山靴にくっついたり、帰りのバスに間に合わすために走り飛ばしながら下山したり、大変なことも多いです。丹沢は山深く、便利さと不便さの両方があるため、避けられません。

カラヤンの花と蕾

丹沢じゃなくても観れる植物の種類は多いです。けれど丹沢をホームグラウンドにする者にとっては、丹沢で敢えて植物を観察したいという気持ちがあります。丹沢という自然の中に自生する植物は、植物園や庭の鉢植えで観る植物とは全く異なります。野生の中で生きている姿は何とも魅力的です。また、花を観るために行列に並ぶ必要もありません。

その代わり、花の情報はネットには少なく、見頃に訪れることの難しさ、見つけ出すことの難しさ、体力的な難しさは、いつも直面しています。「丹沢は北アルプスより大変」という言葉を聞くことがあります。

植物の紹介に話を移します。まずはカラヤンです。神奈川県では絶滅危惧II類です。木に着生しているラン科植物です。頭上を観察しながら歩かないと見つけられない植物です。実物を観たことがないと、視界に入っても気が付きにくいと思います。今回は沢山のカヤランを見つけられましたが、初めてカラヤンを探した時は、地面に落ちていた個体だけ発見し、木に着生している個体は1つも見つからなかった記憶があります。

こちらはカヤランだらけの木です。人工的に着生させたわけではなく、ありのままの自然の結果だと思います。この時見つけたカヤランが付着した木は5本でした。頭上ばかり見てると、地面の植物を見逃してしまいます。他の人はどのように、地面や頭上の植物を探しているのか木になります。

コイワザクラの花

コイワザクラは環境省と神奈川県と共に絶滅危惧Ⅱ類になっています。写真を沢山撮っていると、通りすがりの年配の男性に声をかけられました。盗掘されるから場所をネットに載せないでほしいとのことでした。丹沢にはコイワザクラが山ほど存在しています。それ故か、SNSには明確な場所の記載と共に写真が載っている投稿が腐るほどあります。場所の記載は賛否両論いつの時代もありますし、また時既に遅しです。

この植物は手が届かないから場所を教えても良いとか、そこまで珍しくないから場所を何となく教えても良いとか、絶対に場所を教えない植物など、基準は人それぞれだったり。

最近、サイハイランを大量に盗掘している後期高齢男性が発見された投稿がありました。場所は神奈川でした。残念なことに、同一人物らしき男性が再度キンランを大量に盗掘しているのを発見されたようです。みんなで花を楽しむのは難しいことなのでしょうか。

ちなみにSNSは、花の見頃や自生場所を知るにはよく役立つ手段です。色んな山野草だけでなく、自撮り写真を一緒に載せている人もいます。丹沢を歩いていると、自撮り写真とそっくりな人を見かけることが何度かあります。同じ人の花の投稿を何度も見ていると、顔も自然と覚えてしまいます。後で確認すると、同じルートを同じ日時に歩いている投稿があります。その度に世間は狭いのだと感じるのでした。

コチョウショウジョウバカマ

こちらはコチョウショウジョウバカマです。以前はシロバナショウジョウバカマやツクシショウジョウバカマと呼ばれていた種で、現在はコチョウショウジョウバカマに統一されています。見頃に訪れることができませんでした。玄倉林道では、ヒカゲツツジと一緒に観れます。

崩落した玄倉林道は熊木沢出合まで歩けるように復旧されたようですが、ロープを張って通行止めになっているようです。経験のある登山者は通過して、観光客は引き返すポイントでしょうか。玄倉林道で落石による手の負傷で、救助を呼んだ投稿を最近見かけたので、登山の技量とは技術だけではないことを学んだ次第です。私は「私は大丈夫。」と思ってしまう性格なので、事故に遭わないようにせねば。アカバナヒメイワカガミは来年以降の訪問になりそうです。

キクザキイチゲの白花

キクザキイチゲは幾つもの自生場所があります。丹沢ではアズマイチゲを見つける方が難しい気がします。

色違いもあります。キンポウゲ科の花はどれも綺麗です。登山者に人気があるのが分かります。とは言っても、丹沢は花好きよりも、花にそこまで興味がない山好きが多いので、スルーされやすい花かもしれません。

ツルシロカネソウの花

ツルシロカネソウもキンポウゲ科です。しわのある葉っぱは、しおれているのではなく、個性です。葉にシワがあると、どんな植物にも水を沢山あげたくなります。フウランなど、それで根腐れを起こす植物がいるとは知りませんでした。

咲き始めで、これから数が増えていく時期なのに、しおれているように見えてしまいます。陽がないと花が開かない植物の1つです。太陽光があると白い花は撮影しにくいので、曇り空が撮影しやすいです。それだと花が開かなくて、やっぱり晴れててほしい。けれど、それだと、あわわわわ。

ランヨウアオイの花

ランヨウアオイの花を見つけました。葉っぱは以前も見たことありますが、丹沢で花を観るのは初めましてです。アオイ系の葉っぱは、フキのような植物の葉と見間違えることが多く、見分けるのが苦手でした。けれど茎が紫がかった焦げ茶色がランヨウアオイで、緑色だとアオイ以外だと気が付いてからは、見分けが楽になりました。フキのような植物の茎はいつも緑色でした。

ウマノスズクサ科の花は、カンアオイ属もウマノスズクサ属も個性あふれる種が多いです。ハマる人はハマります。ランヨウアオイを観れたなら、今度はズソウカンアオイやウスバサイシンも観てみたくなります。そういえばパンダカンアオイを箱根湿生花園で展示していて、印象的だったのを思い出しました。花の模様が確かにパンダに似ています。

開花する前のランヨウアオイの蕾を見つけました。キノコみたいです。

今年もギンリョウソウが咲く季節になったのかと老いを感じると共に、腐生植物の季節が開幕しました。ギンリョウソウは腐生植物に興味を持つきっかけになった思い出のある植物です。

オウギカズラです。「ふ~ん」と通り過ぎてしまうような植物かもしれないですが、見た目が可愛いです。京都府では絶滅種の日本固有種なんだとか。四ツ目の蜘蛛オジサンみたいな、見た目のインパクトしか勝たん。

ヤマシャクヤクの花

ヤマシャクヤクは、この時期に丹沢に歩く理由の1つでもあります。ここでヤマビルが靴に引っ付いて、奇声をあげたのは帰宅してからもトラウマです。定期的にヤマビルチェックをしているので、血を吸われずに済みました。ディート入りの虫よけスプレーをヒルに噴射して三途の川を渉らせました。気温が高くても、肌寒くても、ヤマビルはあなたの血を狙っています。

ここのヤマシャクヤク自生地は以前訪れた時に、掘り起こされて盗まれた穴が数か所あった場所です。ここの場所が容易に推測できる、今年のヤマシャクヤク開花記録がネットに載っていたので、盗掘の危険性は避けて通れない気がします。コイワザクラよりも数が少ないです。

ほぼ全てが蕾で、開花は2~3日後、更に数日後には見頃終了しそうな予感です。ヤマビルを避けて休憩するために、土嚢や丸太の上など、ヒルがいない場所、またはヒルが近寄ってきても気が付ける場所で立ち止まります。

ヤマウツボは寄生植物です。色鮮やかな紫色は鮮度の証です。そして、鮮度はあっという間に終わってしまう印象です。東京都では絶滅危惧ⅠB類です。高尾山では既にヤマウツボは終了していますが、丹沢はまだ大丈夫でした。

地面から顔を出すときは、直立していないんですね。曲がった状態でお目見えするとは以外でした。おめみえ、、、そうそう、「おにみえさん」という郷土料理は一度食べたら病み付きになるほど絶品なんだとか。そこの、あなた。食べてみたいと思いませんか。

ヨゴレネコノメは結実していました。また来年です。

エンレイソウの花

エンレイソウを発見です。ミヤマエンレイソウとの違いが分からずにいたのですが理解できました。花弁に見える外花被片が3枚あるのがエンレイソウ、そこに更に白い内花被片があるのがミヤマエンレイソウでした。

小さくても花が咲いていました。背丈は10cm未満です。

オキナグサの花

オキナグサです。大倉バス停がある戸川公園には沢山植栽されています。環境省のレッドデータでは絶滅危惧Ⅱ類、神奈川では絶滅危惧IA類、東京都では絶滅種です。植栽による個体数は一定数あるためか、多くの県で絶滅危惧種になっているとは想像していませんでした。

斑入りマムシグサです。テンナンショウ属は種類が多くて、個体差も大きく、識別が難しいです。日本には53種のテンナンショウ属が存在します。性転換する雌雄異株です。雄株の仏炎苞は花粉を運ぶ虫が中に入った後、脱出できる穴があります。雌株は穴がないため、受粉するために花粉を運んできた虫を仏炎苞の中に閉じ込めたまま三途の川へ渡らせます。

ヒトツバテンナンショウ

ヒトツバテンナンショウです。仏炎苞の内面中央近くに八の字の斑紋があるので見分けが容易でした。複数の小葉からなる葉が1個が標準タイプですが、こちらは珍しく葉が2個でした。

今までは、テンナンショウ属を見る度に、ウラシマソウとムサシアブミ、ユキモチソウ以外は全てマムシグサと呼んでました。色んな種類が存在し、種ごとに色々な違いがあるとは知りませんでした。

クロハシテンナンショウ

クロハシテンナンショウです。仏炎苞の内面先端部が黒くなっているのが特徴です。ヒトツバテンナンショウの変種です。葉が1個の標準タイプでした。

ここのクマガイソウは例年通りの開花だと思います。丹沢にある他の自生地では昨年より2週間程開花が遅れている情報がありました。

エビネはまだ開花せずです。丹沢の里山では見頃を迎えています。

キンランです。丹沢の中心部である丹沢大山国定公園の標高のある場所では開花していなくても、国定公園外の神奈川県立丹沢大山自然公園では開花していました。

ギンランはキンランよりも遅れて開花していました。近寄らないと存在に気が付かないくらい、背丈も花も小さいです。

ササバギンランは、ギンランより見つけやすいはずですが、丹沢ではあまり見つかりません。

ミヤマウズラは葉が大きく、今年開花してくれそうです。毎年花を観られない場所もあったりします。

ベニシュスランの葉

ベニシュスランの葉です。

アオフタバランの葉

アオフタバランの葉です。

サイハイランの葉です。高尾山ほどではないですが、ある程度の個体数がありました。

マルバスミレはエイザンスミレとタチツボスミレの次くらいによく見かけます。距がピンク色なのが素敵なので、距を見えるように花の正面を撮影したいです。

シロバナタチツボスミレ

シロバナタチツボスミレです。自生ポイントが少ないのか、見逃しているのか、1ヶ所だけ自生を確認しました。

ニオイタチツボスミレです。

エイザンスミレです。花色はバリエーションありますが、こちらは胡蝶蘭を連想させる個体でした。

コケリンドウです。フデリンドウと異なり、萼片が反り返り、地面近くにひときわ大きい根生葉があります。

シロバナコケリンドウです。白花の方が珍しい気がするのと、純白は美しいです。

ワチガイソウは、ツルシロカネソウと同じ時期に同じような場所で見かけます。小さくてあまり目立ちません。

ツルキンバイです。高山植物のシナノキンバイやミヤマキンバイとか、黄色い植物の同定は苦手です。ハクサンイチゲやチングルマのような魅力を個人的に感じないため、いつまでたっても見分けられないです。

イチヤクソウの蕾です。狭い範囲にまとまって存在していました。

ヤマザクラです。今回の登山記録は複数回を1つにまとめました。各登山日が近いため、この時期の丹沢にはどういう植物が開花するのか理解する内容になりました。

日程表