榛名山は大昔の噴火によって榛名湖と共に幾つもの山頂ができました。今回は榛名山を代表する榛名富士と掃部ヶ岳を登ります。そして岩に食い込むように建てられた本殿で有名な榛名神社を観光します。
前日、赤城山へ登って渋川駅の側にあるエクセルイン渋川に宿泊しました。公共機関を使っての榛名山へは、高崎駅からバスに乗車するより、渋川駅からバスに乗車した方が伊香保温泉でバス乗り換えが必要になりますが早く到着できます。
バイキング朝食を食べ終えてホテルをチェックアウトしたら、渋川駅からバスに乗車して終点の伊香保温泉バス停で下車します。
伊香保石段街バス停でバスに乗車するまで、僅かな時間があります。伊香保温泉を少しばかり探索すると紅葉が見事でした。早朝でしたが、ハワイ王国公使別邸など一部の観光施設は入れるようになっており、それならもう1本早いバスに乗っていたら観光する時間がありました。
伊香保石段街バス停からロープウェイ前バス停までバスに乗車します。更に早い時間のバスはありません。ICカードが使えず現金のみ支払い可能でした。
まずは榛名山ロープウェイを利用して榛名富士の山頂へ移動します。徒歩だけでも40分で山頂に到着できますが、今日はもう一座登る必要があり、更に榛名神社でも十分な観光時間が必要です。更に今日の天気はだんだん崩れていきます。天気が良いうちに、榛名富士の山頂からの展望と、掃部ヶ岳の硯岩からの絶景を見るためには、ロープウェイ利用が吉だと判断しました。
榛名山ロープウェイを往復利用します。運行開始時間は朝9時でしたが、混雑のためそれ以前に営業していました。
山肌の一面全てが紅葉です。富士の名前がついている通り、富士山に似ており、どちらかというと登るよりも、周囲の山から富士を観賞する方が、その魅力が伝わるように思います。
榛名富士の標高1,390mある山頂には榛名富士山神社が建立されています。
日本で一番標高が高い富士山と同じ縁結びの女神様が祀られています。
頂上は広くなっていますが、そこまで展望はありません。どちらかというと、ロープウェイの榛名富士山頂駅にある展望台の方が景色が良いので、そちらに移動します。
展望台からは一面紅葉した山肌が見えました。榛名湖と幾つもの側火山がカメラのファインダーの中で共存することはありませんでした。景色が良いのは、これから登る掃部ヶ岳の方です。
下山したら榛名湖の湖畔を少し歩きます。色付いたメタセコイアが情緒ある旅路を演出してくれていました。団体バスの観光客よりも車で訪れた観光客が多いです。
榛名山は日本二百名山に選ばれています。対岸にある最高峰の掃部ヶ岳は自分の足でしかたどり着くことができません。登山口にある最寄りの吾妻荘前バス停は、伊香保温泉や高崎駅から直行バスはなく、榛名湖バス停で乗り換えが必要だったと思います。本数も限られており、歩いたほうが早いため、登山口まで歩いていきます。
水面があると必ず、山が逆さに映る場所がないか探してしまうのが癖になりつつあるのですが、こんな感じでした。本物の山よりも水鏡に見える虚像の方が強く紅葉しているように見えました。
人間はこういう実在しないものにより強い美を見出してしまうように思います。人の心象風景とはどんな美を持ち、そして時に超現実に対して違和感を持たずに受け入れてしまう... ... 自分でも良く分からないことを言い出してしまい、着地点を見失いました。
失言も虚像もまぼろしーーーーー!
木道周辺は湿原になっていました。秋なので植物は皆無でしたが、夏にはオオヤマサギソウやユウスゲ、コオニユリなど街中では出会えない植物が開花します。
榛名湖レストハウスの隣には廃業した旅館がありました。昔は大賑わいしたんだと思いますが、栄枯盛衰はブームという時の流れと共に光陰矢の如しです。ネットのゲーム産業に似ている気がします。
昭和のバブリーな時代を生きた人には懐かしく思う各旅行社の看板が今も存在していました。実はオークションで販売していたりします。
当初は湖畔の宿記念公園から掃部ヶ岳へ登山し、山頂に到着した後で硯岩へ行き、下山する予定でした。それだと確実に雨の中で硯岩の展望を眺めることになります。よって逆ルートに変更しました。お楽しみは一番最後までとっておくのではなく、タイミングが重要です。
掃部ヶ岳登山口に到着しました。近くには山ガール限定のツアー専用貸切バスが停車していました。こういうのを見てしまうと、どんなツアー内容で、お値段が幾らかネットで詮索したくなる野次馬根性が雄たけびを上げます。
新宿発着、入浴代あり、食事なし、日帰りでお値段が約2万円ってとこですね。個人で行けば半額で行けるので、お得感が満足感に変わります。なんとえげつなくて、がめつい思考回路なんだろうか。(半分冗談だけど、半分本気かも)
というのも、日本百名山をもし全て登るとしたら数百万円かかると言われています。ツアーを利用したり、テントではなく山小屋泊だと結構な額が更に上乗せされます。私の場合は同じ山に何度も登ったりしているので、きっと相当な金額になることでしょう。
登山から下山までは標準タイムが3時間10分くらいでしょうか。
登山道に危険個所はなく、比較的歩きやすいように感じます。
分岐点から硯岩までは直ぐですが、山岳会の団体とツアー団体が合体して大渋滞になっていました。細長くて狭い崖になっている硯岩の展望台も渋滞は不可避です。
混雑する時は、とてつもなく混雑しますが、他の団体と時間をずらせばあっという間に過疎ります。殺風景のごとく、貸し切りになりました。
文句のない絶景です。後は天気が良かったら最高でした。この後雨が降り出します。その前に来られたことは不幸中の幸いでした。
山頂へ向けて登っていきます。細い丸太の階段で道が整備してありますが、丸太と丸太の間の土が流され削られて、非常に歩きにくいです。土踏まずを足つぼマッサージするように歩きました。すぐ隣の笹薮に、土がむき出しの新たな道もありました。みんな丸太を避けて歩いた結果だと思います。
登山道の途中にも榛名湖と側火山が見える場所がありました。
標高1,449mある掃部ヶ岳に到着です。今まで漢字を読めずにいたのですが、「かもんがたけ」と読みます。家に帰ったら、再び読めなくなってしまう難読なので、とりあえずCome Onヶ岳と覚えておきます。
ちなみに自宅へ招かれた時、Come inって言われるより、Come on inって言われた方が歓迎されている気がします。そんな小さな違いが気になる永遠の17歳、ただいま思春期街道まっしぐらです。絶賛、脱線中でもあります(中二病)。
山頂からの景色もまた別の味わいがあります。
せっかくなので杏ヶ岳の方へ少し歩いてみると、日常と切り離されたかのような仙境に出会いました。
道に迷ったわけでもなく、地図を見ずに足を踏み入れたわけでもなく、本来は登って来た道を引き返さないといけないと知りつつ、あえて杏ヶ岳の方へ... ... 汗汗汗
直ぐに道が違うことに気がついたので、問題ありませんでしたが、要所要所で地図を見ないと勘違いしてしまうと反省です。今日の一番の難所はこの岩場です。雨が降ってたので折りたたみ傘を差して歩いていたのですが、ここだけは傘を手放す必要がありました。
特に問題も生じずに湖畔の宿記念公園へ下山しました。次に向かうのは榛名神社ですが、本数の少ない神社に停車するバスは行ってしまったばかりです。歩きながら昼食を食べて向かうことにしました。
群馬県道33号渋川松井田線を歩いていると、なんとも神々しい石を発見しました。
男根岩と呼ばれます。男性器の姿です。なんと破廉恥な!と思われる人もいるかもしれませんが、東南アジアに行くと、遺跡で男性器(リンガ)と女性器(ヨニ)は良く見かけます。ヒンドゥー教の神シヴァを象徴します。破廉恥だなんて思う必要はありません。まじまじと見つめて、崇めても良いものだと思われ...
かあぁぁぁっ!(変態の奇声)
車道をくねくね曲がって下っていくと、ここは日光のいろは坂。そして目の前には男体山。なんちゃって。今日の日光は観光客でどこも劇混み、おしくらまんじゅう状態だと推測します。比べて、ここは比較的静かです。
黄色が鮮やかすぎて、どこかのテレビ販売のCMに出てきそうな景色でした。
車道から関東ふれあいの道へ入る場所があったので、そっちを歩きます。一気に空気が澄んだような爽やかさがありました。
九十九石
九十九石
榛名川上流砂防堰堤
榛名川上流砂防堰堤
いつの間にか榛名神社に到着していました。関東ふれあいの道を経由すると、入口の正反対の場所から入場することになります。入口にある鳥居から参拝したい人はずっと車道を下って歩くことをお勧めします。敷地にあるみそぎ屋で1本100円のこんにゃくを頂きます。観光地では300円はすると思うので、良心的値段です。
左が夕日岳、右が朝日岳です。
1869年に再建された三重塔は高さ16mあります。
瓶子の滝と紅葉です。滝が落ちる両脇の岩を瓶子岩(みすずいわ)と呼ばれていたのが名前の由来で、瓶子とは神酒を入れる器です。
誰もいないようにみえて、大勢の観光客が訪れています。こちらの岩の中にある塞神社は女性に良縁や妊娠などのご利益があります。
神橋
榛名神社には樹齢数百年のスギやケヤキ、モミといった樹木が存在します。自然を生かした地形の境内はその雰囲気に飲み込まれてしまうような神聖な場所です。掃部ヶ岳では雨だったのに、いつの間にか晴れていました。
国指定重要文化財に指定されている本殿(本社)は1806年に再建されています。
背後の御姿岩に食い込んでいるかのように接しているのが一番の見所でしょうか。
あらゆる場所に彫刻が施されており、見所は沢山あります。
水に浸すと文字が浮かぶおみくじをしてみました。努力と人格(人徳)が全てであるという結果でした。歳を重ねていくたびに癖が強くなり、自身の取扱説明書が辞典のように分厚くなってしまう日々です。努力といったら、人生の辞典にまだ残っているだろうか。ぐはっ!
約2時間ほど観光をして、ようやく神社の入口に到着しました。帰りのバスの本数が1時間に1本であるため、榛名歴史民俗資料館で時間を潰しました。
バスに乗車して高崎駅へ到着したら、帰宅する前に夕食にします。高崎どかスタ本店で「どかスタ」を食べようと思っていたのですが、バスの車窓を眺めていたら、朝鮮飯店という気になるお店を見つけてしまい、そちらで夕食を食べることに決めました。
群馬県を中心に展開するご当地店のようです。お店の名前を、日本語と中国語がごちゃ混ぜの「ちょうせんファンディエン」と読んでしまうのは、歳を重ねて癖だらけになってしまったが故です。コムタンクッパの牛テールが美味でした。
完食したら電車で帰宅して旅は終了です。榛名山は曇天によって絶景とまではいかない景色でしたが、榛名神社と共に十分に楽しめたと思います。
日程表