ルート
今日は白馬岳の山頂を踏み、小蓮華山と白馬大池山荘の近くにある乗鞍岳へ稜線を縦走して栂池自然園へ下山します。小蓮華山から船越ノ頭を経て白馬大池へ下る登山道は雷鳥坂と呼ばれています。そこはライチョウを目撃しやすい場所なので、楽しみです。
まずは早起きして、日の出を待ちます。山々が朝焼けに染まるモルゲンロートまでもうすぐです。
杓子岳と白馬鑓ヶ岳が染まっていきます。
ただ一人静かに、その瞬間の時が存在する感覚を肌や目、耳、呼吸などで確かめます。日常に引き戻されることもなく、そこにある世界を1人離れた場所で感じていました。
剱岳
光のカーテンがこの高山世界と下界を分け隔てていました。日の出を観賞し終えたら、山小屋へ戻ります。
朝食も夕食と同様にバイキングです。紫米を使ったお稲荷さんは、他の山小屋では提供されない個性的なメニューでした。お味も美味しく、白米も別に用意されています。お惣菜は事前に作り置きだと思いますが、どれも美味しく野菜も豊富でした。村営白馬岳頂上宿舎は、美味しい料理が食べられる山小屋の印象になりました。
他の山小屋の朝食は、スタッフがおかずを皿によそる準備があるためか、手抜きメニューになりがちです。自分でよそるバイキングだと、料理のクオリティーがアップしています。思い返せば、南八ヶ岳にある赤岳天望荘の朝食バイキングもとっても美味しかった記憶があります。
食後は、荷物をまとめて山小屋を出発します。ここから白馬山荘を経由して白馬岳の山頂まではあっという間に到着できます。
白馬山荘からは、村営白馬岳頂上宿舎が小さく見えます。唐松岳の方まで見えるのかと思ったのですが、白馬鑓ヶ岳によって隠れているようです。
登山地図を見ると、旭岳の山頂へ続く登山ルートは存在せず、巻道となっています。実際は山頂まで行けるようですが、山頂の標識は存在しないようです。
白馬岳の切れ落ちた岩壁は圧巻の迫力です。血管が浮き出たようなバットレスがあると、筋骨隆々のように見えます。
白馬岳の山頂は、多くの登山者が記念撮影をしているので、少なくなるのを待ってから登頂しようと思います。この時間山頂にいるのは山小屋とテントの宿泊者のみで、少し時間を待てば、誰もいなくなるだろうと考えました。他の場所から登山者がやって来るにはまだまだ後です。
昨夜は同じ部屋に3人だけだったので、大屋部でもいびきがなく、良く眠ることができました。また両隣の布団に人がいなかったので、ストレスもなくリラックスできました。良質な睡眠はとっても大事です。燕岳の側にある燕山荘に宿泊した際、真横で夫婦揃って大いびきの大合唱で一睡もできなかった記憶が蘇ります。
これから歩いていく小蓮華山へ続く稜線です。一番奥の標高が高い場所が小蓮華山の山頂のようです。白馬大池を通過する予定なのですが、池は全く見えず、一体どこまで歩くことになるのでしょうか。
槍ヶ岳
人がいなくなったところで、標高2,931mある白馬岳の山頂へ登頂しました。
山頂を後にして、引き続き歩きます。ツクモグサはどこに咲いているのでしょうか。
旭岳の岩壁が印象的です。
一番手前に雪解けした長池、その近くの山頂が鉢ヶ岳、もっと奥にあるのが日本二百名山に選ばれている標高2,611mの雪倉岳です。鉢ヶ岳は登山道はないですが、新潟100名山に選ばれており、ケルンが積んである山頂まで一応歩けるようです。
ウルップソウ
ツクモグサ
ぎりぎり間に合った見頃は先週までだったようです。それでも果穂になる前の花を一応観ることができました。
ツクモグサの果穂です。ほとんどがこの姿になっていました。最初、チングルマかと思ったのですが、果穂がピンク色をしておらず、葉っぱはどちらかと言うと、コマクサに若干似ていました。まさか花が終わっているとは、想定外でした。
白馬大雪渓の方から杓子岳へ、ガスが発生してきました。白馬岳までも隠してしまうガスの流れだったので、今のうちに見納めをしておきます。
今まで見てきた白馬岳は、荒々しさがあったのですが、ここから見る姿はなだらかな美しさがあります。
標高2,766mある小蓮華山に到着する頃には、ガスで白馬岳はほぼ見えなくなっていました。
ハクサンイチゲ
ライチョウの親子を見かけました。ヒナも一緒に写真に写っていますが、保護色のため分からない人が大半だと思います。実際は動いていたので、すぐにヒナに気がつきました。今日は、合計4回ライチョウに出会うことになります。
船越ノ頭まで来ると白馬大池が見えてきますが、こっちの方もガスが発生してきました。
ハイマツから姿を見せたライチョウを見つけました。これで2回目です。
こちらは登山道で砂浴びをしていたライチョウの親子です。これで3回目です。
ライチョウの周りで多くの登山者が写真撮影していますが、ライチョウの親は全く気にもとめません。ヒナを人間から遠ざける素振りもありませんでした。日本では食用の文化がなく、信仰の対象だったためのようです。
絶滅危惧IB類に指定されています。動物園で見るのと、自然界で見るのとでは全く違います。(動物園に行ってライチョウを実際に見たことはないので、イメージです。)
白馬大池が見えてきました。
ハクサンコザクラ
白馬大池山荘
白馬大池にはクロサンショウウオが生息しているようですが、池の中を覗き込んでも見つかりませんでした。
乗鞍岳の手前の白馬大池が見える場所で、昼食にしました。標高3,026mあり、誰もが連想する乗鞍岳とは別の山頂です。
これで4回目のライチョウです。
標高を下げていると、雪渓が出現しました。距離や標高差がある程度ありますが、軽アイゼンやストックは使いませんでした。人々の足跡が階段のようになっており、雪も緩いため、キックステップも容易でした。心配ならロープを掴んで歩くことも可能です。
雪渓を通過して振り返ると、まあまあ斜度があったようです。
天狗原の木道が見えてきました。一時、小雨が降り出しましたが、すぐに止みました。
ショウジョウバカマ
黒と緑色が混ざったような色の花を咲かせている個体も幾つかありました。
オオイワカガミ
コバイケイソウ
天狗原の木道脇で風に揺れるワタスゲです。栂池自然園へ向けて登山道を下っていきます。累計標高は約400m下ります。
栂池ビジターセンターがある栂池自然園へ無事に下山したら栂池ロープウェイ乗車に乗車します。
ウバユリ
更に栂池ゴンドラリフトに乗り換えて栂池高原バス停まで降りてきました。事前に栂池ビジターセンターで無料の登山カードをお土産として手に入れました。帰りは行きと同じ高速バス「さわやか信州号」に乗車して白馬を後にしました。
1日目