西丹沢にある檜洞丸へ植物を探しに登山をします。色々見たい植物はありますが、一番の目的は寄生植物のヤマウツボです。実は、去年ヤマウツボを探しに西丹沢の大室山へ登ったのですが、見つかりませんでした。
今回はヤマウツボ以外にも、ハナネコノメやキクザキイチゲなど見たかった植物を発見できました。まずは、新松田駅からバスに乗って、箒沢公園橋バス停で下車します。ミツマタやシロヤシオ、紅葉の時期ではないためか、西丹沢行きのバスは混雑していませんでした。
箒沢公園橋で下車して、橋を渡って林の中の登山道を歩いていきます。
4連続の梯子を登っていきます。前日は大雨で、今日登山するか迷いました。大雨の影響で登山道がドロドロになっていないか心配でしたが、何とか大丈夫でした。しかし本日の最後に、大雨の影響で歯を食いしばる出来事が発生してしまいます。
河原を進みます。水は澄んでおり、大雨だったことが分からないくらい、穏やかな水流です。雨の翌日は空気が澄んでいるので富士山の展望に期待できそうです。
西丹沢は東丹沢と違ってヤマビルがほぼ出現しないので、足元は安心です。植物探しに集中できます。アレを見てしまったら、ヤマビルが憑りつかないか、それだけで頭がいっぱいになります。
西丹沢ビジターセンターから檜洞丸へ登るツツジ新道と呼ばれるルートと比べ、箒沢公園橋から檜洞丸へ登るルートは登山者の数が圧倒的に少なく、時間もかかります。それでもよく整備されています。ツツジ新道と比べて道迷いや滑落しやすいようで、今年に入って既に実際に発生しています。
美味しいと言われるアミガサタケを見かけました。キノコの知識は皆無なので、同定が分かりやすいキノコでも、市販のキノコ以外は食べようとは思いません。
標高を上げたり、稜線へ出ると、いきなり植生や雰囲気が変わったりする事がありますが、この登山道も同様でした。山頂に近づいてきたのが分かりますが、今回の目的はピークハントではなく、植物探しです。山頂に立たなくても良い気持ちで進みます。
こんな何気ない倒木がなぜか目に留まりました。写真を撮ると、いつも誰もが撮影しているような定番の景色だらけになってしまうので、こんな写真があっても良いかもしれないです。
玄倉との分岐がある稜線へ到着しました。西丹沢県民の森は、どんな場所か存在すらも知りませんでしたが、かながわの美林50選や森林浴の森日本100選になっているようです。
標高1,351mある石棚山です。標高約500mのスタート地点からここまで登りつめてきました。
ここからは穏やかな登りになります。稜線上では、犬越路から周回してきた登山者や、沢屋を見かけました。神奈川県では絶滅危惧II類になっているコガネネコノメソウはここら辺の沢にいるのか気になります。西丹沢の世附で分布しているようです。
今回探しているヤマウツボですが、見た目が似ているお仲間がいます。海岸のカワラヨモギに寄生するハマウツボと、市街地などで特定の植物に寄生するヤセウツボです。どれも見てみたい寄生植物ですが、ヤマウツボは格別の色合いをしています。
ツツジ新道との合流地点の手前では、富士山の展望が待っていました。手前には山中湖が僅かに見えています。
実は先週、登山地図に乗っていないような東丹沢の林道を歩いてきました。お目当てはクマガイソウです。既に開花しているそうなのですが、葉っぱしか見つけられませんでした。
伐採した無数の木が林道に倒れ放題になっており、やむを得ず山の斜面を登ったのですが、斜面上の林道に到着した時、左右どっちを歩けば標高を上げられるのか迷った記憶があります。
午後1時を過ぎて、時間的に西丹沢ビジターセンターから登って来た登山者は檜洞丸で昼食を食べ終わり、下山を開始した頃でしょうか。山頂への到着時間を他の登山者とずらす事で、のんびりと昼食をとれそうです。
一番気を付けないといけないのは、帰りのバス時間です。17時5分に西丹沢ビジターセンターを発車するバスを逃すと、約2時間バス待ちする必要があります。今日の帰りの目標は17時5分発のバスに乗る事です。
檜洞丸と言ったらこの木道の景色が有名だと思います。春のシロヤシオだけでなく、夏に花を咲かせる有毒のバイケイソウの群生地でもあります。沢山のバイケイソウの葉っぱが地面から顔を出しています。
新緑の5月になったら、印象がガラッと変わります。たった1ヶ月後なのに植物の生い茂るスピードは人の歩みを置いていきます。
標高1,601mの檜洞丸に到着しました。昼食はタケノコの混ぜ込みおにぎりです。タケノコには、アレルギーを発症する原因物質が含まれているのを最近知りました。灰汁抜きは大事ですね。
山頂では太陽が出ていると暖かいですが、雲で隠れるだけで凄く寒い4月でした。
食後はツツジ新道を通って下山しました。ゴーラ沢出合では、普段は登山靴を濡らさずに渡渉できるのですが、前日の大雨で増水していました。裸足で渡渉したのですが、足の裏は河原の石によって、足つぼマッサージよりも激痛でした。更に水がとてつもなく冷たいです。
他の登山者の話では、その人も含めて裸足になって渡渉していたようです。靴を脱がず、かつ水にも濡れないうまい話はないのが現実ですね。
ミツマタ
大きな毛むくじゃらの蜘蛛がいっぱいくっついていました。
ヤマウツボ
今回の登山で見つけた植物たちをご紹介します。
ヤマウツボ
色と形、どれをとっても魅惑的な植物です。1ヶ所に群生している光景は観れませんでしたが、合計で8個体発見できました。植物の色は枯葉の色とは異なるので、見過ごしにくいと思います。背丈も伸びていれば堆積した枯葉に埋もれる事もありません。ただ、目線の高さを固定してしまって見過ごしてしまった個体を同行者が発見する事がありました。
ハナネコノメソウ
ハナネコノメソウ
前から観たかったのですが、今年も観に行かずに、見頃の時期を終えてしまいました。まさか、檜洞丸のルート上にあるとは思いませんでしたが、標高が高いためか花の見頃に間に合いました。
ハナネコノメソウの事をずっと「アカメネコノメソウ(赤目 猫の目 草)」と間違って記憶していたのは、ここだけの話です。
イワネコノメソウ
キクザキイチゲ
キクザキイチゲ
キンポウゲ科特有の葉っぱをしていますが、初めましての植物でした。天気の良い日にしか花を開かせなかったと思うのですが、天気が良くて日当たりも良いのに、花を開かせない個体ばかりが存在する場所もありました。
登山者が少ない時期だからこそ、檜洞丸の良さを色々発見できた登山になりました。
檜洞丸と犬越路の間にある稜線に咲いているであろうコイワザクラは、別の機会に取っておきます。(今日歩いたルートに実は存在していたり...?)
エイザンスミレ
いろいろなスミレの宝庫なっていた登山道でしたが、その中でも一番興味がわいたのが、こちらです。他のスミレと全く異なる葉っぱの形は、スミレ科スミレ属というより、キンポウゲ科に似ているように思います。
無事に西丹沢ビジターセンターにたどり着き、目標にしていた17時5分発のバスに乗って帰宅しました。
日程表