今年は何かと焼岳がある上高地で地震が多かったり、土砂崩れが発生したりとニュースになっていました。幸いな事に、現在は焼岳への登山道は閉鎖されず、噴火警戒レベルは1です。たまたま天気予報を見たら、上高地周辺が晴れだったので、翌日に夜行バスに乗って日帰りで行ける焼岳へ登山をする事にしました。
新宿バスタから夜行バスに乗ります。ほぼ満席でした。中の湯から焼岳へ登り、上高地へ下山する予定です。中の湯バス停で下車する乗客は、他にいませんでした。
つづら折りの車道を歩き続けて、中の湯温泉旅館まで来ました。車で来る人は、更に向こうにある焼岳登山口の駐車場まで歩かなくてすみます。
今日は天気が良く、焼岳の山頂からは、穂高連峰や槍ヶ岳、鷲羽岳、霞沢岳など見渡せそうです。前日はガスで山頂から全く展望がなかったようです。
バス停から歩き始めて約50分ほどで、焼岳登山口に到着しました。駐車スペースには、既に何十台も車が止まっています。地震のせいか大雨のせいか分かりませんが、「土砂崩落」と注意がありました。実際は整備されており、普段と異なる危険な場所はないように思います。
焼岳が見えてくるまでは、森林の中をずっと歩きます。夏にはギンリョウソウを見かける登山道ですが、今日は腐生植物を見つけられませんでした。アキノギンリョウソウが咲くとはネット情報には載っていません。けれど、もしかしたらと言う気持ちがありました。
最近知ったのが、上高地ではギンリョウソウだけでなく、ショウキランも出現するようです。
ツルリンドウ
白頭巾を被った赤い実は、どこかのおとぎ話に出てきそうです。
ゴゼンタチバナ
早秋の季節と言う事で、花よりも実が目立ちます。どれが、どの植物の実だか判断が難しいです。
オヤマリンドウ
焼岳が見えてきました。ここから次第に森林限界へ突入します。
ゴマナ
中の湯からの登山道は、上高地からの登山道より比較的楽だと思います。少しずつナナカマドが実を着け、葉は紅葉し始めてます。
アカモノ
火山性ガスが噴き出しているのが遠くからでも分かります。
小さかった頃、空は見上げるばかりの存在で、見上げた先の雲は手を伸ばしても届きませんでした。とても遠くにあるのが雲だったのが、大人になって登山をすると、雲海を見下ろす機会も出てきます。曇って思ったよりも低い場所にあるのだと感じた記憶があります。曇は水からできてるので、意外と重たいのかもしれないですね。
シラタマノキ
ヤマハハコ
焼岳は岩場や長い梯子がありますが、ヘルメットは持参していません。被っている人もいますが、今日は見かけなかったと思います。
上高地の小梨平キャンプ場で熊の被害が今年ありましたが、今日の山旅で熊は見かけませんでした。
標高を上げていくと、様々な山が見えてきます。一番右の山は乗鞍岳です。草紅葉が始まっているのか、植物の絨毯が黄緑色をしていました。
乗鞍岳
焼岳のお鉢まで登ってきました。焼岳には北峰と南峰がありますが、左側にある南峰へは積雪期でないといけません。今日の最高峰である北峰の方が標高が1m低いです。
登山デビューの時に登った笠ヶ岳が見えました。焼岳は周辺の北アルプスの山々と比較すると、低い山に分類されると思います。
先ほど見えた火山性ガスが間近に見れます。風があるので空へガスが流れていますが、無風の時はガスが流れていかないようです。ガスがすぐ下の登山道へ向けて流れたら厄介ですね。
北峰の頂は目の前です。バス停から約4時間でもう到着です。地元の丹沢と比べると山頂までの歩く時間は短く、こっちの方が標高も高いため涼しいです。山頂で朝食にしたいと思います。
卵が腐ったような硫化水素の匂いがします。私にとっては臭いではなく、匂いなのですが、匂いを感知しなくなったら濃度が致死量に近づいてます。好きな匂いなのに体に害です。大好物はもちろんピータンです。
焼岳の山頂に到着しました。天気が良い朝は、雲の発生が少ないです。午後になると雲が多くなって、山の景色が隠れてしまうのは「山あるある」です。
火口湖の正賀池は綺麗なエメラルド色です。白山が山頂部分が雲から顔を出して遠くに見る事が出来ました。
山が生きている事を感じるには十分な迫力です。1915年に焼岳が噴火し、泥流によって梓川がせき止められて大正池が出来ています。上高地をもっと知るために、登っておきたい山でした。
槍ヶ岳と、標高3,000m以上あるその稜線上にある大喰岳と中岳が見えました。見るだけの山でなく、いつまでも登る山でありたい存在です。
鷲羽岳と水晶岳も見えています。この角度からは鷲羽岳の偽ピークが分かりやすく見えています。
山頂で休憩している間に、笠ヶ岳の山頂は雲に隠れてしまいました。どんどん雲が山を覆っていきそうな雰囲気です。
梓川や大正池、田代湿原など上高地を見渡せます。至仏山から尾瀬ヶ原を見下ろすような感覚でしょうか。
上高地の河童橋から見上げる穂高連峰とは全く異なる姿が目の前にあります。槍ヶ岳から奥穂高岳、前穂高岳、ジャンダルム、西穂高岳まで見れて贅沢な展望スポットです。
西穂高岳とジャンダルムです。ビビりで高所恐怖症で初心者の私には、多分登る事はないかもしれない山です。
時間に余裕があるなら、左下に見える西穂高山荘まで歩き、そこで名物のラーメンを食べて、中尾根を通って上高地に下山する方法もあります。今回は焼岳小屋から上高地へ下山します。
焼岳の山頂付近には、賽の河原と名前がつけられそうな場所もあります。
1時間程山頂に滞在したら、焼岳小屋の方へ下山を開始します。岩の隙間から出ている水蒸気はとても温かく地熱を感じます。
登山道は急勾配で、滑りやすいので注意して下っていきます。笠ヶ岳からやって来た雲は槍ヶ岳までも覆ってしまったようです。
山頂で1組の親子登山者に出会ったのですが、中の湯の登山口にある駐車場に車を止めて、登って来たようです。親は焼岳小屋で登山バッジが欲しかったようで、焼岳小屋まで行きたくない子供は山頂で待機して、親は焼岳小屋へ向かってました。
山頂に戻ってくるまで2時間以上かかりそうですが、そこまでしてでも登山バッジが欲しい気持ち、すごく分かります。登ったら登山バッジを絶対に買いたい時期が、私にもありました。通過した全ての山のバッジを残らず買ってました。今は、山頂で待つ子供と同じ行動をとる気がします。2時間以上余計に歩く体力がありません。
美味しい匂いは、やめられない、とまらない、河童(えび)橋♪うまくおじさんダジャレが出てきませんでした。
シナノオトギリ
田代湿原
他の親子登山者も見かけました。仲が良くて、共通の趣味を持つって素晴らしいですね。親子だと互いに遠慮もいらないですし。
「うちの息子(娘)は山に興味がなくて、一緒に登ってくれないのよ。」って言葉は、親子登山をしていると、山でよく聞く定番フレーズです。
イワヒバリを見つけたのですが、顔は撮らせてくれませんでした。
六百山と霞沢岳が見えます。六百山や霞沢岳と言った名前は、上高地を歩いた事があっても、知っている人が少ない気がします。大正池の真上にある霞沢岳は日本二百名山になっています。コースタイムが長いので私の足だと1泊では厳しい場所です。
焼岳の山容を見るなら、ここからが一番迫力があります。山肌がとってもメルヘンチックに感じるのは、私の頭がメルヘンに侵されているからでしょうか。
焼岳小屋へ向かっていると、先ほど山頂で出会って子供を山頂に残し、焼岳小屋で登山バッジを買いに行っていた親が登り返して来ました。どうやら子供の分もバッジを買ったようです。
小屋のスタッフの話によれば、上高地へ下山して、そこからタクシーで車を置いてある中の湯の登山口へ向かった方が楽との事でした。子供を山頂に残してきたので、選べない選択肢ですね。言われると、なるほどです。
登山道の脇に穴が開いており、そこから温かい蒸気が出てました。
焼岳小屋に到着しました。
標高を下げていくと、次第に森林の中に入っていきます。岩盤には鎖がありますが、登る人ようだと思うので、鎖は使いません。順番を譲られたので、お先に通行させてもらいます。
岩盤の先には、長い梯子です。遠くから見ると、2つの梯子の連結部分に不安を覚えますが、無事に渡れました。
ずっと同じような植生の森林を歩き続けて飽きてきたし、足も痛くなって来た頃に、上高地側の登山口へ下山できました。
梓川と六百山、霞沢岳を見ながら河童橋を目指します。昼食は小梨平食堂で食べようと思っていたのですが、13:45には食堂が終わってしまうので、食べれません。
上高地の焼岳登山口から田代橋までの間は、観光客は基本的に歩かない場所だと思うのですが、大雨だか台風だかの被害が残ったままでした。観光客が歩く場所は、いつもと変わらない平和な整備された道です。
歩道で餌を食べている猿の集団に出会いました。みんな口元に泥がくっついてます。拾って食べた餌に泥がくっついているんですね。泥の口紅みたい。
ちょっかいを出さなければ襲ってくる事はありません。観光地なのに人間の手から餌付けされていない状態を保持できてるのは素晴らしいですね。
河童橋に到着しました。観光地だけあって、観光客が多くいます。登山中はマスクをしていませんでしたが、ここではマスクを着用します。
穂高連峰はどこから見ても、かっこいいですね。
今日登った焼岳はあんな遠くにあります。人の足でどれだけの距離・標高を歩けるのでしょうか。登山をする度、毎回思うのは、人の歩く力とポテンシャルは凄いです。自分で自分の歩きに、おったまげ~♪歩きすぎて、足カッチン~♪
上高地食堂のラストオーダーが14:45でしたが、間に合いました。カツ丼うまし。肉よオラに元気をくれ!
今回の登山はこれで終了になります。上高地からバスで新宿へ戻り無事に帰宅できました。
上高地食堂のトイレにいた時、いきなり大きな揺れがありました。巨大な重機が建物の側を通ったのかと思うくらいの、巨大な突き上げるような揺れでした。窓からは重機の面影は見えません。
トイレから自席に戻ると、従業員は何事もなかったかのような振る舞いです。これが最近話題にならなくなったけれど、以前テレビで放送されてた「地震」だったようです。
日程表