今回は夏の涸沢カールでお花畑とモルゲンロートを見て、奥穂高岳か北穂高岳を登る予定です。
コロナウイルスが流行している中で、涸沢カールで密にならないテント泊をしようと考えていました。しかし今年初めての北アルプスで体力があるのか不明だったり、山小屋ではテント泊者には食事(朝食・夕食)の提供がなくなってしまいました。テントと寝袋だけでなく食材や調理器具まで持つのはきついので、山小屋泊の計画に急遽変更しました。
まずは、バスタ新宿から夜行バスの「さわやか信州号」で上高地へ向かいます。コロナウイルス対策として、3列シートの窓側を選びました。窓側の席にはカーテンがついており、個室のようになります。
真ん中の座席は通路との間にカーテンがないので、プライベートはなく、両端の通路を人が行き交います。
終点の上高地で降りると、すぐに河童橋です。今日は雲が多そうですね。朝が早いので観光客はいません。
北アルプスでは、山小屋の宿泊はどこも事前予約になっています。涸沢ヒュッテと涸沢小屋、どちらに予約をしようか迷いましたが、涸沢ヒュッテに2連泊の予約をしています。
上高地から横尾へ平坦な林道を歩きます。上高地へのバスを予約した時、槍ヶ岳へ行こうか、蝶ヶ岳へ行こうか、涸沢カールへ行こうか迷っていました。結果的には、槍ヶ岳山荘の宿泊は満杯で、涸沢カールのテント場は予約不要かつ夏にはまだ涸沢カールへ行った事がなかったので、涸沢カールに決めました。涸沢ヒュッテの予約は出発の2日前です。
上高地からすぐの場所にある小梨平キャンプ場は、閉鎖されていました。そこでテント泊をしていた人がツキノワグマ1頭に襲われ、右脚を10針ほど縫うけがを負った事がきっかけのようです。
そのためか、徳沢のキャンプ場は沢山のテントで埋め尽くされてました。今日の目的地である涸沢カールのテント場よりも混雑しています。
今年は4月下旬から上高地周辺で地震が続いていますが、その影響か道に落石があります。涸沢カールや、そこを経由しての奥穂高岳や北穂高岳への道に影響はありませんが、重太郎新道からの吊り尾根は難易度が上がっているようです。
横尾に到着しました。涸沢カールへの登山道では、最後の水場になるので、ここで家から持参してきた空のペットボトルに給水します。朝ごはん休憩をしたら出発です。
登山道にイチヤクソウが生えていました。時期は終盤なのか、枯れかけています。白い花がイチヤクソウで、ピンクの花がウメガサソウと区別するのかと思ったら、花が複数あるのがイチヤクソウで、花が1つだけなのがウメガサソウです。
横尾岩小屋跡です。もとは岩小屋として洞窟のような小屋代わりに使われていたようです。
ここら辺から、ようやく標高を上げていきます。下界より涼しいけれど、登りは暑いです。
タマガワホトトギス
ホウキタケの種類のキノコ
屏風岩を巻くように 横尾谷に沿った登山道を進んでいきます。
暑苦しいのでマスクはしていません。けれど登山者とすれ違う時は挨拶をしています。ただコロナウイルス対策として、いつもより3~6歩以上離れた場所から、かつ少しうつむきがちに挨拶をしてます。飛散した唾が相手の顔にかからないようにしたいです。
本谷橋に到着しました。休憩は少しだけにして進みます。
山での宿泊登山は約1年ぶりで、宿泊用の大きなリュックを背負うのも久しぶりです。日帰り登山よりも背負う荷物が重たいためか、体が登山モードになりません。日帰り登山ならまだまだ疲労を感じてませんが、今回は既に疲労を少し感じているようです。
テント泊用の更に大きく重たいリュックだったら、体はどうなっていたのでしょうか。
常念岳が見えてきました。
今回の登山で一番恐怖を感じたのは2組のペア登山者とのすれ違いです。2組のペア(計4人)が登山道をふさいでおしゃべりをしてました。背後を通り抜けようとしたのですが、道の真ん中を開けられてしまいました。おしゃべりは止まらず、マスクも着けていなかったので、四方から唾が飛び交うど真ん中を戦々恐々通過しました。
狭い登山道だったので、仮にコロナウイルスがなくても、唾が四方から至近距離で飛び交うど真ん中を通過するのは、あまり気分の良いものではなかったです。背後を通ろうとしたのに、なぜ道の真ん中を開けられたのでしょうか。
山間の奥に涸沢カールが見えてきました。どうやら雪渓が残っているようです。
涸沢カールの手前まで来ると、ヨツバシオガマが沢山咲いていました。増えてくる高山植物にテンションが上がります。今年はコロナウイルスによる自粛の影響で、地元の山や緑地へ出向き、腐生植物やラン科の植物を探してました。それくらい植物が好きです。
涸沢カールにある涸沢ヒュッテに到着しました。時刻は10時半です。宿泊受付をします。
用意されたのはなんと、個室です。コロナウイルス対策ですね。本来は右の板がなく、相部屋が普通です。そして談話室も今年はありません。個室料金はかからず、人数制限されているので、混雑し過ぎた山小屋に宿泊するのに普段から抵抗がある私にとって、幸せな仕様です。
マスクをせず、布団の中に潜って寝る癖があるので、家からインナーシェラフを持参してきました。コロナウイルス対策です。バックパッカーした時に、防犯とトコジラミ対策で使って以来の久しぶりの使用です。
涸沢ヒュッテのマップです。ファミコンゲームで登場する1つの町のような規模です。
ここ最近はずっと稜線が見えなかったようで、今日は久しぶりに天気が良いと受付の人から話を聞きました。時間もまだまだ沢山あるので、このまま奥穂高岳か北穂高岳へ登って降りてこようか迷います。明日山頂へ行く時間が十分にあるので、今日は昼食を食べたら、涸沢カール周辺の花散策する事にします。
涸沢岳です。山の景色は、紅葉した時期の方が断然素晴らしいですが、秋は植物が少ないので、季節によって一長一短です。
奥穂高岳です。個人的には、ザイテングラートよりも奥穂高岳の出だしが難しいと思います。ヘルメットは持参してます。
時間がたっぷり余っているので、稜線に見える穂高岳山荘に今日宿泊すれば良かったですね。ただ、今年の宿泊は予約必須なので、臨機応変には出来ません。モルゲンロートを見るなら、涸沢ヒュッテの側からが良いと思います。
こちらは私が一番好きなアングルです。
梅雨明けして間もないですが、夏雲が多いです。梅雨明け直後は太平洋高気圧の勢力が持続しやすく、安定した夏の暑い晴天が10日間程度続くことが多いですが、今年は例外のようです。
ハクサンフウロ
ヨツバシオガマ
ミヤマアキノキリンソウ
天気が良いのか猿が沢山いました。逆に徳沢では猿を見かけませんでした。徳沢と言ったら、氷壁の宿「徳澤園」のコーヒーソフトか猿の大群でしょうか。
明日はこのザイテングラートを登っていきます。遠くから見ると、どうやって登るのだろうか不思議ですが、意外に登りやすいです。
涸沢ヒュッテのベンチで昼食休憩をして、本格的に花探しを開始します。
こちらは、高山植物で一番好きなチングルマです。白い花から始まり、ピンクの穂に姿を変え、最後に草紅葉を楽しませてくれます。高山植物の中では良く見かけます。
街中の猿と違って、餌付けされていないので、何もしなければ、猿は襲ってきません。住み分けが出来ているんですね。
真ん中の岩は「獅子岩」と呼ばれていますが、獅子に見える角度はどこからでしょうか。涸沢槍が目立っています。
トリカブト
涸沢小屋にやってきました。まずはアイスクリームで休憩します。涸沢ヒュッテでも食べる事が出来、色んな味があります。
気温が高いせいか、溶ける速度が速いです。美味でございます。
ミソガワソウ
シャクナゲと常念岳
アオノツガザクラ
岩の上で昼寝をしていると、雨が降り出したので涸沢ヒュッテに戻り、部屋で熟睡しました。寝ている間に雨は止んだようです。
夕食は皆マスク着用で食堂に向かいます。小屋の中ではマスクを着けないで過ごしたり、おしゃべりしてる人がほとんどだったので、食堂に並ぶ時だけマスクして、席に着いたらマスクをしまうのは、客観的に見ると面白い行動です。
以前、涸沢ヒュッテの夕食と朝食は、おかずが冷やされて提供されていました。今年はコロナウイルスで宿泊人数を減らしたためか、冷たくありませんでした。冷めてはいましたが、おかずの内側はまだ少し温かみがありました。冷たくないので、前食べた時よりも、とっても美味しかったです。
食後は、夕暮れ時に黄昏ます。残念ながら、奥穂高岳の稜線はガスってしまいました。
明日は奥穂高岳か北穂高岳へ登ります。どちらかと言うと、まだ登った事のない北穂高岳へ登る予定だったのですが、実際登る事になったのは奥穂高岳です。何があったのかは、明日のお楽しみです。
星空は次第に雲で覆われ、テントの明かりが1つ、2つと消えていきました。